Q1. 脱ステロイド・脱保湿の方法について

質問者:男性

脱ステロイド・脱保湿をやる場合、一気に止める方法と、徐々に止める方法があると言われましたが、どういう場合にどちらの方法でしたらよいのでしょうか。

A1.佐藤先生

普通はゆっくりしてもらう方がいいと思います。しんどくないです。

 

Q2.スライドデータの統計について

質問者:男性

(佐藤先生講演時の)スライドのデータの中で、何日後によくなっているというデータがあったんですが、 そのデータは、脱ステロイド脱保湿をしたけれどもよくならなかった人は他の病院にかかっていく、ということもあるかと思うんですが、 そういった方も含めての統計なのか、それともよくならなくて離れていった人は省いてとられたデータなのでしょうか。

A2.佐藤先生

あのデータは、ある時期から連続100人の人をとってますので、特定のバイアスはかかってないと思います。 100人の人にアンケートを出して、返ってきたのは62名、だから38名は脱落してます。で、その人々のデータです。
追加で言いますと、あのアンケートを出した人のカルテは全員調べてあるんです。で、そのうちの10名はステロイドを止めて、保湿だけでもよくなってます。 70名は非常にいいです。そのあといったん全部良くなった人のうちの20名くらいは主婦湿疹なんかで多少ステロイドを使ってる人はいるんですけども、そんな大した状態ではないです。 だから、アンケートとしてはああいう格好です。実際にカルテを見たら、かなりよくなってます。

 

Q3.喘息について

質問者:男性

喘息の場合、ステロイドを使用しない方がいいということですけれども、その場合どういった治療があるのでしょうか。

A3.佐藤先生

大人の人には大体ステロイドではなくて、テオドールとか、気管支拡張剤を飲んでもらうようにしてます。それでかなりましになります。 今入院されている方の中でも、それでかなり発作はおさまって順調に脱ステロイドしてる人がいます。よっぽどのことがない限りステロイドは使わないように言います。

 

Q4.入院時の費用と入院期間について

入院時の費用と大体の入院期間はどれくらいなのか。それと、再入院の方はいらっしゃるのかどうか。

A4.佐藤先生

入院期間は人によっていろいろです。2週間くらいで退院される方もいれば、4、5カ月かかる人もいます。 前の病院でも今の病院でもそうなんですけど、平均の入院期間は45日くらいです。入院の費用は、大人の場合だと大体自分でお金を出す分は1カ月で20万~30万くらいになります。 子供の場合はちょっと高くなります。ただし、手続きをしていただいたら、高額医療でかなり戻ってくると思います。あと、再入院はもちろん何人かおられます。 率はまだ見てないけど、それほど多くはないです。

 

Q5.脱ステロイドのタイミングについて

質問者:39歳男性

脱ステロイドするタイミングと、どうやって落ち着かせるのか。

A5.佐藤先生

脱ステロイドする時期はいつでもいいと思います。 ただ、止めていくのに突然止めるのはしんどいから、それまでをどういうふうにするかというのはまた全然別の話であって、完全にステロイドを止めるというのはいつでもいいと思います。 ただ、季節としては今(9月)が一番いいです。でも突然止めるのはしんどいからあまりおススメしません。 まずは、1日に何回も塗ってるんだったら、1日に1回にしてくださいとか、保湿もしてるんだったら、ステロイドはそのままでまず先に保湿を止めましょう。 というような話から入っていって、保湿を止めたとしたら、今度はステロイドを塗るのを、お風呂から出てすぐ塗るんじゃなくて、1時間ずらしたり2時間ずらしたり順にずらしていって、 1日おきにするとかというふうにやっていきます。それで、1日おき、2日おき、3日おきって間をあけていって、それでひどくなるんだったら、その時点で止めてしまうということになります。 もちろん1日おきにして悪くなるんだったら、それはもう突然止める時期です。だから、時期はいつでもいいと思います。
営業の仕事をされている方でも全然入院しないで最後まで脱ステロイドした人がいます。 もちろんきっちり話をしながら、かなり時間かけましたけど。だからその人に関してはいつスッパリ止めたのかっていうのは、止め始めからいくと非常に時間が経った後です。 で、仕事されてるんだったら先に隠れてるとこをやりましょうということで、服で隠れてるとこを止めるんです。顔とか手は外用を続けたままで。 だから、ものすごい重症な人でも、仕事しながら止める人もいます。

元患者より補足:仕事されているんであれば会社行ける状態なのかとかあると思うんですけど、まあ行けないと思います。 だから、会社に理解があるか、休職できるのか。あと小さい子であれば小学校あがるまでか、夏休みに。義務教育を休んで引きこもりになってまでやってまではやってほしくない。 自分でやる時期はそういうのを考えて決めたらいいと思います。

