2013年9月15日からスタートした日本皮膚科学会作成「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」の内容の改訂を要求する署名運動は、2014年9月30日数多くの皆様のご協力のお蔭で、目標の1万件を大幅に上回る「16112筆」を日本皮膚科学会へ提出することができました。ご協力してくださった皆さま本当にありがとうございました。
(補足:署名は2回に分けて提出。第1弾7月22日提出9055筆http://atopic.info/blog/staffblog/2014/07/2337
第2弾9月30日提出7057筆)

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「第1弾9055提出時の様子」
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「第2弾7057提出時のもっちーさん(後述)と事務局の様子」

実のところ署名運動を始めた当初はスタッフの間でも「1万件」に達することでさへ難しいのではないか?という不安がありました。社会的な認識では「アトピー性皮膚炎の治療薬はステロイド」が普通であり、テレビ番組・新聞においてそのことを大々的に紹介したからです。その一方で、脱ステロイド治療を選択した患者さんやそのご家族に対する社会的な理解も低いことから「活動」を行う自体が意味のあることなのではないかと思いスタートいたしました。
しかし、私たちの活動がそんな不安は時間がたつにつれ払拭されていきました。
ここに「16112筆」が集まるまでの経緯をご報告させていただきます。

まず、大前提といたしまして私たちの署名運動は、1)change.orgを使ったインターネットにおける署名、2)紙面による署名 3)街頭での署名運動の3つで行いました。

署名運動スタート時は、私たちの活動不足も影響し数字に伸び悩みがありましたが、思いもよらない「大きな事件」により多くの皆さまの目に活動が注目されることになりました。ご存じの方も多いと思いますが「横浜都筑区・山口医院 ステロイド混入事件」です。
ステロイドが入っていないと明記していた「漢方クリーム」に実はステロイドが入っていたという事件で、多くの患者さんが被害にあわれました。私たちにとってこの事件は、けっして他人事ではない大変胸の痛むものでした。
4月4日に都筑区で山口医院の患者さんを対象とする説明会が開かれ、その近辺で行われた有志の方による「署名運動」にて300を超える署名をいただくことができました。発起人は「阪南脱ステ日記」でモデルになったもっちーさんでした。http://www.hannan-chuo-hsp.or.jp/shinryoka/hifuka/index.html
そして、数多くの署名を集めてくださったのは同じく阪南中央病院に入院していた患者のNさんでした。
この日は、多くの報道関係者の方も参加し私たちの活動がマスコミの方にも知られる大きなきっかけとなりました。弁護士のKさんとatopicスタッフでアトピーっ子育児の会代表の遠藤さん(ちんじゅうさん)のご尽力でした。この署名運動がすべてのきっかけとなりました。ご参加いただいた皆さまには心からお礼申し上げます。
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「都築区での署名の様子」アトピーっ子育児の会ブログよりhttp://ameblo.jp/atoiku/

その後、5月17日に新宿で「署名運動」を行いました。詳細は以下のブログで。http://atopic.info/blog/staffblog/2014/05/2293
都筑区における署名運動は活動に理解を示してくださる方が多くいましたが、都会の中心で私たちの活動を「何もご存じではない」方々に署名をお願いする行為は大変な勇気がいるものでした。
そんななかでも、多くの仲間とともに足早に去ってゆく人々に「署名運動」に関するチラシを配布してゆきました。そんななか足を止めて署名に協力してくださる方がいました。「自分の大切な人がアトピーで苦しんでいる」など身近な方のことを思って署名をしてくださった方や、チラシを読み活動に理解を示してくださる方や、twitterで活動を知り駆け付けてくださった方、大阪でのatopicの講演に参加し応援参加してくださった方もいました。
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「新宿での署名の様子 マスコミの取材もあったが報道はされず。。。」

