脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
Header

第1回アトピー勉強会報告

12月 4th, 2011 | Posted by 佐藤 健二 in 講演会

第1回アトピー勉強会報告(2011年12月3日開催)

 12月3日は生憎午後から雨となりましたが、30名ほどの参加者がありました。いつも参加してくださるアトピックの方をのけても、入院患者さんを含め新しい方が20名を超えていました。遠くは静岡からも参加されました。途中10分と5分の休憩を入れて、午後2時丁度から午後5時20分まで勉強会は長く続きました。内容は1.日本皮膚科学会中部支部での私の発表、2.発表後の討論の説明、3.先日のNHKの放送(11/20)に関連した話、4.アトピーの標準治療の説明、5.ガイドラインのステロイド関連記述の紹介、6.古江論文の治療成績の紹介、7.脱ステロイド・脱保湿療法とは何かについて、8.小児のアトピー治療の原則、9.アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患か?10.ガイドラインに基づくステロイド離脱について、と順に話をしました。そして最後の45分ほどは質疑応答でした。個人的な質問や学術的な質問が出ました。私の話は2時間ほどありましたが、じっくりわかりやすく説明しようと思えば2時間でも足りないと感じました。
 この勉強会の準備をしていて、一番注目すべきと考えたガイドラインの記述は「アトピー性皮膚炎そのものの悪化とステロイド外用薬の副作用との混同」、「ステロイドを含まない外用薬に切り替える際には、1日1回あるいは隔日投与などの間欠投与を行いながら、再燃のないことを確認する」、「1日2回の外用を原則とするが、再燃を生じないことが確認されれば漸減ないし間欠投与に移行する」などに表れているステロイドを減量した場合に悪化する原因をアトピー性皮膚炎の悪化と考えるかステロイド依存症の表れと考えるかあるいは少なくとステロイド依存症の離脱症状が入っていると考えるかだと思いました。ステロイドを長期に外用していた場合にステロイドを減らすあるいは中止すると患者の皮疹が悪化しますが、ガイドラインを書いた先生方はこれはアトピー性皮膚炎の悪化だと断言される。しかし、引用文献はありません。脱ステロイド派はステロイド依存症があるための離脱症状が中心だと考えています。少なくともクリーグマンがこの現象を1979年に指摘しています(Kligman AM, Frosch PJ, Steroid addiction, Int J Dermatol 1979; 18: 23-31)。最近の論文ではCork MJ らは(J Invest Dermatol 2009; 129: 1892-1908)「外用コルチコステロイド中止後のリバウンド悪化は、サーファクタントやテープ剥がしのような他の形態のバリアー破壊後に観察されるリバウンド悪化との類似性を持っている」と述べ、ステロイド離脱後のリバウンド現象を承認しています。この点についてもっと明確な推論や実証研究が急務と考えました。患者さんの観察から何かが生まれてくるかもしれません。是非一緒に考えていただければと思います。

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 You can leave a response, or trackback.

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA