脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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Author Archives: 佐藤 健二

皆様

週刊文春の12月22日号にノンフィクション作家、奥野修司氏の面白い論文が出ました。表題は「アトピー治したければフライパンを使うな」(48-49頁)というもので、私の投稿のタイトルと同じく少し変ですが、中身は相当しっかりしています。ご一読ください。

果物に含まれる水分

Posted by 佐藤 健二 in その他 - (0 Comments)

脱ステロイド入院中に水分制限を実施する。その際、自分で購入試食する果物の水分量が問題となる。その目安となる表を掲示する。女子栄養大学出版部発行、香川芳子監修の「五訂増補 食品成分表2010」(2009年)から引用した。
果物         水分%   廃棄率  廃棄物  購入物の重さ中の水分%
いちご         90      2              88
いちじく        85     15              72
みかん        84-88    15            70
オレンジ        88     40           53
かき          83      9                76
キウイ         85     15             72
グレープフルーツ    89        30             62
さくらんぼ       81-83   10             74
すいか         90     40          54
日本なし        88     15          75
西洋なし        85     15          72
夏みかん        89     45           49
パインアップル     86     45          47
同 缶詰        79      0          79
はっさく          87     35          57
バナナ         75     40          45
びわ           89     30          62
ぶどう          83     15          71
ぶんたん         89     50          45
ぽんかん         89     35          58
まくわうり        91     40          55
メロン           88     50           44
もも             89     15           76
りんご            85     15果皮、果しん部 72

水分の%は廃棄部位を含まない可食部100gあたりの数値。
廃棄率は、通常の食習慣において廃棄される部分を、食品全体あるいは購入形態に対する重量の割合で示す。例えば、リンゴでは皮と芯部分を捨てるということです。

従って、例えば、一個200gのりんごを皮をむいて芯を除いて食べるならばその時の水分摂取量は次のように計算される。
(200 - 200 x 0.15) x 0.85 = 144.5 (ml)
だから、重量の70%程度の水分量となる。
一般的には
(測定重量-測定重量 x 廃棄率) x 水分%=摂取果物の含有水分量
ただし、廃棄率と水分%は比率表示である。

購入物の重さ中の水分%は、例えば1kgのスイカを買ってヘタと種をのぞいて赤い部分を全て食べれば、1kgの54%、540mlの水を飲むことになるということです。

第1回アトピー勉強会報告(2011年12月3日開催)

 12月3日は生憎午後から雨となりましたが、30名ほどの参加者がありました。いつも参加してくださるアトピックの方をのけても、入院患者さんを含め新しい方が20名を超えていました。遠くは静岡からも参加されました。途中10分と5分の休憩を入れて、午後2時丁度から午後5時20分まで勉強会は長く続きました。内容は1.日本皮膚科学会中部支部での私の発表、2.発表後の討論の説明、3.先日のNHKの放送(11/20)に関連した話、4.アトピーの標準治療の説明、5.ガイドラインのステロイド関連記述の紹介、6.古江論文の治療成績の紹介、7.脱ステロイド・脱保湿療法とは何かについて、8.小児のアトピー治療の原則、9.アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患か?10.ガイドラインに基づくステロイド離脱について、と順に話をしました。そして最後の45分ほどは質疑応答でした。個人的な質問や学術的な質問が出ました。私の話は2時間ほどありましたが、じっくりわかりやすく説明しようと思えば2時間でも足りないと感じました。
 この勉強会の準備をしていて、一番注目すべきと考えたガイドラインの記述は「アトピー性皮膚炎そのものの悪化とステロイド外用薬の副作用との混同」、「ステロイドを含まない外用薬に切り替える際には、1日1回あるいは隔日投与などの間欠投与を行いながら、再燃のないことを確認する」、「1日2回の外用を原則とするが、再燃を生じないことが確認されれば漸減ないし間欠投与に移行する」などに表れているステロイドを減量した場合に悪化する原因をアトピー性皮膚炎の悪化と考えるかステロイド依存症の表れと考えるかあるいは少なくとステロイド依存症の離脱症状が入っていると考えるかだと思いました。ステロイドを長期に外用していた場合にステロイドを減らすあるいは中止すると患者の皮疹が悪化しますが、ガイドラインを書いた先生方はこれはアトピー性皮膚炎の悪化だと断言される。しかし、引用文献はありません。脱ステロイド派はステロイド依存症があるための離脱症状が中心だと考えています。少なくともクリーグマンがこの現象を1979年に指摘しています(Kligman AM, Frosch PJ, Steroid addiction, Int J Dermatol 1979; 18: 23-31)。最近の論文ではCork MJ らは(J Invest Dermatol 2009; 129: 1892-1908)「外用コルチコステロイド中止後のリバウンド悪化は、サーファクタントやテープ剥がしのような他の形態のバリアー破壊後に観察されるリバウンド悪化との類似性を持っている」と述べ、ステロイド離脱後のリバウンド現象を承認しています。この点についてもっと明確な推論や実証研究が急務と考えました。患者さんの観察から何かが生まれてくるかもしれません。是非一緒に考えていただければと思います。

ガイドラインに基づくステロイド離脱について
                    ガイドライン2009
・アトピー性皮膚炎を速やかに、かつ確実に鎮静させる薬剤として十分に評価されているステロイド外用薬とタクロリムス軟膏を、いかに選択し組み合わせて使用するかが治療の基本である。 1525左
・必要以上に強いステロイド外用薬を選択することなく、「個々の皮疹の重症度」に見合ったランクの薬剤を適切に選択することが重要 1525左
・急性増悪の場合には1日2回(朝、夕:入浴後)を原則とする。ただし、ステロイド外用薬のランクを下げる、あるいはステロイドを含まない外用薬に切り替える際には、1日1回あるいは隔日投与などの間欠投与を行いながら、再燃のないことを確認する 1525左
・第2指の先端から第1関節までチューブから押し出した量(約0.5g)が、成人の手で2枚分すなわち成人の体表面積のおよそ2%に対する適量である(finger tip unit) 1525左右
・3か月以上にわたって1日5gないし10g程度のステロイド外用薬を連日継続して使用することは極めて例外的であるが、そのような例では定期的に全身的影響に対する検査を行う必要があり、ステロイド外用薬の減量を可能ならしめるよう個々の患者に応じて適切な対応が検討されるべき 1525右
・炎症症状の鎮静後にステロイド外用薬を中止する際には、急激に中止することなく、症状をみながら漸減あるいは簡潔投与を行い徐々に中止する。ただし、ステロイド外用薬による副作用が明らかな場合はこの限りではない。 1525右
・顔面:高い薬剤吸収率を考慮して、原則としてミディアムクラス以下のステロイド外用薬を使用する。その場合でも1日2回の外用は1週間程度にとどめ、間欠投与に移行し、休薬期間を設けながら使用する。 1525右
・ステロイド外用薬に対する誤解(ステロイド内服薬の副作用との混同、およびアトピー性皮膚炎そのものの悪化とステロイド外用薬の副作用との混同が多い) 1525右
・乾燥およびバリアー機能の低下を補完し、炎症の再燃を予防する目的で、ステロイドあるいはタクロリムスを含まない外用薬(保湿剤・保護剤など)でスキンケアを行う必要がある。すなわち軽微な皮膚症状に対しても外用療法を継続する必要があり、これを怠ると炎症が容易に再燃し、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏使用の意義の低下につながる。 1527右 1日2回の外用を原則とするが、再燃を生じないことが確認されれば漸減ないし間欠投与に移行する。副作用としての接触皮膚炎の発生には注意が必要であり、アトピー性皮膚炎の再燃との鑑別は重要である。スキンケアでの維持療法中にアトピー性皮膚炎の再燃が見られた部位には、炎症の程度に応じてステロイド外用療法あるいはタクロリムス外用療法に戻り、炎症の早期の鎮静化及び維持療法へと回帰することを目指す 1528 左
・一般に慢性に経過するも適切な治療により症状がコントロールされた状態に維持されると、自然寛解も期待される疾患である。 1515右-1516左

ステロイド外用薬の副作用に関するガイドラインの記述
2009年ガイドライン
・外用回数が少なければ副作用は少ない 1525左(頁と左段か右段を示す)
・ベリーストロングクラスを1日5-10g程度の職外用量で開始し、症状に合わせて漸減する使用法であれば、3か月までの使用では一過性で可逆性の副腎機能は生じうるものの、不可逆性の全身的副作用は生じない 1525右
・近年しばしばみられる成人患者の顔面の紅斑性病変の多くは、掻破などを含むステロイド外用薬以外の要因に起因するものであるが、局所の副作用の発生には注意が必要な部位であり、処方に当たっては十分な診察を行う。1525右
・ステロイド外用薬に対する誤解(ステロイド内服薬の副作用との混同、およびアトピー性皮膚炎そのものの悪化とステロイド外用薬の副作用との混同が多い)から、ステロイド外用薬への恐怖心、忌避が生じ、コンプライアンスの低下がしばしば見られる 1525右
・密封外用療法ではリンデロンV軟膏の10gの外用、単純塗布ではその20gの外用が、副腎機能抑制を生じうる1日外用量である 1526左
・ステロイド外用薬を適切に使用すれば、日常診療における使用量では、副腎不全、糖尿病、満月様顔貌などの内服薬でみられる全身敵副作用は起こり得ない 1526左
・局所的副作用のうち、ステロイド痤瘡、ステロイド潮紅、皮膚萎縮、多毛、細菌・真菌・ウイルス性皮膚感染症などは時に生じうるが、中止あるいは適切な処置により回復する 1526左
・ステロイド外用薬の使用後に色素沈着が見られることがあるが、皮膚炎の鎮静後の色素沈着であり、ステロイド外用薬によるものではない 1526左
・まれにステロイド外用薬によるアレルギー性接触皮膚炎が生じうるが、そのさい、機材や添加物による背触皮膚炎にも注意する 1526左
・1936年にアトピー性皮膚炎のおよそ10%に若年性の白内障が発症する。白内障の合併は、ステロイド外用薬の副作用と安易に診断されることがあるが、ステロイド外用薬登場後もアトピー性皮膚炎における白内障合併率に大きな変化がないことから、アトピー性白内障は独立疾患として対処しなければならない 1530左