この直後、幸運なことにインターネットの署名サイト「change.org」の注目のキャンペーンに選ばれたことは私たちにとって“追い風”となりました。インターネットにおける署名数が劇的に増え、facebookでも情報が拡散されていきました。著名な方々からもfacebookで呼びかけをいただくなど、人と人とのつながりから情報が拡散してゆきました。ご協力いただいた皆さまありがとうございました。特にAさんには大変お世話になりました。
また、海外からの署名もたくさんいただきました。この問題は日本のみならず海外においても大きな問題なのだと改めて認識しました。海外の署名が増えた理由はイギリス在住の日本人女性のブログで紹介されたのがきっかけでした。
「skin of rose」http://skinofrose.blogspot.jp/
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「署名活動に多大なご協力をいただいたA氏による署名数の推移表」

続いて、7月6日大阪において、atopicとともに活動を共にしている佐藤健二先生・佐藤美津子先生を中心に街頭署名が行われ多くの署名をいただくことができました。夏の暑いさなか、多くの仲間たちが帽子をかぶり参加してくれたそうです。
7月13日こうのす共生病院・水口聡子先生を発起人とする署名活動が鴻巣で行われ、練馬の藤澤皮膚科・藤澤先生と多くの方にご協力いただきました。ここでも数多く署名を集めることができました。

こうした署名運動の一方で、地道に署名が集まったのが「書面での署名」です。
実に、今回の署名の76%が書面による署名でした。中には、幼稚園に許可を得て署名用紙を手紙付で関係者に送ってくださった方もいました。アトピーでお悩みのお子さまを持つご家族の皆さまには多大なご協力をいただき、感謝申し上げたいとおもいます。
私の手元には、署名とともに同封された多くの手紙があります。
お子さんがアトピーで医者からすすめられたステロイドを使用したところひどいリバウンドを経験した方。「何も知らずに使っていた罪悪感」に胸が押しつぶされそうになっていたと書かれていました。
脱ステをし19年たつという成人患者さんは、いまだにすっきりは治らないけれど頑張っているというメッセージとともに署名を送ってくださいました。
大学病院に治療に通ったものの医師のひどい対応を受け「医者不信」に陥ったという方。
“はじめからステロイド外用剤を使わなければよかった”という表題でご自身のお子さんが体験した「ステロイド依存性皮膚症」に関して記しお知り合いに署名をお願いしたという方。
養護教諭をしている方は子供たちが苦しむ様子を間近でみているため「ガイドライン改訂」を強く希望すると書かれていました。
ここでは紹介しきれませんが、多くの方の“思い”を手紙を読みながら、また手書きの署名を拝見しながらひしひしと感じました。

最後に、先にも触れましたが実に興味深い動きがあったのが「インターネット」での署名です。
先に書きましたが、change.org(https://www.change.org/ja)というネット署名サイトを利用しました。
atopicHPTOPページより閲覧可http://atopic.info/

まったく私たちの活動を知らなかった方から、口コミや広報活動を通じて活動を知ったという方から数多くの署名をいただきました。「一般の多くの皆さま」の目に私たちの活動が知られることになったきっかけになったと思います。
このサイトでは署名をしてくだった方に自由にコメントを書き込んでいただくことができるのですが、大変感慨深いメッセージが数多く寄せられました。
全てご紹介したいところですが、その一部を抜粋させていただきます。
「私の子供もアトピーで苦しみました。
ステロイドの副作用で又苦しみ
年頃になって何年かかかりましたが、治りました。絶対ステロイドは反対です。」
「患者の立場に立って最善の治療法が選択できるガイドラインの改訂は必要ですね。」
「患者さんのための治療をすることが医者のつとめに思います。」
「“上手に使えば大丈夫”“コントロールすれば害はない”……最近、どこか別の場所で、聞いたようなセリフですね。お偉い「センセイ」がた、あなたがたは、病に苦しんでいる人間たちを、本当に愛してくれていますか? 小さな子供たちの将来、人生を、親身になって考えてくれていますか。僕は、このキャンペーンに賛同します。」
「病気ではなく、人を診てください。そうすればこんなことは起こらないはず。」
「医者の思い込みで効果の見込めない治療を続けられるのはたまったものじゃありませんね。治療法選択の自由に賛成です。」
「薬もお金設けの道具ということ。許せないです・・・!」
「日本皮膚学会はステロイド療法・プロトピック療法に固執することを直ちに止めよ!」
「もうこれ以上皮膚科学会の怠慢、責任逃れを許す事はできない。
患者一人一人が声をあげてこのステロイドの副作用の危険性を社会に伝えなければならない。」
「患者の苦しい声に耳を傾けて下さい。現実をしっかり見て下さい。」
心からのメッセージの数々を拝見するたびに、今回署名運動をやってよかったなと思いました。皆さんの声を届けるために皮膚科学会にもすべてのメッセージをコピーして渡してまいりました。

