脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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 昨日(2/22)の講演会会場は、収容人数は84名(机を入れて椅子に座る)でした。机があって80余人が座れる部屋を取っていただいていて本当に良かったです。講演会前日に西区民センターから直接「講演の問い合わせが非常に多い」と連絡が入りました。参加予想人数が多くなりそうでした。急きょ、当日机をすべて撤去して、椅子だけにしました。130人ほどになりました。しかし、講演開始時間にはすべて埋まってしまい、新たに椅子を出すことになりました。結局、予備の椅子をすべて使い切ってもすべての人には座っていただけず、来場者にお願いしてすべての椅子を前に寄せ、後ろの立見席の場所を広めて頂きました。立見席には30人を超える方が居られました。結局、入場者は200人を越えたとのことです。
 司会者の開会の挨拶、atopic 代表水島様、佐藤小児科からの話の後で私の講演が始まり、ほとんど眠られる方もなくよく聞いていただきました。その後、お二方の患者体験談は、参加者の皆さまは本当に食い入るように聞かれておられました。その後、質疑応答がありこれも時間いっぱいまで多くの質疑がありました。答えの一部を患者の立場として水島様がユーモアを交えて話してくださいました。まじめな先生ではありますが、一人の皮膚科医の質問はアトピー診療の混乱の現実を分かっておられないことを示すもので、皮膚科医として私は少し悲しいものがありました。
 講演会の後は、広島駅のビルで広島の美味しいカキを御馳走になりました。皆様と旧交を温めることができ楽しいひと時を過ごさせていただきました。
 講演会は大変な成功であったと思います。新聞に出たことが大きかったと思います。しかし、少しずつ私達の講演会活動が知れれてきていることもあるのかなという気もします。今後、この活動をひろげステロイドで困っておられる方にそこからの脱出方法をお示しすることに加えて、ステロイドで悩むアトピー性皮膚炎患者さんを作らないようにする活動も重要になってくると思います。
 講演会の簡単な御報告と、お礼を申し上げたいと思います。皆様ありがとうございました。

(さらに…)

 最近、突然明瞭な理由もなく、主として顔面がジクジクして、何故かな何故かなと思って経過をみていると、顔を中心としてジクジク以外の皮膚に3−4mmの赤い丘疹(盛り上がり)が出現し、時には全身にも同じ丘疹が出現するということが起こっています。この丘疹は直ぐに中心に小さな褐色の痂皮(かさぶた)ができ、一部の丘疹では中央が臍(へそ)のように陥凹しているものが見られます。この経過は、単純疱疹の拡がったもので、カポジ水痘様発疹症といわれるものです。
 何故これがよく起こるようになったのかは不明ですが、理由がなく突然ジクジクが起こったときには早期に受診し、抗ウイルス剤の内服や点滴をしたほうがいいように思います。
 皆様にお願いがあります。これが起こるときの誘因として考えられるものが何かを教えてほしいのです。よろしくお願いいたします。

世界で最も権威のある教科書の一つであるアメリカの皮膚科学教科書「一般医学の中の皮膚科学」第7版の「予後と臨床経過」の中に次のような記述があります。
「臨床経過:
 この病気は若い小児において一般的により重症でより持続する傾向にある。昔の研究では、84%近くの小児は成人までにアトピー性皮膚炎がなくなる。より最近の研究では、乳児から成人まで経過を見た小児の20%でアトピー性皮膚炎は消失するが、65%で症状の強さの程度ががよりましになる。」(教科書)
 これから判断すると、記載がなく経過の不明な15%の人は除いて、昔は85%の人は成人までに治っていたが、今は成人になっても20%の人しか治らず、65%の人は何らかの形で病気を持続させている。この65%の人が治らないでいる理由は何かが問題となる。少なくとも、昔の治療状況に比べて今の治療が旨く行っているとはいえないということである。これが有病率の増加として現れている。
 同じ教科書には「1960年代以降、アトピー性皮膚炎の有病率は3倍以上に増加している」と記されている。
 有病率は発症率とは別です。今、確実に増加していると言われているのは有病率です。
 発症率は、例えば、2008年に生まれた子供のうち何人の人がアトピー性皮膚炎になるかという率です。例えば10000人生まれて2000人病気になれば、発症率は20%です。有病率はある時点でアトピー性皮膚炎の病気を持っている人の率です。だから、Aと言う病気とBと言う病気の発症率が同じでも、病気が治るまでの期間がAでは1年Bでは2年とすると、有病率ではBはAの2倍になります。昔、大阪府で行われたアトピー性皮膚炎の発症率は変わっていないという結果があります。昔と今で発症率が同じで有病率が今のほうが高いとなれば、治るのが遅くなっていると言えます。なぜ治りが遅くなっているのかが問題となります。
 その答えはステロイド外用剤の使用だと言ってもほとんど間違いありません。なぜなら、ほとんどの人にステロイド治療がなされ、ステロイド治療で治らない人に脱ステロイド治療をするとほとんどの人が良くなるからです。

アメリカ研究皮膚科学会の雑誌の最新号に出ていた論文の紹介
「アトピー性皮膚炎:自然免疫の生涯によって起こっている病気?」
Atopic dermatitis: A disease caused by innate immune defect?
Benedetto AD et al: Journal of Investigative Dermatology 2009; 129: 14-30
 アトピーはこの半世紀間、有病率が増えている。アトピー性皮膚炎の発症と重症度に自然免疫の障害が影響している事を示唆する研究結果が増えている。自然免疫とは、皮膚で作られる抗菌作用のある蛋白質の分泌、皮膚への白血球やリンパ球(NK cell)などの補充、白血球が細菌を食べる能力などです。これらの機能が落ちることによって黄色ブドウ球菌や単純ヘルペスの感染症が起こりやすい、またこれらの病原性微生物によって元々バリアー機能が落ちている皮膚が傷害され、更に細菌やアレルゲンが皮膚を通り易くなって皮膚の障害が起こり、皮膚炎が起こる。またIgEの産生が増え、アトピーが悪化する。
 このように説明しようとしています。
 このような理論だと、黄色ブドウ球菌や単純ヘルペスが感染するとアトピー性皮膚炎の全体がひどく悪化してもよさそうなのに、感染部分だけが悪くなり、感染が治癒すると元の湿疹の状態になります。
だから、アトピー性皮膚炎の悪化と皮膚感染症の悪化とは別のものと考えるべきだと思います。
 個々の引用論文を調べたわけではないのでなんとも言いようがないのですが、人を対象として調べた場合、多くの人はステロイド外用歴のある方だと思います。すると、ステロイドの影響はどのように除外したのかが問題になります。影響を除外できるかどうかも問題です。だから、自然免疫にステロイド外用剤が与える影響をきちんと検討しないと何を調べているのか分からないことになります。
 研究は皮膚しか見ていません。ステロイド外用により生じてくると考えられる内分泌異常、生理不順、発汗異常、抗利尿ホルモン分泌異常などもアトピー性皮膚炎患者の重要な問題点です。これは、皮膚だけを見ていても全く解決しません。また、アトピー性皮膚炎が大人になるまでに治っていくという経過についてはこの説でどのように説明するかは全く取り付く島はありません。依然として、私の本の中で述べたように、アトピー性皮膚炎の原因についての研究はまだほとんど信頼できるものはないといえるでしょう。