 

Q6.ステロイドと脳幹の関係について

mixiでステロイドを塗りすぎて内臓が弱ってしまっているという書き込みがあって、これは佐藤先生がおっしゃられていた、 ステロイドと脳幹の関係というのにつながっているものなのか、それとも脳幹じゃなくて別に、胃や肺などの臓器に悪影響を及ぼしてしまっているものなのか。

A6.佐藤先生

皮膚の外用剤のステロイドで体がどういうふうに悪くなるかというのは実際あんまりわかってないと思います。 でも、たくさん塗れば副腎の抑制なんかは起こってくるというのはわかっていると思いますので、もし大量に塗っていたとすれば内服と同じように例えば、 ステロイドによる胃潰瘍なんかも起こっても不思議ではないかなと思うんですけど。 それはやっぱりその人がどこが悪いかということを決めてもらわないと話が進まないと思いますし、検査も何をしたらいいかわかりません。

 

Q7.意思表示の文書について

病院に行く時に、ステロイドは使いたくありませんという意思表示の文書(atopicのホームページから見れます)を提示するのは、皮膚科以外ではどの科に行く時に提示すればいいのか。

A7.佐藤先生

どこの科に行く時も持っていった方がいいです。

 

Q8.子供のプールの付き合い方について。

プールの塩素で皮膚が負けてしまう。休ませると精神的なストレスの方が大きくて余計掻いているような気がする。プールはどうしたらいいのでしょうか。

A8.佐藤先生

プールから出る時に水道水でジャーっと洗えば塩素は大体とれてしまいます。入ってる時も多少は影響あるとは思うんですけども、あんまり気にしないでいいと思います。 プールで楽しむ方がアトピーには返っていいのかもしれないです。

藤澤先生:スイミングプールはぬるま湯なので、お湯にしっかりつかったみたいになってしまって、ますます乾燥してしまうので、アトピーにはマイナスです。 風呂に入らなければよくなるアトピーってよくあるので、塩素の問題よりも、お湯の問題の方が大きいと思います。だからプールやった日は石鹸使わないとかすればいいです。 よく、プール入った後は塩素が残ってるから石鹸で洗う人がいるが、塩素は揮発性だからすぐにとんでいきます。

 

Q9.33歳の娘について。

脱ステロイド・脱保湿して、激やせ・睡眠障害・白内障など、激しい兆候が出ているので、心配。 睡眠障害は、朝の3時くらいから6時半くらいまで非常にうなされて苦しむ。脱ステロイド・脱保湿を指導してくださっている病院の心療内科に処方してもらっているが、らちがあかない状態。

A9.佐藤先生

体重が減ったことについて。よく皮膚が悪くなると浮腫があって、水がたまって、それがよくなると体重が減って元に戻るということも意外とあるので、 どっちなのかというのがちょっとわからないところです。非常に乾いたかさぶたができてきているんだったとしたら、最初ジクジクしている状態だったのなら、それも良くなってきているのかもしれない。 だから、その辺をどういうふうに、今診ていただいている先生が評価されているのか、ちょっとわからないので、それはなんとも言い難いです。

睡眠障害について。おそらく非常に不安になっていると思うんですね。昼夜逆転していて、昼少しウトウトするくらいなのに夜もあまり寝れないとなると、ちょっと睡眠不足の状態になってるんじゃないですかね。 そこまでいってたらやっぱり昼も寝ないとダメだと思います。まずは寝て、睡眠を元に戻して、そのあとで時間をちょっとずつずらしていくというふうにしないとちょっと難しいと思います。 心療内科の薬なんですが、ある程度飲まないと仕方がないという気もするんですが、ところが、たいていの場合、非常に眠くなるんです。だから昼起きれない。その点の問題がなかったらいいと思うんですけどね。 もし昼眠くて起きてられないということだったら、かえって飲まない方がいいかもしれないということが意外とありました。ただし、娘さんに対してそれがいいかという判断はしかねます。

元患者:白内障について。手術にステロイドを使いますので、お医者さんに言われた方がいいです。ステロイドなしでもいけますから。 ステロイドの点眼をせざるをえないということでしたら、病院を変えた方がいい。実際私はなしでやりました。

 

Q10.サプリメント等について

何も薬はいらないという指導ですが、例えばビタミンとか、サプリメントとか、漢方薬とか、害にはならないもので何か使ってはいけないのか。
A10. 佐藤先生

食事がちゃんと摂れてなかったらビタミン剤とかも意味あると思うんですけども、普通に食事摂れてたとしたら、ビタミン剤は必要ないですし、 サプリメントは危険だと思います。効かないということが1つと、もう1つは、製造過程があんまりきっちりされてないので、不純物で何が入ってるかわからないことがあるので、私はあまりおススメしてません。

