脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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皆様 8/9のとまり木での話を待てめてくださいました。以下に掲示させていただきます。

とまり木
2019年8月9日金曜日 (金曜日)19:00~20:00

【脱保湿の原則を逸脱しなければならないとき】

■脱保湿の徹底は必須だが
ちょっとむずかしい話かもしれない。今日は脱ステロイド・脱保湿の最中ではあっても「脱保湿の原則を逸脱しなければならないとき」についてお話する。

そういう状況はいくつか挙られる。たとえば、掻き壊しで手が痛いときに木綿の手袋をすると痛みはましになるけれど、とうぜん保湿になるよね。とはいえ、痛みが抑えられるならば、どちらを選ぶべきだろうか。

答えは「そのときの病気の状態による」ということ。もし、痛みをもたらす亀裂を治さないと運動もできずまったく先に進めないということであるならば、手袋をして保湿をして少し状態をよくしたあとで手袋をやめて、改めて脱保湿を再開すればいい。

■就寝時に手袋を使うこと
ただし、手袋をすると別の問題もありえることだけは指摘しておきたい。夜の就寝時に手袋をしていると、からだを掻くときに爪で掻かないから、傷がつきにくくてよいのではないかと考えるひともいるようだ。ところが、二つの可能性がある。ひとつは、この予想のように傷がつきにくくてよくなる場合もある。だがもうひとつ、布でからだを掻くことで、爪で掻くよりも広範囲の非常に治りにくい傷になる可能性もある。どちらになるかは患者のみなさん自身が試みないとわからない。ある種の賭けともいえる。

■ガーゼによる傷の保護
体を掻いて傷口がびらん(糜爛)面(皮膚や粘膜あるいは角膜の上皮が欠損して限局的に消失した状態。いわゆる「ただれている」状態)になり、ちょろちょろと滲出している場合には、傷口にガーゼを貼るとかなり痛みが減る。傷口にガーゼを貼るというのも、もちろん保湿行為になる。けれども、ガーゼを貼れば痛みを抑えることができて動くことができるというのであれば、どちらを優先すべきだろうか。

保湿になるのが困ると考えて、痛みを我慢してでもガーゼを使わないでいるべきか、保湿になってでも痛みを抑えたいと思うか。おそらくは、大多数のひとは後者の、痛みを抑えてでもからだが動かせるようになるほうがいいと考えるのではないか。

火傷などで生じたびらん面の場合などにはウェットドレッシング法(湿潤療法)といって、傷口を湿らせたほうが保湿にはなっても下の皮膚がよくなりやすいという場合もある。そんなときには傷口を湿らせる。湿らせるには滲出液の出たところにガーゼを当てて、ガーゼでかさぶたを人工的に作る。そうすると傷口にあらたにできてくる皮膚を保護することができるので、じっさいには保湿にはなっているけれど、あらたにできる皮膚を成長させるために、あえて保湿をするというわけだ。こういう例もあるから「保湿をしないこと」にあまりこだわりすぎないこと。

■水分摂取制限を中止すべき場合
非常に離脱症状が重症な場合ではあるが、全身が紅皮症の状態で真っ赤になっていて、全身から滲出しているような場合にはものすごくのどが渇く。こういう場合に細菌感染を起こすと38℃を越える高い熱が出ることがある。そういう場合に限って水分摂取制限はしないでいいと、私の本(『患者に学んだ成人型アトピー治療―難治化アトピー皮膚炎の脱ステロイド・脱保湿療法』柘植書房新社)(https://tsugeshobo.com/modules/books/index.php?lid=107)にもそう書いてあるし、みなさんに説明しているはずだ。

水分摂取制限をしないということはとうぜん、脱保湿の原則から逸脱することになる。だが、発熱が起きている場合にはそのひとのからだ全体から、水蒸気になって水分はどんどん出ていて、それがどれだけの量なのかはわからない。だから、この場合はやむを得ない。脱水状態になって非常につらく危険になるよりも、それを避けるためには本人が希望するだけ水分を摂取してもらう。これも「脱保湿の原則からの逸脱」とはいえ、納得できることだと思う。

