佐藤健二)Furue M et al: Br J Dermatol 148: 128-33, 2003

ステロイド6か月の標準治療で、重症度改善38%、変化無59%、増悪3%。

治癒無し、改善1/3、不変か悪化2/3. 標準治療では治りにくい人が多数発生

治りにくいアトピーが分かったきっかけ

2歳男児、「乾癬」、ステロイド全身外用、激しい落屑、成長障害(低身長、低体重)ステロイドとアズノール軟膏中止で皮疹消失

成人型アトピー性皮膚炎(AD)とは

ステロイド未使用の本来のアトピー性皮膚炎に外用ステロイドの副作用である依存症が合併した病態

アトピー性皮膚炎の原因(未決)

これまではアレルギー説

IgE産生→アレルギー反応→皮膚悪化  食物・ダニアレルギーなど

最近では表皮防御壁機能の障害

①角層異常 フィラグリン②免疫反応亢進③tight junction

アトピー性皮膚炎は

①原因不明(アレルギーではない)②肘の内側、膝の裏側の湿疹③自然治癒力あり④多くは2歳までに、成人になればほとんど消失⑤怖い病気ではありません

IgE アレルギー説の問題点

IgE高値と関連づけているが

①抗体産生の最少時期に発症②IgE欠損症にアトピー性皮膚炎あり③皮疹改善前でなく、後にIgEは低下

食後に湿疹が悪化する生理現象

消化管の運動による発熱、暖かい食事→発赤増強

食事による血圧上昇→発赤増強、滲出液がもれる

食事成分が傷に付着→刺激で痒み、発赤

嫌いなものの存在→ストレスで掻破

刺激物で消化管刺激(唐ガラシ等)→皮膚への影響

本当のアレルギー(ごく稀:食事アレルギー)

多くは接触蕁麻疹(食べて起こることとは別)

蕁麻疹、下痢、腹痛、ショックなど激しい症状

ダニアレルギ-か?

病院ベッドに家庭と同量のダニは居る。この状態で治るのだから無関係

喘息の人はきちんと掃除、アトピーは普通に

 

小児アトピー治療の基本

①掻破の抑制なし②鳥肌でざらざらは放置③乾燥で痒みは保湿、乾燥でない痒みは止痒剤④掻き傷にワセリン、保湿剤⑤傷はガーゼ保護、かさぶたは取らない⑥入浴は短時間、石鹸は制限⑦体温調節に注意、子供は暑がり⑧食事制限なし⑨湿疹のない子と同じように遊ぶ

昔の研究  :大人までに84%消失
最近の研究:大人までに20%消失65%改善

成人型アトピー性皮膚炎発症率の概算

治療を受けた10人に1人が成人型AD  誰が成人型ADになるか不明

ステロイド外用中止法

1) 一気に中止する方法

    ステロイドも保湿も中止(子供、妊婦はX)

    ステロイド中止で保湿継続、後に保湿中止

2) 徐々に中止する方法(脱保湿を先行)

    ステロイドや保湿剤を徐々に減量 外来治療では非露出部位から開始

脱ステロイドでの実施内容

ステロイド離脱(外用、内服、吸入、点鼻、点眼)

保湿離脱(軟膏、水、布団、包帯、晒し、痂取り)

水分制限(食事以外に約1200ml/日水分摂取)

食事制限無し(高蛋白、何でもバランスよく)

理学療法(痛みがなくなれば散歩から速歩へ)

規則正しい生活(起床、食事、学習仕事、就眠)

周囲の人は「掻くな」と言わないこと。爪切り励行

精神的ストレスを減らすこと、止痒剤・眠剤内服

残ったアトピー性皮膚炎の経過

ゆっくり自然治癒していく(消失していることあり)

ステロイド外用の影響で回復遅い

自然治癒を促進させる方法 運動、リラックスなど

残ったステロイドの影響とは?

ステロイドの影響(細胞記憶)は何年もかかって回復

例え話:正常皮膚でのストレス対応力を10

ステロイドで甘やかされ皮膚の対応力が2に低下

ステロイド外用中は

ステロイドの対応力8+皮膚の対応力10

脱ステロイド直後は皮膚の対応力のみ

安定後は皮膚対応力が徐々に10に近づく

 

脱保湿に思い至った症例

全身アトピーにステロイド、改善なく萎縮等の副作用

ステ中止か最強ステ使用?。ステ中止とワセリンを選択

離脱症状の後、紅斑・瘙痒・爪幅掻破痕改善せず

乾燥肌では掻破痕ができにくいことに気付く

乾燥が皮膚を強くするとの期待→脱軟膏→皮膚改善

保湿依存症とは

皮膚を保湿しないと一定の安定状態を保てない

過剰な水分が皮膚に存在する状態が「正常」

ステロイド中止で保湿継続はステロイド外用と同様状態

いろいろな保湿方法

①軟膏、クリーム②超酸性水、化粧水③オリーブオイル、ホホバオイル、馬油④全身をガーゼ、包帯、晒しで巻く⑤常に布団の中に居る⑥長い頻回の入浴⑦化粧、日焼け止め⑧かさぶたを擦り取ってツルツルにする⑨滲出液をぬぐい取る⑩水分過多

ステロイド外用後の皮膚内濃度

                 0日(%)    4日後(%)

Ⅱ群(very strong)           100      3-13 

Ⅳ群(mild)                   100      17-30

4日後のステロイド濃度約10%は血液中の約10倍。Strongestのステロイドでは人間の体が作るステロイドの約1000倍の強さ。Strongestの場合、初日のステロイドの強さは 100 x 1000 = 100,000 (十万倍の強さ)

ステロイド外用と脳幹との関連

成長抑制 発汗異常 乳汁分泌異常 抗利尿ホルモン異常高値 生理不順

脱ステロイド入院の目的

①安静②脱ステロイド中の併発症の早期発見③規則正しい生活への訓練 睡眠、食事、運動など④家族の負担軽減 布団・シーツの汚れ、床への落屑⑤改善遅延・悪化要因の検索⑥脱ステロイド脱保湿理論の習得

免疫抑制剤の軟膏(プロトピック)と内服薬

①ステロイド離脱に利用可能例は軽症、脱ステで治る②保湿剤依存症には無効③小児への使用許可は問題④内服免疫抑制剤(ネオーラル)は絶対拒否のこと