脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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阪南中央病院健康教室、アトピーの治療、ご報告

4月 24th, 2011 | Posted by 佐藤 健二 in 阪南中央病院

第91回 阪南中央病院 健康教室 2011.4.23
「アトピー性皮膚炎の治療について」のご報告

豪雨の中、定員80名の所78名の参加がありました。最も遠くからは静岡県から来られました。既に報道されていますが、どういうわけかお茶のサービスがありました。私は多少脱水だったので2本飲ませていただきました。スライド原稿のコピーも色刷りで、筆記用具のボールペンも配られました。サービス満点でした。病院職員である私が言うのも変ですが、お世話下さった健康教室の皆さんにお礼申し上げます。

話の内容は、まず、ガイドラインの簡単な説明とガイドライン作成者の論文(Brit J Dermatol 2003; 148: 128-133, Furue et al)の説明をしました。後者については、6か月のステロイド治療で、1200人強の人々の重症度がどのように変わったかについてです。誰一人として治癒したものは無しです。62%の人は同じ重症度か悪化で、改善したのは38%です。

次に、ステロイド治療で治りにくい理由の説明をしました。治りにくいアトピー性皮膚炎は、本来のアトピー性皮膚炎とステロイド依存性皮膚症(=外用ステロイドの最も重大な副作用)の合併した状態で、ステロイドの依存性にステロイドを外用して抑えようとするため依存性を深めていき、いつまでたっても治らないと説明しました。この状態からの離脱には脱ステロイドと、ステロイド依存性に併発する保湿依存症を治すための脱保湿が必要です。ステロイドを使わずに治療すれば、アトピー性皮膚炎は怖い病気でないことが分かっていただけます。なお、脱ステロイドや脱保湿は、サプリメントを少し飲むという様にちょっと何かをしたら苦も無く良くなるという治療ではなく、大変厳しい治療であることを知っておく必要があることを強調しました。
また、アトピー性皮膚炎の治療で問題となっているアレルギー説についても、根拠を示してアトピー性皮膚炎がアレルギーで起こっているのではないことを説明しました。また、佐藤小児科のデータを示して、ステロイドを使用しなくても幼児の顔面の湿疹は治ることと、ステロイドを使った人より使わなかった人の方が早く治ることを示しました。外用ステロイドは意外な所に作用していることや、免疫抑制剤であるプロトピック(外用)とネオーラル(内服)はけっして使わないよう勧めること等を話しました。

質問も時間いっぱいありました。低蛋白血症・低ナトリウム血症などを示す乳児の治療、水分制限の方法、引きこもりから逃れる方法、炎症後の色素沈着、などです。

この講演会で感じたことは、標準治療は皮膚科医や小児科医が述べるように患者を治癒に持って行くことの難しい治療法であるということを患者自らが勉強して知る必要があるのではないか、ということです。この講演に使用した古江氏の論文の重症度の変化については、それを整理してインフォームドコンセントに載せ、それを基に自分たちの希望する治療をしていただくようにするのがいいのではないかと思います。

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