脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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Author Archives: 佐藤 健二

 アトピー性皮膚炎モデルマウスでワセリンを外用するとアトピー性皮膚炎が予防できるというニュースがでました。簡単に要約しますと、JAK1という蛋白質の異常でマウスの皮膚が痒くなり皮膚炎を起こすようになる、ワセリンを塗ったら皮膚炎の発症を遅らすことができる、だからヒトではワセリンを塗っておればアトピーを予防できる可能性がある、という内容です。
 この実験で確実に言えることは、JAK1という蛋白の異常でマウスの皮膚のバリア機構が低下し皮膚炎を起こすということです。しかし、そこから先は注意して話を聞く必要があります。
 まず次の表を見てください
                マウス         ヒト
皮膚炎発症率       100%         20%
ある時期に治癒      不明(恐らく無し)   2歳で相当数治癒

この表を見るだけで、作られたマウス(Spade マウスと命名されています)の皮膚炎がヒトのアトピー性皮膚炎とかなり違うものであることがわかります(これまでも幾つかのアトピー性皮膚炎モデルマウスが作られましたが同じ欠点があります)。だから、このマウスの皮膚炎をヒトのアトピー性皮膚炎と同じものと考えて種々の考察をすることは危険を伴います。ヒトのアトピー性皮膚炎と同じものでないことは発表した人々も知っています。発表した論文の題を見ると次のようになっています。
Hyperactivation of JAK1 tyrosine kinase induces stepwise progressive pruritic dermatitis.
最後の2単語「pruritic dermatitis」は「瘙痒性皮膚炎」であって「アトピー性皮膚炎」ではありません。
 ワセリンを塗ったら皮膚炎が予防できるという話を検討してみましょう。ワセリンを塗らなかったマウスでは、出生後7週で皮膚炎発症が始まり9週で100%のマウスに皮膚炎が発症し12週まで減少せず続いています。一方、ワセリンを塗ったマウスでは9週から発症が始まり12週で60%のマウスに皮膚炎が発症しています。図には12週までの結果しか出ていません。ワセリンを塗らないマウスでは皮膚炎発症が100%に達するまでに2週間しか要しませんでしたが(1週間で50%)、外用したマウスでは3週間で60%発症していますので(1週間で20%)、あと2週間ほどあれば100%発症する勢いです。マウスの寿命は約2年(104週)ですので、この後の実験をしなかったとは考えにくいです。恐らく実験はこの後も続けられており、14-15週頃にはワセリンを外用したマウスでも全例皮膚炎を発症したのだと推測ます。そしてそのことは論文には出したくなかったのでしょう。だから、発症を遅らすことはできても、発症させないことすなわち予防することはできなかったことになると思います。
 なお、この実験で重要なことの一つは、JAK1蛋白異常で生じてくる皮膚炎を起こす要素が皮膚組織にあり、免疫系にないことがあります。このことは、ヒトでJAK1蛋白異常があり皮膚炎が起こる場合には免疫アレルギーが関与しないことを意味しています。JAK1蛋白異常がヒトのアトピー性皮膚炎と関係があるなら、アトピー性皮膚炎のアレルギー説は更に後退することになるでしょう。

栃木県宇都宮市でアトピー講演会

4月 9th, 2016 | Posted by 佐藤 健二 in 講演会 - (0 Comments)

アトピー性皮膚炎講演会が栃木県宇都宮市で開催されます。
妊婦さんや、乳児湿疹・アトピーのお子様がいるご家族の方、大集合!
奮ってご参加ください。

演者と演題
藤澤 重樹先生
「乳幼児の湿疹・アトピーにステロイドをを使ってはいけない--エビデンス(医学的根拠)が示す、その理由--」
水口 聡子先生
「ステロイドが処方される前に乳児湿疹を治す為には」
「こんなに違う!ステロイドを塗らなかった赤ちゃんと塗った赤ちゃん」
「ステロイドによるアトピーの経過:脱ステロイド・脱保湿療法とは」

開催場所
宇都宮市総合コミュニティーセンター 大集会室1FA・B
〒320-0845 栃木県宇都宮市明保野町7-1
  (宇都宮市文化会館の隣)

交通
無料駐車場有り
JR宇都宮駅を下車、宇都宮市文化会館行きバスまたはタクシーで
東武線南宇都宮駅より徒歩7分

開催日時
2016年5月19日(木)
午前10:00-11:30

参加費
無料 (申し込み不要、先着順、定員100名)

その他
託児あり (2F託児室) 要申込 無料 定員10名
STAFF連絡先 21世紀ひよこの会
   宮田 090-4168-0019 大根田 090-2362-5491

主催
学校法人 宇都宮市さつき幼稚園
協賛
ステロイド依存のアトピーをなくす研究会(代表:水口 聡子)

阪南中央病院皮膚科診療体制の変更

4月 7th, 2016 | Posted by 佐藤 健二 in 阪南中央病院 - (0 Comments)

皆様

阪南中央病院の皮膚科外来の診察日の増加と診療体制の変更をお知らせいたします。

2016年4月1日より、山田医師の外来診察日が一部変更になり、以下のようになりました。

      月曜日  火曜日    木曜日
1診    山田           山田
2診          佐藤     佐藤

受付時間は 8:30-11:30
診察時間は 9:00-終了まで

よろしくお願いいたします。

2016年4月7日
佐藤健二

第34回香川講演会報告

3月 21st, 2016 | Posted by 佐藤 健二 in 講演会 - (0 Comments)

 すばらしい快晴の日(3/20)に、美しい瀬戸の海の見えるすばらしい会場でアトピックの香川講演会を開くことができました。事前の準備は現地近くの、アトピっ子をお持ちのお母さん方が中心になって行なってくださいました。まったくスムーズな講演会でした。お世話いただいた皆様、本当にありがとうございます。広島から駆けつけてくださった方もいます。

 ご参加いただいた人々は、広い会場にゆったりお座りいただけました。高松市の人口構成からすると多くの方にご来場いただきました。お子さんずれの参加者が少なかったのはすばらしい日和の続く連休の真ん中に開催したことが大きな要因と少し残念に思いました。

 講演の内容は、佐藤美津子と佐藤健二はいつもの通りで、前者は「赤ちゃんのアトピーは自然に治ります」、後者は「入院する赤ちゃんの問題点」と「治らないアトピーになぜ脱ステロイド・脱保湿?」です。藤澤先生は、いつも通り「子どもの湿疹こそステロイドを使うな」と新しく「歴史と先住民族から学ぶアトピー脱却法」を話してくださいました。藤澤先生のお話はいつも新しく楽しいものです。

 体験談は子どもの部でお一人、成人の部でお一人にお願いいたしました。やはり、体験談は参加された方の心を揺さぶるものがあるようです。また、お話はわかりやすいものでした。

 質疑応答は少し少なかったです。質疑応答用の時間も少なかったですが。

 関東から皮膚科医がお一人参加されました。周りにどんどん広げていただければと思います。

 懇親会は楽しく行なわれました。お子様ずれのお母さんが多かったので二次会はありませんでした。

 香川の講演会も大成功でした。

 2016.3.21 佐藤健二

皆様

現在、阪南中央病院へ脱ステロイド入院をしようと思うと、男性は入院待ち無に入院できます。女性もあまり待つことはありません。