■離脱開始のいちばん最初期
経験したことのあるひとは多いと思うが、離脱開始の初期に非常に重症のひとは、布団のなかに入りっぱなしになるかもしれない。痛くて布団から出られないためだ。これは強烈な保湿行為ではあるけれど、入院当初の数日から一週間くらいのあいだは、患者の体力自体もものすごく落ちているだろう。そういうときは、患者の尻を叩いてむりに運動をさせるよりも、じっと安静にしているほうが、結果として早く治るということはある。

だから、離脱のごく初期に全身が紅皮症の状態で滲出しているときや、高熱が出ているという場合だけには、患者を安静にさせることもあるし水分摂取制限も行わない。脱水症状によるいろいろな問題を解決するひとつの方法だ。

■シャワーについて
冬にはできるだけ、長い時間の入浴やシャワーは避けるようにみなさんに言っている。では、夏の暑い時期に汗をたくさんかいた場合にはどうすればいいかと、しばしば尋ねられる。私の本には「一日に一度の入浴+水のシャワーを浴びるだけ」ならいいと説明している。じっさいに、大量の汗をかいた場合には皮膚の表面にばい菌が増えやすいということはあるので、汗をたくさんかいた場合には、水のシャワーをさっと短時間に浴びるのだけはいいだろう。

ただし、これは入院中には認めていない。病院で一日に2回シャワーを使っていいというふうにすると、みなさんが一日の行動予定を立てづらくなるからだ。

自宅にいる場合に、暑いときに暑い部屋でじっと我慢していると、汗が出てくる。そのままじっとしていると、どこかの毛穴にばい菌が増えて細菌感染を起こすということは多いだろう。それを防ぐためには、自宅で過ごすときには細菌感染予防の方法のひとつとして、さっと水のシャワーを浴びるのはいいだろう。

■入浴時に石鹸を使うこと
脱保湿というよりも、これは入浴に関連した話だ。入院していてかなり皮膚の状態がよくなってきて、体の表面に白い粉(鱗屑)がたくさん出てきたような場合には、入浴時に石鹸を使ってからだを洗うように指導することがときどきある。その場合に、からだを洗ったあとでかゆみが強くて困るというふうに判断するひともいるけれど、逆にかゆみが非常におさまっていいという経験をしているひともいる。おそらくは、白い粉のできかたで判断すべきで、もう少しでからだから剥がれ落ちる状態なのに、なんとなくからだの表面に残ってしまっているというようなときには、石鹸を使って軽く洗うとそれらが取れて、かゆみが起こらないで楽になるということがあるのだろう。

■まとめ
脱保湿はとても重要で、ステロイド離脱の基本ではあるけれど、時と場合によっては「脱保湿の原則からの逸脱」することはいくつかありえる。だから、脱保湿からはなにがなんでも絶対に逸脱してはいけない、とはあまり考えないでほしい。ただし、脱保湿として行わなければならない、運動、水分摂取制限、保湿行為を避けるといったことは基本的にはずっと行うべきだ。繰り返しになるが、上述のような特殊な条件では、ときに脱保湿の原則を逸脱する必要もあるということ。このことを十分に理解してほしい。

■Q&A(患者からの質問と先生の答え)

■(質問)自宅にいるときにシャワーを浴びるのは、規定回数以外には一日に1回程度だけか。
●(答え)そう思います。

■(質問)皮膚の表面についた白い粉を石鹸で落とすとは。ごしごしと皮膚をこすってはいけないとは思うが、タオルに石鹸を泡立ててつけてなでるようして、シャワーで流すというやり方ですよね。それで、100%ではないにせよ、白い粉をどのくらいの割合で取ればいいのか。
●(答え)石鹸で洗うのは、白い粉を完全に取ってしまうために行うのではない。なでるように洗うことで、自然に取れそうなぶんをちょっとだけ手助けするという感じだからね。

■(質問)入院前に自宅でも足だけは毎日洗っていたが、傷が広がったり、感染症を起こしてしまった。感染した場合は佐藤先生に診てもらわないとだめだろうか。
●(答え)万が一のときに診てもらえる自宅近くの医師を見つけておくのが、いちばんいい。

■(質問)傷の広がる場合や細菌感染を起こしている場合はシャワーをやめたほうがいいのだろうか。
●(答え)シャワーがほんとうに悪さをしているのであれば、やめるべきだろう。だが、いまここではその症状の原因がなにかわからないから、なんとも答えようがない。自分で原因を見つけるように考えてほしい。

■(質問)白い粉の件なのだが、ひとによって症状は異なるのだろうけれど、その白い粉が出る期間は平均的にはどのくらいなのだろうか。
●(答え)まず、だいたい離脱の最後のほうになった場合のことであって、入院初期の赤みのあるうちは洗って落としてはいけない。白い粉が出る期間というものは、患者によってさまざまだ。ある時期にぽんっと白い粉が生じるようになり、それ以降出てこないひともいる。いっぽうで、じわじわとずっと続く人もいる。

■(質問)細菌感染の度合いについて尋ねたい。どういう対応をしていいのか、洗い流すべきか。膿疱の数がほんの少しでも抗生物質を必ず服用すべきか。
●(答え)症状を見て、膿疱がどんどん広がっていくかどうか、で決めないといけないと思う。ひとつふたつだけ膿疱があり、あまり広がっていくのではないならば、それこそ膿疱を潰して残った膿をガーゼなどで吸い取り、そのあと水道水でさっと流せば、かなりよくはなるだろう。それよりもずっと膿疱の数が多くどんどん発熱するようであれば、抗生物質を服用しないと治っていかないだろう。皮膚の表面のほうをいじるだけでは、かえって感染を広げる可能性がある。

■(質問)弱い感染症でも抗生物質を服用すればすぐに治っていく気がする。けれど、抗生物質は多用しないほうがいいか。
●(答え)なしでいけるなら、もちろん服用しないほうがいい。抗生物質は耐性菌を作ってしまう確率は増えるから、できたら飲まないほうがいいとはいえる。

■(質問)膿疱はつぶしたほうがいいか、放置したほうがいいのか。
●(答え)あくまでも膿疱の数が少ないならば、つぶしてしまうほうが早いよくなるだろうね。膿があったら痛みも出てくる。ふだんでも、男性だととくに、毛穴のあるところにちょこちょこと化膿することはあると思う。そんな場合だったらつぶすだけで、抗生物質を飲まなくてもよくなることはあると思う。

■(質問)抗生物質を服用するのに、耐性菌を発生させないですむ望ましい期間や周期というものあるのか。
●(答え)それはわからない。ただし、抗生物質を服用するにあたっていえることはふたつある。ひとつは、服用期間は短いほうがいい。ふたつめは、できるだけきちんと細菌をやっつけてしまう必要がある。その期間は症状やひとによって異なるだろう。病気によってはすぐに服用をやめることができるものはあるが、皮膚の場合には、意外とだらだらと続くので、比較的長く服用せねばならないことが多いようだ。皮膚の表面だけに小さな膿疱がぽつぽつとある症状なら、短い服用期間でもすぐによくなるようだ。ところが、じくじくとした部分の面積が広い場合には、治りが悪い印象がある。抗生物質がその部分に行き渡る程度が低いということなのか、治りが悪い原因はいまひとつよくわからない。

■(質問)脱ステロイドの離脱症状はひとによって異なるだろうが、リバウンドが再発する理由は。ステロイドが体内から抜けきれていないからか、自分でステロイドをうまく産出できないからか。
●(答え)私が持っているデータから判断すると、外用したステロイドの物質自体はおおむね一ヶ月で体外から排出されて存在しなくなる。ところが、ステロイドを外用していたことをその部位が「記憶しているようだ」。物質自体が存在するかどうかと「記憶」があるかどうかには差はないと考えることもできるかもしれない。ステロイドを外用していた「記憶」が皮膚にはあるという言い方を私は以前からしていたが、リバウンドとはその外用していた部位自体でステロイドを産出する能力がどの程度落ちてしまい、それがどれだけの速度で回復していくか、という回復速度の問題なのだと思う。それはひとによって異なる。

