Q1. 化膿している部分のスキンケアについて

4歳の息子がいます。2年間ぐらいステロイドを使っていましたが、今は3か月ほど塗ってないです。
ヒジやヒザの湿疹やガサガサがなかなか治らなくて、化膿しているようなおできがでることもあります。モクタールなどを塗ってしのいでる状態なんですが、どのようにケアしたらいいんでしょうか。 もうひとつ、これからは汗の悪化が心配な季節なんですけど、シャワーや入浴をどうすればいいでしょうか。

A1. 佐藤先生

診ないとわからないんですが、細菌感染があるんだったら抗生物質の内服をしないといかんと思います。それと、細菌感染を防ぐには、ガーゼか何かを巻いて保護しないといけないんじゃないでしょうか。
お風呂は、冬はあまり入らなくていいですが、夏はシャワーで洗い流した方がいいです。1日に1回だけ。セッケンなんかはいらないと思います。

 

Q2. 睡眠導入剤の使用について

質問者:成人

家族のことなんですけど、成人型のアトピーで約10年くらい前に脱ステロイドをしました。脱ステロイドから3年ぐらいは一進一退、そこから7年間ぐらいは全く薬も使わずにアトピーのことなんて忘れて生活できていたんですが、昨年の秋口ぐらいから急に3日ぐらい顔がかゆいと言い出したと思ったら本当にみるみる悪くなって、以前と同じ状態になってしまいました。

今はかゆみと戦って眠れなくて、心理的ストレスがすごいと思うんです。「3日間で2時間ぐらいしか寝ていない」と言います。
仕事を休めないと考えて眠れなくなるようです。それと自律神経が乱れているからか、肌があまりにぐちゃぐちゃだからからか、布団の中で横になれなくて、何もかけられないらしいんです。それも眠れない原因かもしれない。
相手も大人なので治療方法は自分で決めればいいんですが、私は、多少は睡眠薬、睡眠導入薬は使ってもいいんじゃないかと思うんです。先生のところに入院している患者さんは睡眠導入薬などはどうですか。

A2. 佐藤先生

睡眠導入剤は、しばしば使っています。
眠れないというのは非常に大きな症状で、眠れないと皮膚も悪くなりますしね。 ただ、ひとつは睡眠時間が何時間というのは、実際とは違うことが多い、ということ。
もうひとつは、布団に入れないというのは、暑くて入れないということなのかが問題だと思います。全身が赤くなると、体温の調節がうまくできないので、暑いとか寒いとかが10分、15分でコロコロ変わるんですね。
質問の中で自律神経の話が出ましたが、自律神経の診断・対処は非常に難しいところなんですよ。何がどうなっているのかはまだ未知なので、ジーッと経過を見なければ分からないところなのでね。

 

Q3. 脱保湿治療の進め方

中学生の娘のことで伺います。

今、脱保湿をしていますが、「何かを塗らないと、朝起きた時とかに腕がヒリヒリして伸ばせない」と言うんです。もう中学生なので自分で薬を塗ってしまいます。 皮膚が痛くても、やはり保湿剤はやめた方がいいでしょうか。

A3. 佐藤先生

基本的には塗らないほうが良くなっていくと思います。ただその過程で一時的に悪くなったりはします。
痛いというのは、たぶん皮膚に亀裂がいっぱい入っているんだと思います。そういう場合は、何かを塗るんではなくてガーゼを巻くと、痛みというのはだいぶ軽減されます。ガーゼだけを巻く。外用を減らすことは、急がない方がいいと思います。

アトピック水島:親とかが子どもに勧める場合でも・・・もう小学校高学年ぐらいで自分の意志があると思います・・・本人が「やる」といわなければ、この治療は耐えられないです。 とてもじゃないけど、親がいいと聞いて来て「(脱ステロイド・脱保湿を)しなさい」と言っても、たぶんできないです。自分で調べて、納得しないと。それぐらい脱ステ脱保湿というのはつらいものです。今まで悪化したことのないところも悪くなるし、外に出られなくなるし、全身汁まみれになったり・・・人によって違いますけど。 並大抵の覚悟ではできないので、気安く言って、変にうらまれることのないように、その辺は十分に注意してください。
ひきこもって、会社もやめて、ということになることもあります。お子さんでしたら学校も行かなくなるおそれもあるんで、義務教育は行かすのであれば大学になってからとか。夏休みにするとか。そういう調整をしたほうがいいように思います。

