脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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入院治療成績など

5月 19th, 2012 | Posted by 佐藤 健二 in 阪南中央病院

1.皮膚科の学会(2012年3月24日)で発表した資料で、脱ステロイド入院をした人の数とその成績です。

 阪南中央病院へ移ってからの調査で、2008年4月から2011年10月(43ヵ月)の間に入院された患者さんを対象としました。再入院の追跡は2012年1月までです。

 3歳以上のアトピー性皮膚炎患者さんは360人で、全て脱ステロイド目的です。症状の重い方が多く、全身の90%以上が赤くなっている紅皮症の状態の患者さんは53%に達しました。
 入院の目標は、社会復帰(仕事、育児、通学)可能状態まで皮膚を改善することです。360人の内、2回入院された方が28人、3回入院された方が5人です。だから、複数回入院された患者さんの率は9.2%、大まかには10人に一人の人が複数回入院されておられます。再入院までの期間の調査はまだしていません。
 入院中にステロイドを再開された方は2人です。その内1人の方は再脱ステロイドに成功されてます。このお二人は共に3回入院された方です。
 治療を中断された方は7人です。ステロイドを再開した方2人を入れて360人中9人の方が治療に失敗したと考えると、(360-9)/360=351/360=0.975となり、入院目標に成功された方は97.5%となります。従って、入院治療の成績は非常に高いと言えると思います。

2.外来患者さんの統計はできていません。

 外来通院の方は経過を追いにくいので調べていません。脱ステロイド治療は大変厳しい治療ですので、入院するほどの意気込みで腰を据えて治療に向かわないと成功しないことがあります。外来での説明で「脱ステロイドは大変しんどい治療ですよ」と説明を受けても、実際にひどい状態になると不安になり、ステロイド治療をされる先生の所に駆け込まれる場合は有ります。このような場合「脱ステロイドをする医師はひどいことをする」とお叱りを受けますが、ステロイドを止めてひどい症状が出るのはステロイドを塗ってきたからです。ステロイドを塗らずにワセリン程度で治療してきた場合は、ワセリンを中止しても急な皮疹の悪化はほとんど起こりません。しかし、ステロイドを塗ってきた場合は急激な悪化はほとんど必発です。この違いを理解されないお医者さんが多いですね。「脱ステロイドをする医師はひどい」のではなくて、「ステロイドを塗ってきたお医者さんがひどい離脱反応を起こすようにしてきた」のです。間違っていただきたくないですね。

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コメント(2)

  • アトピーの患者さんで、「ステロイドを使って治療したのと使わないで治療した」のを比較して、各々の治療成績を出した論文があれば、教えていただけませんか。”A concept for the cause and effcts of atopic dermatitis”を現在書いていますが、参考文献に使いたいのです。何卒宜しくお願いいたします。

     〒446-0026愛知県安城市安城町宮前105 いそべクリニック 磯辺善成

    • 佐藤 健二

      磯辺善成先生

      申し訳ございません。私自身はステロイド使用の有無で治療成績を調べたことはございません。私のところへ来られる人々はステロイドを使いたくないと言ってこられますので。その他でも先生のご希望の成績は見たことがございません。
       ステロイドを使ってきた子どもたちと使ってこなかった子供たちを全て脱ステロイドで治療した場合の結果は、私たちの著書「ステロイドにNo!を 赤ちゃん・子どものアトピー治療」(佐藤健二・佐藤美津子著、子どもの未来社、2010年)の中に少しだけ入れております。
       あまりお手伝いできずに申し訳ございません。

      佐藤健二



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