私たちの活動はマスコミの目にもとまりました。先に触れた横浜都筑区における署名運動で活動を知った朝日新聞の記者の方が活動を新聞で取り上げてくださいました。
記者の方はなかなかマスメディアでは取り上げにくい問題に対して真摯に対応してくださり、心からの感謝を申し上げたいと思います。また、引き続きこの問題に関して取材を続けていただきたいです。
ステロイド混入被害拡大 朝日24_8_8朝刊 (800x671)
「朝日新聞取材記事」

私たちは皆さんの思いと共に最終的な署名を9月30日に日本皮膚科学会へ提出してきましたが、署名とともに私たちは以下の文章を手紙に記しました。
「この署名を提出した旨は、署名にご協力いただいた方全員に報告するとともに、atopicが運営しているHP、facebook、SNS内のコミュニティにても情報を公開いたします。
日本皮膚科学会様におきましては、何らかの返答を本手紙に記しました連絡先にいただけるようお願いいたします」
日本皮膚科学会の上層部の方々と、ガイドラインの執筆者の方に、私たちの署名と数多くのメッセージが届けられたのかはわかりません。日本皮膚科学会の真摯な対応を切に願うとともに、返答の内容によっては対応策を考えたいとおもいます。
実は、今回の活動はアトピー性皮膚炎の問題の歴史的な流れにおけるひとつの「通過点」だと思っています。
というのも、これまで長い間数多くの方々が私たちと同じように「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」に対し疑問を持ち改訂を要求してきたからです。しかし、学会は一向に耳を傾けてきませんでした。詳しくは、深谷元継先生のブログをご覧ください。
http://blog.m3.com/steroidwithdrawal/20140812/1

そのため、私たちは今回の活動は一筋縄にいかないということを覚悟しています。「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」が患者の目線に立ったガイドラインに改訂されるまで要求し続けなければいけないからです。混迷するアトピー性皮膚炎に関する問題が、患者にとってよりよいものに改善される社会になることを強く願い訴え続けないといけないと思っています。その一方で、患者は増えつづけ、脱ステロイドを行う医師達は高齢化してきています。私たちもボランティアで行っているためどこまでできるのか不安です。もちろん、時間にも体力にも「限り」があると思います。

先日、東京都・新小岩で行われた「第28回アトピー性皮膚炎講演会」は大変多くの皆様にご来場いただきました。その中には、インターネットを見て来場された方が多くご参加になり、change.orgにおける署名運動でatopicの活動を知り参加した方も多くご参加いただきました。講演会の冒頭で、署名運動のご報告をさせていただきました。
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「講演会の様子」
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「会場まえで行われた懇親会ではスタッフのご家族にもご協力いただき、手作りの懇親会となった」

最後に、私たちの活動に16112人もの皆さんが一緒に関わってくださったこと、応援してくださったことに対し再度深くお礼申し上げるとともに、今後の私たちの活動を引き続き見守っていただければありがたいです。
多くの方のご協力なしでは今回の署名運動は実現できませんでした。
お一人お一人にお礼を言いたいところですが、この場を借りてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
最後に、署名運動のアイコンになる漫画を描いてくださった漫画家のぬまじりよしみさんにもお礼を申し上げます。
最新作、「再発!あやか編」を是非ご覧ください。
http://www.hannan-chuo-hsp.or.jp/shinryoka/hifuka/index.html

次回、「第29回アトピー性皮膚炎講演会」は11月2日(日)大分市で行われます!
多くの皆さまのご来場をお待ちしております。http://atopic.info/blog/event/lecture/2014/10/2402

atopicスタッフ一同 共同代表:菊池巧・伊藤愛子

(文責伊藤:下手な文章で読みづらい点があったと思いますが、最後までお読みいただきましてありがとうございました。)