脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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19回アトピー性皮膚炎治療研究会報告

Posted by 佐藤 健二 in 学会

アトピー性皮膚炎治療研究会 第19回シンポジウム 報告

皆様 遅くなりましたが、ご報告いたします。

 2014年2月2日、アトピー性皮膚炎治療研究会、第19回シンポジウムが広島大学医学部で開かれました。主催者(皮膚科教授、秀 道広先生)の予想と違って、予想の約2倍の出席者がありました。開会前に急遽机と椅子が運び込まれました。それでも立ち見が出るほどです。おそらく、脱ステのポスター演題が3つも出ているので激しい議論が行われるだろうという予想で多くの参加者があったのだと思います。それを裏付けるものは、プログラム・抄録集に「ワークショップでのディスカッション」では「スムーズな運行のためにお一人の発言時間を1回1分以内に限らせていただきます。」と書き、当日、そのことのみを注意書きとして印刷し、参加者全員に配布したことです。

 開会の挨拶をした広島大学皮膚科の秀(ひで)教授は恐る恐る開会の言葉を述べていました。抄録集の「ご挨拶」の内容も抑制的なものです。

 ワークショップ1は金沢大学皮膚科、竹原教授が「アトピー性皮膚炎におけるガイドラインの役割」と題して話されました。2000年に作られたガイドラインは、医師向けというより、当時起こっていたステロイドバッシング対策だと簡単に述べられた後、脱ステの批判と自分が調べたアトピービジネスのことを長く話されました。討論に入って私が「ステロイドを使わずに治療をしてほしいという患者が来ても、ガイドラインが書いていないので行わない、あるいは診療を拒否するというようなことが起こっているが、インフォームドコンセントとの関係で問題ではないか」と言いましたが、誰も反応しませんでした。何を言うかを前もって伝えてあったので、おそらく主催者(この時の司会の秀教授)は「話はさせるがそれに対してできるだけ反応しないでおこう」という戦術で進めようと決めていたようです。
 面白いことに、討論の中で、竹原教授は今のガイドラインに従って私は診療をしていない、と言われてました。特にFTU (finger tip unit)についてはエビデンスもなく良くないと言ってました。
 結局最後に秀教授は、ガイドラインは役割を果たしているとまとめていいですね、と無理やりまとめてしまいました。反論すべきとも思ったのですが、初めからそのような結論を出そうとと決めてかかっていたようなので、今回は何も言わないでおきました。いずれにせよ、一見脱ステ医師の意見なども聞くような柔軟な先生のように見えますが、ステロイドで問題が生じている患者のことを考えようという姿勢は全くない、あるいは表に出したくないという態度は明らかでした。

 特別講演は、東北大学薬学部の平澤教授の「ステロイド薬の作用機序」についてでした。一般的な話から特にステロイドが効かなくなる機構について幾つかの実験データをもとに話されました。ステロイドを使っていると効かなくなるということについては承認せざるを得ない内容でした。皮膚科学会にとっては痛い話です。

 ワークショップ2は大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター(旧羽曳野病院)の片岡先生の「ステロイド外用薬をどう使うか」の話でした。至る所で脱ステでこんなに悪くなっている、ステロイドを塗ったら直ぐこんなに良くなる、ということと、TARCで病勢を追えばすべてうまくいくというお話でした。普通の皮膚科医はステロイドの塗り方を知らない、私は知っていてそれに従ってほしい、というようなことも言われてました。その方法はプロアクティブ療法です。自信たっぷりな雰囲気で話されていたましたが、そのやり方で良くならない人が1年後に40%ありました。討論の中でTARCと病勢が合わない症例のあることが述べられましたが、羽曳野病院でもそのような症例のは存在するといわれてました。「大丈夫かな?」と思ったのは私だけではないような雰囲気でした。

 ランチョンセミナーは、北京大学皮膚科教授の話でした。中国では皮膚科医が少ないこと、アトピーに対しては知識が無く、治療も塗り過ぎや塗らなさ過ぎがあるということと、皮膚科医の治療に対して従わない患者が多くいることなどを話され、治療を統一するために2008年にガイドラインを作ったというお話でした。中国でもアトピー性皮膚炎の罹患率は増加しているそうです。ステロイド治療はあります。ガイドラインは日本のものと良く似ています。市販薬のステロイドもあるそうです。

 特別講演2は広島大学の平郡先生の「アトピー性皮膚炎と汗アレルギー」の話でした。汗の中に蕁麻疹を起こす物質があり、それは癜風菌の一種Malassezia globosa が産生するMGL_1304という短い蛋白質と同じ配列を持っているとのことです。その物質がどこから出てきたかはまだ不明です。今後臨床と比較しながら、そのタンパク質の持つ意義を調べる必要があるようです。

 最後はワークショップ3でした。発表者は、自分がアトピー性皮膚炎患者で今でもステロイドを痒くなったら塗っている独協医科大学越谷病院皮膚科教授の片桐先生でした。演題は「アトピー性皮膚炎の長期予後」で、重症の10%はどうしようもなく治らないようですね、と言われてました。「片桐先生自身はステロイドを塗っていたら治ると思いますか」という質問に対して、「自分は、ステロイドを塗っても良くならないと思っている」と、平気で言っておられました。
 討論の時、私は、長期予後は重要で、脱ステとステロイド治療の経過を20年ほど追跡するような研究が必要なので、学会として取り組むべきである、と言いました。司会の杏林大学塩原先生は、長期予後については重要と考えておられて、しばらく長期の追跡調査について何人かの先生方と議論をしていました。しかし、長期の追跡調査をするというまとめにはなりませんでした。

 ポスターについての討論については、中国の先生の話の後30分ほど討論時間が設けられていたのですが、この先生が15分ほど話を伸ばしたので、15分ほどしか討論時間はありませんでした。2-3人の先生が質問されていました。

 まとめは変になりましたが、討論で脱ステロイドを行っている医師が3人発言しましたので、脱ステを行っている医師がまだいることを印象付けることはできたと思います。ガイドラインについての主催者のまとめがおかしいことも皆さんはお分かりだと思います。

 以上、簡単なご報告まで。

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