また、リバウンドから回復したあとの再悪化に関しては、回復後に数年経てばステロイドの産出能力は相当回復しているはずだろうが、なにかの拍子に強烈なストレスを受けた場合に「負けてしまう」のだといえると思う。すなわちなにかの理由によってステロイドを産出する能力がどーんと落ちてしまうということが患者に起きているのだろう。正確なところはまだわからないけれど、おそらく考え方としてはそう考えざるを得ないし、そういう観点で研究していけば答えが出てくるのではないか。リバウンド後の再悪化についての原因はまだわかりかねるけれど、少なくとも、ステロイドを産出する能力がなにかの理由で落ちてしまう可能性は、離脱後もかなり長期間のあいだ起こり得る、ということはできると思う。さらに、ステロイドを産出する能力が、健常者と比べると低いことは報告されている。脱ステロイド患者は、その能力がさらにあまり高くないままでいるという可能性もある。

■(質問)自分は生後2ヶ月からステロイドを使い、いまは44歳で脱ステロイドをしている。たとえば、ステロイドを40年間使い続けてから離脱して、よい状態に戻るという例はたくさんあるのだろうか。
●(答え)たくさんいてるよ。いま「元気が出る徳子の部屋」(http://tokuko.chu.jp/tokukonoheya/)というブログを書いている徳子さんもそのうちのひとりかもしれない。リバウンドのいちばんひどいときには、脚なんてふつうの倍以上の太さにむくんでいた。また、いままで診たなかでいちばんひどい患者は、頭と脚を上げてベッドに寝ていて、夜中になるとお尻のところから浸出液がぽたぽたと床に漏れ出てきていた。もっとも、私がまだ水分摂取制限ということを重視していなかったころだから、そのひとも水分制限ができていなかったのかもしれない。いまでも、ときどきそのひとは外来で来るけれど、そう調子は悪くはない。

■(質問)水分摂取制限のことは一般の医師に知られているのだろうか。いつごろから先生はそう指導しているのか。
●(答え)ぜんせん知らんと思うね! 私自身がはっきりとそれを言いだしたのは、1995年から1996年頃に名古屋市立大学にいるころだ。私自身もうすうすそうかもしれないと思っていたところに、名古屋市立大学病院にいたある看護師さんが「水をたくさん飲む患者さんは治りが悪いですね」とずばり言ってくれました。すごい洞察力ですね。

■(質問)それだけ前から脱ステロイド時に水分摂取制限が必要と提唱しているのに、ぜんぜん広まっていないのか。
●(答え)そうだ。脱ステロイドという考え方自体、日本皮膚科学会が嫌がって認めていないでしょう。それと、皮膚科医の多くはあまり全身のことを考えないで診ているから、このことを知らないのだろう。

■(質問)脱ステロイドを指導できる医師はどれだけいるのか。いつも講演会を佐藤先生といっしょにされている先生がた以外にいるのだろうか。
●(答え)ほとんどいないよ。ただし、一般の皮膚科医のなかにも自分で脱ステロイドの治療をして、私のところに通っているひともいる。先日も、オーストラリアの医師から脱保湿について情報提供してほしいという連絡もあった。患者のあいだでは、アフリカをのぞく世界中の患者たちに脱保湿という考え方が少しずつ広まりつつあるようだ。あくまでも、患者たちのあいだだけではね。

■(質問)それでは、ステロイドを使わない治療をする医師はこれから増えていくのだろうか。
●(答え)そうあってほしいね! そのためには、あなたがた自身にも情報発信もお願いしたい。

■(質問)脱ステロイド・脱保湿の味方になってくれる医師を増やすには。
●(答え)脱ステロイド・脱保湿を患者にさせた経験がなく、どういう状態になるのか知らない医師はたくさんいる。先日も大阪の北のほうの病院に勤務している皮膚科医が私のところに見学に来た。さいしょは、急性期病棟にいる入院したてで全身から滲出している患者を見て「こんなにひどいことを!」と言うてたけれど、そのあとで回復期病棟にいる症状が落ち着いてきた患者を見て「へえ、こんなによくなるのですか!」と感心して帰っていったから、いままでその医師が思っていたのとはちがっていたのだろう。じっさいに目で見ないと信用しないみたいだ。学会発表でも写真ではどうも信用してくれないようだ。

