脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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皮膚の「副腎不全」

Posted by 佐藤 健二 in 医学論文

ヒトでは、表皮細胞において視床下部下垂体副腎系のすべての酵素の存在することが分かっている。尋常性乾癬ではこの働きが少し低下しており、そのことが皮疹発生の一つの原因と考えられる。尋常性乾癬に対してステロイド外用が効果のあることはこの事で説明できるという。
表皮の糖質コルチコイド受容体遺伝子を潰した(ノックアウト)ネズミの副腎を除去し、皮膚に炎症を起こす。皮膚だけを取り出しコルチコステロン(人の場合はコルチゾールに当たる)の産生を調べると大量に産生されることが分かった。皮膚に炎症が起こると、皮膚だけで抗炎症ステロイドを産生することができることを示している。この事は人では皮膚に炎症が起こると皮膚だけでコルチゾールを産生することができることを示唆する。
人においてこの皮膚だけでの視床下部下垂体副腎系の酵素系が外用ステロイドによって抑制されるなら、皮膚だけでの「副腎不全」が起こる可能性がある。長期間ステロイド外用しても全身的な視床下部下垂体副腎系の抑制は起こらないが、外用していた皮膚では激しい炎症が生じる。この現象を日本皮膚科学会のガイドラインでは、長期にステロイドを外用していたアトピー性皮膚炎患者がステロイド外用治療を中止すると生じてくる症状をアトピー性皮膚炎の悪化と考えている。しかし、長期にステロイドを使用した患者が共通して訴えることの一つは、治療しているうちにステロイドが効かなくなる、だから医師は仕方なく強いステロイドを使うよう指示する。もう一つは、ステロイドの外用を中止すると激しい症状が出てくるので止めることができない。この訴えの内容を、皮膚だけでの「副腎不全」から起こってくる症状であると考えると非常に納得しやすい。
アトピー性皮膚炎患者の皮膚でもコルチゾール産生は減っているのでステロイド外用の根拠になるとのことであるが、現に行われている長期にわたるステロイド外用が皮膚での視床下部下垂体副腎系の酵素系の働きにどのような影響を与えるかを検討したうえでステロイド外用の有用性を考えてもらいたいものである。

文献
Hannan R et al. Dysfunctional skin-derived glucocorticoid synthesis is a pathogenic mechanism of psoriasis, J Invest Dermatol 2017; 137: 1630-37.
Slominski AT at al. Cutaneous glucocorticoidogenesis and cortisol signaling are defective in psoriasis, J Invest Dermatol 2017; 137: 1609-11

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One Response

  • とまり木@阪南中央 says:

     第二回 とまり木まとめ
     2017年11月10日に行われたとまり木での内容をお伝えいたします。
     
     入院から1か月間程度の経過で、患部の赤みが消えてくる。そこからフケ状の白い粉が出始めるが、この状態の時に痛みを感じる患者が多い。かき傷などによる外傷痛ではなく、あくまで白い粉が出ている患部の痛みだ。
     この痛みを「チクチク」や「ヒリヒリ」と表現する者が多く、中には「引っ張られる痛み」や「動くと消え、止まると再度痛くなる」という意見もあった。しかし、現時点での日本語による最適な表現は難しい。
     大事なことは、これを安易に悪化したと考えてはいけないということ。この状態、皮膚より油が出て良い皮膚へと変わる手前の段階だからだ。最も重要なことは、『赤みが消えて粉が出る、その後に油が出てキレイになる』という一連の流れを理解した上で治療に臨むことである。



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