脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
Header

最近の学説、アトピー性皮膚炎で食事アレルギーはほとんどない

10月 2nd, 2009 | Posted by 佐藤 健二 in その他

 第30回近畿アトピー性皮膚炎談話会(2009.9.26)で国立成育医療センターのアレルギー科医長の大矢幸弘先生(今年の9月5日にNHKでアトピーについて話された先生)が話された内容で、食事アレルギーとアトピー性皮膚炎との関係は、最近の学説ではほとんど関係がないという考え方に変わっていると話されました。この学説は、システマティックレビューという、最近の最も信頼できる分析方法に基づいて述べられました。勿論、アナフィラキシーを起こす食事はあるがこれはほんのごく一部で、すぐわかる症状だということです。
 食事とアトピー性皮膚炎に関連する大矢先生のお話の内容の要点を述べます。妊娠中の食物制限はアトピー性皮膚炎の予防効果は無く、アレルギー検査が陽性になるという意味での感作という点でも予防効果はありません。更に、生まれた子供の平均の体重は100g少なかったそうです。授乳中の母親の食物制限もアトピー性皮膚炎発症予防効果はありません。衝撃的だったのは、授乳中の母親の食事制限が子供のアトピー性皮膚炎の予防に有効であると述べられていた有名な論文がねつ造(嘘)だったことでした。牛乳や離乳食を開始する時期や母乳をあげている期間の違いは2歳での抗原感作率に影響がありませんでした。驚きの話のもう一つは、離乳食を開始する時期が遅いほど2歳でのアトピー性皮膚炎が多かったということです。
 私は以前よりアトピー性皮膚炎の悪化に食事アレルギーはほとんど関係がないので、アナフィラキシーを示す食事以外は制限する必要がないと訴えてきました。大矢先生は小児科医ですので、今後食事制限をしなくなる小児科医は増えていくでしょう。このことは、アトピー性皮膚炎の治療における大きな転換点になると考えます。保育所や幼稚園、小学校などでの食事制限が早くなくなることを願います。アトピー性皮膚炎治療上の二つの大問題のうちの一つが解決されていくかもしれません。早くこの考え方が拡がることが望まれます。もう一つの問題点はステロイドとプロトピックの外用です。これについても何とかしなければなりません。

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 You can leave a response, or trackback.

コメント(5)

  • kodoku

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    8月4日に佐藤先生の病院に伺った東京の東村山市の者です。
    中2に娘がアトピーで、私は母です。
    あれから2か月以上たちましたが、一向によくなりません。
    ご注意いただいた爪は、2日に一度はやすりで丸くしています。
    学生なのである程度は規則正しく、食事も魚、野菜中心のわりと良いものと思っています。
    でも運動は本人やる気なく、私も忙しさにかまけ見てられませんでした。
    またはがしぐせも治らず、夜中ガーゼや包帯を巻いていたこともありますが、無意識に外しているようで、一時期は私が2時間ごとに起きて巻きなおしましたが、続きませんでした。
    夫には「いつ治るんだ」と言われ、娘は治りたいが努力はしない状態で、私はとても孤独で、ときどき自分の腕をかんだり大きな声を出してしまいます。
    そこで私としては娘を冬休みの期間、阪南病院に入院させていただけないかと思っています。
    もうステロイド治療には戻れないのに、苦しいです。
    本人も了解していますので、どうかお願いします。

  • you

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ありがとうございます。
    一度診察していただけると心強いのですが、遠方のため
    中々難しい状況です。
    貨幣状湿疹にステロイドを、それとは知らずに塗り続けていました。
    最初からステロイドの説明も全くありませんでした。
    皮膚科院内で、薬を説明書き無しで渡すところがまだ多々
    あるようですが、この状況も、私の様な無知さ故のステロイド依存を
    生んでいると思います。
    現在の主治医に、ステロイドの副作用は収まってきているが
    新たな疾患にはステロイドを使った方がいい、と言われています。
    今までは頑なにステロイドを拒んできましたが、
    佐藤先生のお話からすると主治医に従うべきなのでしょうか。

  • 佐藤健二

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
     アナフィラキシーが起こらない限り基本的には何を食べてもいいと思います。控える前にアナフィラキシーが起こっていなかったら私の患者さんにはなんでも食べてください、とお話しております。
     貨幣状湿疹はアトピー性皮膚炎と別の病気であることがあります。同じようには考えない方がいいと思います。
     一般的に、貨幣状湿疹に対して亜鉛華軟膏の効果は劇的ではありませんし、効かないことも多いです。
     一般論はメイルでもお話しできますが、どなたに対してもその人個人に対する治療は実際に診察しないと確実なことがいえませんので、メイルではお答えしないようにしております。お許しください。

  • you

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    現在、ある本に基づき、アトピーを発症しておる4歳娘に油、卵、乳製品、砂糖等を控えさせております。こちらもまったく必要ないと言う事でしょうか?予防、と言う観点でのお話でしょうか?
    また、現在私自身が、貨幣状湿疹にステロイド乱用による依存症のため脱ステロイドを試みております。同時に新たに貨幣状湿疹ができておりどうやら自家感作皮膚炎も起こしている様なのですが、この場合はどの様に対処すればよろしいのでしょうか。
    先生のご本に亜鉛化軟膏塗布とあり、実践しておりますが効果が
    感じられず困惑しております。
    何卒お力をお貸し下さいませ。よろしくお願いいたします。



Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA