脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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朝日新聞、「大人のアトピー」への意見

Posted by admin in 新聞・テレビ

朝日新聞「患者を生きる 皮膚 大人のアトピー」への意見を新聞社に送りました。以下がその内容です。
 私は阪南中央病院皮膚科に勤務する皮膚科医です。「患者に学んだ成人型アトピー治療、脱ステロイド・脱保湿療法」(つげ書房新社、2008年)と「ステロイドにNo!を 赤ちゃん・子どものアトピー治療」(子どもの未来社、2010年)を出版しました。
貴社の「患者を生きる 皮膚 大人のアトピー」を注意して読ませていただきました。アトピー性皮膚炎の治療について言おうとされていることは、「⑥情報編」の「ステロイドは、…強さが5段階あり、症状や部位に合わせて使い分ける。強い薬から徐々にランクを落とし、塗る頻度を減らしていく。 適度な強さの薬を、適量、適切な期間使うことが大切だ。塗ってもよくならない場合は、薬の強さが合っていない、塗る量が足りないと言った理由が考えられる。」そして、副作用については殆ど問題がないということにまとめられると考えます。この内容を読むと、ステロイドを塗って治らないのはガイドラインに従ってきちんとステロイドを外用しないからだということになり、その責任はきちんと塗らない患者あるいはそのような指導をしなかった医師の責任ということになります。
殆どの皮膚科医は、東京逓信病院皮膚科部長先生が行われた濃厚な治療をすれば一時的に皮膚がよくなることは知っています。問題は、相談員の患者さんが4年前にいったん「なめらかな肌に戻っていた」にもかかわらず、現在でも保湿やステロイドやプロトピックを使わなければ生活できない状態が続いていることです。患者さんには、毎日の外用治療は時間的にも経済的にもそしてこのまま一生この状態が続くのかという精神的な不安など大変な負担があります。何も塗らなくてもよい状態にしたいと思い、ステロイドやプロトピックを減らそうとしますが減らせない人が非常に多いのです。私のところを受診する人の中には、ステロイドを止めようとしても止められずに20年30年塗り続けてこられた方もおられます。勿論、20年ほどステロイドを使用してこられた方が仕事を続けながらステロイドを徐々に減らして、1年ほどかけてステロイド離脱症状がほとんどなしに止めることができたこともあります。しかし、このような方はどちらかと言うと珍しいです。
2009年のアメリカ研究皮膚科学会雑誌に、「表皮防御壁機能障害」と題するアトピー性皮膚炎の原因などについて将来を見通すような概説論文が載りました(Cork MJ et al, J Invest Dermatol 2009; 129: 1892-1908)。この中で、「表皮防御壁に与える外用糖質ステロイドの影響」という項目の中で次のような内容の記述があります。少し長いので簡略化して述べます。「外用糖質ステロイドはアトピー性皮膚炎の治療に有効に使用されている。しかし、アトピーが持つ表皮防御壁の欠陥に対しては良くないという証拠が増えてきている。皮膚防御壁が傷む現象は、3日間という短期間の非常に強力な外用糖質ステロイド使用でも起るし、6週間という長期間の非常に弱い外用糖質ステロイドの使用でも起る。外用糖質ステロイドの中止後に起こるリバウンド悪化は、他の方法による防御壁破壊の後で見られるものに似ており、外用糖質ステロイドの使用によって抑えられていた免疫機構が解き放たれ、炎症反応が出てくると考えられる。更に、ステロイドは落屑を起こす蛋白分解酵素を作らせる。これらを総合して考えると、外用糖質ステロイドはアトピーの炎症を抑えるが、同時に皮膚の防御壁をさらに傷つけ、アトピーのさらなる悪化を起こす危険性を高めるようである。」と結論付けています。アメリカ研究皮膚科学会雑誌は世界で一番権威のある皮膚科学関連の雑誌と考えられています。ここで述べられているリバウンド悪化は、1979年に、外用ステロイド中止で激しい離脱症状が出現することと、この現象が潜行性の副作用で医師の間で認知度が低いステロイド嗜癖(依存)によって起ることが既に報告されています(Kligman AM, Frosch PJ, Steroid addiction, Int J Dermatol 1979; 18: 23-31)。このように、ステロイドを止めたいけれども止められない状態が存在し、そのことがアトピー性皮膚炎の問題を起こしていると私は考えています。私のところでつらいステロイド離脱症状を通り抜けると非常によくなられる方がほとんどであることがそのことを証明していると考えています。
ステロイドを塗って平穏な生活をされる方がおられることを新聞紙上に発表されることはそれはそれでいいでしょう。しかし、ステロイドをやめたくても止めれない、止めるために何をしたらよいか知らない人が非常に増えていることは事実です。この人々のための情報も新聞紙上に出てきてもいいのではないかと思います。脱ステロイド治療について紙上に載せてほしいとマスメディアに話をしますと、学界で認められている標準治療以外の情報は紙上には出しにくいという反応がほとんどです。これでは大本営発表の内容をそのまま紙上に出した戦前の新聞と何ら変わりはありません。そして、困るのはステロイドで本当に困っておられるアトピー患者さんです。このようなことが起ってくる根本的な原因は皮膚科学会のアトピー性皮膚炎に関する診療のガイドラインの欠陥だと考えています。朝日新聞社がアトピー問題の本当の現実を知り、正しい解決に向けて公平な情報を広く報道されることを期待いたします。そのことが皮膚科学会の間違いを正す一助になることは間違いないでしょう。

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2 Responses

  • says:

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    こんにちわ。朝日新聞の記事、ネットで読みました。
    あそこの病院には入院したことがあります。どこの大型病院と同じ、
    ステロイドを縫って包帯、抗生剤の点滴、3日もすればかなりひどい動けない状態のアトピーがうそのようによくなります。
    しかし残念ながら退院後その好調の波はつづきません。
    ステロイドも減りません。皮膚科ガイドラインは長期使用は進めていないと思いますが、実際はかなり多量のステロイドを何年にもわたって処方していますし、だんだん聞かなくなる・・それも事実です。
    でもやめられないんですが。
    あの記事を読んだ知人が
    「自分一人だけが、でなく、こんなに多くの人も病気なんだなあと思って読んでください。きっときっとよくなりますよ」と新聞記事とともに送ってきました。
    私、かなりの重症でした、今は中症状かなといって全身かさかさになるし、粉は散るやわらかいところからは汁がでて、お風呂にはいるときは息をとめてはいります・:・ステロイド塗るととまりますが。。見た目は20歳老けて見えるようです・・です(泣)が、自分ひとりだけが・・なんて思ってないし
    泣いて暮らしているわけではありません。
    (でもそう見えてるってことですよね。たかがアトピーwで長期にたって半療養生活家事手伝い・・はたからみればなまけものなんでしょう)
    。それに他人が進めてくれる民間療法をためさないと「治す気がない人」扱いを受けます・・・。
    ネットで闘病してる人はたくさんしってるし、
    自分ひとりだけが・・・と人生を悲観している、悲劇の主人公してる、もっと前向きに!とおもわれてるんだなあと悲しくなりました。
    もう半ばあきらめ状態であることは事実ですが、皮膚科には漫然と通う状態になってますし・でもある意味自分を受容して、まったりと生きていこうと達観してるんですけどね。
    ああいう特集記事は許せない。

    • 佐藤 健二 says:

      ご返事が遅くなり申し訳ないです。おっしゃることはよくわかります。一度、患者に学んだ成人型アトピー治療、脱ステロイド・脱保湿療法に従って、ステロイド治療の悪循環から離脱されませんか。



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