Q4. 睡眠と夜のかゆみについて

4歳の息子なんですが、今、夜中に3回ぐらい起きてずっと掻いてるんです。おさまらない時は泣き叫んじゃうぐらいです。一回かくと余計にかゆくなるっていうのをどこかで聞いたので、かかないように手を押さえたりして、それで寝たこともありました。
今、幼稚園に通ってるんですけど、朝起きられないんですね。かわいそうだから寝かせておいて、毎日遅刻をして行って、本人も気まずい思いをしているのかな、と。規則正しい生活にしたほうがいいのかなって、そこが気になっています。 好きなようにかかせないで、ちょっとは我慢させた方がいいのか。かゆみと睡眠、どういうふうに兼ね合いをしたらいいでしょうか。
スキンケアは、お風呂上がりにはジュクジュクするところがあるので、そこはガーゼを巻いています。

A4. 佐藤先生

非常に難しいですよね。自分はそうでなくても、相手にしたら非常に強く抑えているように思われることもあるし。
必死に抑えているようで、実際にはあんまり抑えられてないということもあるし。 ケアは、今のやり方でいいんです。包帯を強く巻かないようにしたら、良くなっていくと思います。
あとは、もう勝手に掻かす。あなた(母親)は起きないで寝ておく。それが重要なんですよ。 幼稚園というのは、どうしても行かなきゃいけないものなんでしょうか。
非常に眠たいときには、一時的によく寝かせてあげたほうがいいと思います。

 

Q5. 食べ物について

わたしの息子(5歳)のことです。
主人がアトピーなので「絶対に出るな」と思っていろいろ本を読んで勉強していました。それで、絶対にステロイドは塗らないぞ、という方針でやっています。 入院治療中に「何もやらない」というのは、ただ寝起きを病院のベッドでしているだけ、ということなのか、もう少し詳しく伺いたいんですが。
もうひとつ、食事制限はされないということですが、私の息子も検査では食物のアレルギーはないので特に制限はしていないんですけど、砂糖と酸化した油はかゆみを増強するということで、そういうものは食べないようにしていたんです。でも幼稚園に上がってお友達の家に行くとポテトチップとか出てきますよね。たしかにそういうものを食べると夜にひどくなるな、と思うんですが、食べさせないようにするのもストレスになるかな、と。食べたいだけ食べさせてあげたほうがいいんでしょうか。
あと、食べる量のことも教えてください。 息子はお友達と遊ばない日はおやつはほとんど食べないんですが、でも量がすごく多いです。小児ハリに通ってるんですが、ハリ治療の先生にも「食べすぎです。お茶碗に2杯なのを一杯にしなさい」と言われるんですけど、そうすると「何かちょうだい」って息子にせがまれて、おやつの時間におにぎりをあげることになります。
太ってはいないです。親としては、この子が欲しがるなら必要なカロリーなのでは、と思うんですが、カロリーの取りすぎでアトピーに悪い、ということもあるんでしょうか。

A5. 佐藤先生

入院をして何をするかというと、まず「どんな生活をしているのかな」という観察になるんです。そうしたら、多くは悪いことをしていることがあるし、過去にどういうことをしていたか、という話も十分に聞くので、そこから何か分かってくるかもしれない。いろいろな症状に関しては、ステロイドを使わないでやることはやります。
食べ物のことですが、子供さんの場合、間食が多いのはまずいと思います。基本的に朝昼晩きちっと食べて、その上で決まった時間にすこしおやつを食べる、というのであればそんなに問題はないと思います。きっちりと、保育所なんかの生活と同じようにおやつをあげればいいと思います。

佐藤美津子先生:肥満じゃないのなら、食べたい量を食べればいいと思います。あまり制限すると、食べたい食べたい、という欲求だけが膨らんでしまうと思うので。
ただ、聴いているとお母さんが必死になってしまっていると思うんです。必死になるのはよくないです。お母さんはいろんな勉強をして、いろんな所に連れていかれて、大変だと思います。ただ、そうやっていくと「こんなにやってるのに、なんでこの子はよくならないのかな」という気持ちも生まれてしまうものなので。
私はお母さんたちに、子どもの世話をすることや可愛がることはしないといけないことですけど「子供のアトピーの世話をしたりかわいそうがったりするのはやめてね」と言っているんです。そこから抜け出せないとよくならない。アトピーがあってもなくても、自分の子供さんなんだから可愛いと思うんですね。そこが大事だと思います。
ちょっと必死になりすぎてるんじゃないかな、というのが心配です。

 

Q6. ステロイド薬剤の見分け方

わたし自身もアトピーで、阪神大震災の時にショックで全身に症状が出て、入院したりしていました。自分もいろいろ勉強をしてステロイドが怖いことも知ってたんですが、結婚をして子どもを産んだ後に、病院をいろいろと回っているなかでステロイドをすすめられて、「どうしてもステロイドは使わない」と強く言えなかったんですね。
使いたくないとは言ったんですが、以前の皮膚科の先生には、「使いたくないというのは親のエゴだ」、とか「無知だ」とかいろいろ言われまして。その時はトビヒでかかってステロイドが出たんですが、ちょこっと使ったのが原因で、1年間使った後にステロイド皮膚症になってしまいました。
いろいろな病院へ行きました。果ては温泉療法に行ったり、相模原の病院に行ったり。だから先ほど「お母さんが必死になっている」というお話もすごくよくわかります。「そう(必死に)なっちゃうよな」と思うんです。 わたしの場合は、さんざん駆け巡って、疲れたからふっきれたんですね。もうこれ以上できないと思って。何とでもなれと思って。 あと、子供が、わたしが泣いちゃったりした時につらそうだったので、こういう姿を見せてはいけないと思って。いろんなことがあって、いろんな支援があってふっきれました。
ステロイドを使っちゃいけないって知ってたのに、使ってしまいました。脱ステロイドしている時もすごい症状になっちゃった子どもを見て、周りの人に、「何年の何時何分に治るんだ?」って怒られたりしたんですけど、今は息子も脱ステロイドができて、今はずっときれいになっています。そのことを、まずお話したくて。 佐藤先生に質問です。ステロイドと表記していないけれどステロイドが入っているものについて、どんな表記に注意をすればいいですか。

A6. 佐藤先生

いろいろあります。どういう名前のものがあるか、今度ホームページに出す予定なので、見て下さい。わたしの本の表紙に、英語で薄く書いてあります。

 

Q7. ステロイドの副作用

わたしはアトピーはないんですけど、化粧かぶれでステロイドをもらったところから依存症がはじまって、1年間、何ヶ月か定期的に2,3日ぐらいしか使ってなかったんですけど。
今は軟膏を塗っていますが、湿疹を繰り返しているので、脱保湿を行った方がいいのかどうか、悩んでいます。現在の症状は、頬の部分の湿疹だけです。
だけど、脱力感というか、なにもやる気がしない、体もだるくて。そういう副作用がステロイドにはあるのか教えてください。顔もほてって、更年期のような症状があるんですが、そういう副作用もステロイドにはあるんでしょうか。

A7. 佐藤先生

患部の面積がわずかなので、そういう副作用の症状ということはないと思います。あとは軟膏をやめるかやめないかの問題だけだと思います。使っておられる薬がなんなのかわからないので、なんとも言えませんが。
アトピーがないのであれば、ステロイドを内服すれば症状が強くならないので、あんまりしんどくなく保湿剤を止めることができます。(ステロイドの内服は)大丈夫、とは言えませんが、短期間で治すことができます。

 

Q8. 症状が落ち着く目安は

断続的にステロイドを塗って25年くらい、脱ステをして1年9か月くらいです。 一回よくなったんですけど、去年の夏に全身がむけちゃうようなジュクジュクになってしまって、今は毎日おたま一杯ぐらいの皮膚の剥離があるんですね。脱ステロイドの症状とは別に自律神経失調の症状がものすごくひどくて、今もつづいているんですが、だいたい目安としてはどれくらいで落ち着くんでしょうか。

A8. 佐藤先生

それは、ずっと見せてもらわないとなんとも言えません。わかりません、正直に言って。時々に悪くなることはあるので、それをうまく乗り切って、ということしかこの場ではいえません。
残念ですが、今ぐらいの質問で答えられるものだとは思って欲しくないです。もっともっとややこしいものなんです。
自分の経過をきっちり把握して、今回悪くなったのはどういうことなのか、というのを考えてもらわないと、私たちも答えようがないんです。 あとで、少し皮膚を診せてください。少し分かるかもしれません。

水島:特効薬を飲んで治る、というものなら何週間とか言えると思うんですが・・・。人によって薬を塗った時間も経過も発症も違うのが、脱ステロイドの大変なところでもあります。

 

Q9. 阪南中央病院の受診について

今日は33歳の息子に代わって出席しています。
かれこれ10年ぐらい前に脱ステロイドを頑張って、脱保湿の方法はつい最近知りました。去年の夏ごろからずっと家にいて苦しんでいます。佐藤先生のいらっしゃる阪南中央病院に伺えば日常の生活指導なんかをやっていただけるんでしょうか。行く時には主治医の推薦状が必要ですか。
しばらくの間、息子にアドバイスをしなきゃいけないんですが、ステロイドは完全にやめる、保湿は離脱する、食事以外の水分は1200CCに限定する、食事制限なく何でもバランスよく食べる、痛みがなければ散歩、それから規則正しい生活をする。精神的なストレスを減らす。そういうことで指導をすればいいんでしょうか。

A9. 佐藤先生

はい、そうです。
診せてもらったら細かくいろいろとあるんですが、一般的にはそれくらいです。ぜひ病院にいらしてください。
推薦状は、あったほうが安くつきますよ。

水島:入院は教育入院です。やり方を学んで治って自信がつけば自宅でがんばっていける、という感じです。