 

Q11.色素沈着について

質問者;43歳男性

色素沈着してしまったものはステロイド離脱したことで治るのでしょうか。逆に色素が抜けてしまったところも同じでしょうか。

A11.佐藤先生

人によってものすごい差があります。赤みがとれていく最中から黒いのがとれていく人もいるし、 また、赤いのがおさまった時にまっくろけになってそれが1、2カ月で治る人もいるし。しかし炎症がかなり長い間続いてる人はかなり長く残る場合もあります。だからそれは実際にやってみないとわかりません。 また、炎症後に色素がなくなるということは起こりえます。その場合はなかなか色はつかないみたいです。

 

Q12.仕事に就いて

アトピーは体質的なものなので仕事の制限だとか、疲れにくい仕事だったりとかいうことも今後考えなければいけないのでしょうか。

A12.佐藤先生

1番問題なのは、夜勤のある人は悪くなりやすいということです。治るのもちょっと遅いみたいです。 だからそういう意味では朝起きて、夜きっちり寝る仕事について、かつ、あんまりしんどくないような仕事の方が、悪くはなりにくいと思います。 あと、例えば、水仕事の多いような仕事とか、たびたび手を洗わなくてはならない仕事となると、それだけで悪くなるんです。だから、そういうことのないような仕事の方がいいです。

 

Q13.先進国の治療の現状について

アメリカや、先進国の治療には現状どういう治療があるのでしょうか。あるHPで、ステロイドの内服をして、まず傷を修復したうえで、治療するっていうのがあるみたいなんですけども。

A13.佐藤先生

アメリカでは、薬の使い方に関しての説明書きからすると、日本よりはるかに厳しいです。だから使われる薬についてもより弱いようなのがよく使われてますけどね。 でもやっぱり向こうでもステロイドでよくならない人がいるということを言い出している医者が出始めています。 向こうは女性なんかでも髭そりするんですけども、そのあとでステロイドなんか塗って、それを止めたらわーっと悪くなるようなことが起こり始めているみたいなんです。 そのくらいステロイドは塗られ始めているけども、まだあまり表には出てきてないんです。向こうは訴訟社会なんで、問題が起こったとしたらかなりガーッとやられるから、使うのは慎重だと思いますよ。
そのHPにある治療法っていうのは、全く個人の経験だけを言ってるだけだと思います。教科書的には、ステロイドの内服はできるだけすべきではないと、外国の教科書には書いてあります。

 

Q14.中学生の息子が円形脱毛について

中学生の息子が円形脱毛になってしまって、そのころ通っていた先生は、円形脱毛のところにはステロイドを塗ってと言われて悩みました。 違う皮膚科に行って、ステロイドを止めましたがリバウンドがひどく、特に頭がひどい状態です。浸出液が出たところを、学校に行く前にシャワーでガシガシ洗うのをどうしたらいいのかわからないんです。

A14.佐藤先生

正直言って難しいです。まだ若いので、見た目がすごい気になると思うんです。学校に行くとなると、それしないと絶対行かないと思うんですよね。 だから行くんだったらどうするのかという問題と、行かないでどうにかできるかという問題。どっちを選ぶかというのがまず1つ。 で、もし行くということになったとしたんだったら、皮膚をできるだけ傷つけないで髪の毛だけをうまく洗えるかどうかだと思います。それが可能かどうか。だけどそれも実際にはなかなか難しい。 だから、もうちょっと時間を待つしかないかなと。で、さっき私の話の中で、保湿の1つの形態として、かさぶたをとるというのがありましたよね。あれは今の状態と同じなんですよ。 せっかく治すために浸出液が出てきてかさぶたになって、その下にいい皮が出てくる時に、上をとってしまうから、また浸出液が出てくるということになるんですよ。 それが起こりだすとなかなか悪循環で止まりようがないんです。だからそれはどっかで何かを決断して、止めるということに持っていかないと治らないと思います。

佐藤美津子先生:子供さんが脱ステロイド・脱保湿をした親御さんについて。1番印象に残ったのが、脱保湿をして、すごく楽になったとおっしゃってたことだったんですね。 選択がなくなったってことです。塗り薬を、何を塗ろうかって迷わなくて済むようになったって。今のお母さんたちのほとんどは、ステロイドを塗りたくないんだけれど、 この子に合った保湿剤が何かないか、いろんな民間療法がいっぱいありますよね。いっぱい持ってる人がいるんです。何を塗ろうかって迷われるんですね。それがなくなって楽になったってことが、非常に印象に残っています。