■(質問)阪南中央病院に入院するまえにべつの大学病院で「ここまでひどい状態ではステロイドを使わないと絶対に治らない」と言われたのだが。退院したら見せつけに行ってやろうかなと思っているけれど。
●(答え)ぜひ見せに行ってください。全身から滲出する、落屑するという状態の患者を見たら、ふつうの医師は驚いて「死ぬんちゃうか」と思う。だからすぐにステロイドを塗れというふうに言う。そのときに、患者のどういうところを診て、知らないことであっても、どうすればいいかを覚えていかなくてはいけないのだけれど……なかなかそういうふうにいかない。たしかに、知らない状態から手探りで治療していくのはとても怖いことだし、日本皮膚科学会のボス連中でもやり方をぜんぜん知らないだろうしね。

■(質問)食べてはいけない食べ物はあるか。糖質制限についてどう思うか。
●(答え)甘いものを食べてかゆくなった、という例を私は実際に診たことがないよ。糖質制限は脱ステロイド・脱保湿にはまったく関係ないと思う。ただし、清涼飲料水を飲んだあとにかゆくなる、ということがあるとすれば、おそらくそれは防腐剤などのせいだと思う。清涼飲料水のせいでかゆくなる、というならばすべての成分を検討しなければ、正しい答えは出てこない。防腐剤はかゆみを起こしやすくなるというのはある。

■(質問)食べ物自体のせいでかゆくなることと、血糖値が上がったことでかゆくなるのはわからないと思うのだが。
●(答え)たしかに、糖尿病のひとは、理由ははっきりわからないが高血糖だとかゆみを起こしやすいようだ。でも、そうだったら糖尿病のひとは年がら年中ずっとからだを掻きまくるということになりかねないが、そういうことはない。だから食べ物のせいでかゆみが起こるとはあまり考えにくい。

■(質問)体内でコルチゾール(ステロイドホルモン)を産出しやすくなる食べ物はあるのか。玄米が効くと聞いたが。そういうものを食べたほうが炎症は起きにくい、などということはあるのか。
●(答え)ステロイドホルモンを体内で算出させるには、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が必要だが、それと似たような働きをする食べ物はないのではないか。そんなのまったくのイカサマや。

■(質問)では、なにかを食べればACTHの産出に結びつくというのもありえないのか。
●(答え)調べたらそういう食べ物はあるかもしれないけれど、いままでそれをまじめに調べたことはない。ストレスがあると、副腎などからACTHは出やすくなるだろう、ストレスを受けるとステロイドホルモンを産出することになるが、そのACTHが出てこないとステロイドホルモンが産出されないからね。

ただ、皮膚でどうなっているかということに関してはまだほとんどわかっていない。ACTHというものが存在するということと、その刺激によってステロイドホルモンが出てくるということはまちがいない。

■(質問)ACTHが出ると皮膚は茶色みがかるのですよね。
●(答え)そういうこと。それは、ACTHの遺伝子の最初の半分くらいは「色素を作りなさい」という遺伝子だから。ACTHが出てくると、その部分だけ皮膚が黒ずんでくる。湿疹があったら治ってくると湿疹のところだけ茶色くなるでしょう。もし、脳からACTHが出るのであれば全身が茶色くならないといけない。湿疹があった部位だけが茶色く色素沈着するということは、その部位だけで反応が起きているということ。

■(質問)脱ステロイド中は甘草(カンゾウ)は、化学式が似ているから摂取しないようにと聞いたけれど。ビタミンDはどうなのか。
●(答え)カンゾウについてはそのとおりで、摂取すべきではない。ビタミンDは関係がない。あのあたりは構造自体みなよく似ていて、ちょこちょこっとちがうくらいだ。だが働きが異なる。カンゾウは英語でリコリス(liquoriceまたはlicorice)という。ステロイドホルモンには二種類あって、糖質コルチコイド(グルココルチコイド、glucocorticoid)と鉱質コルチコイド(ミネラルコルチコイド、mineralocorticoid)がある。カンゾウは後者のミネラルコルチコイドのほうだが、構造はグルココルチコイドによく似ている。そして、人体のステロイドホルモンを受け入れる受容体は糖質も鉱質のどちらも受けるはず。リコリスを摂取したら、それはステロイドで刺激するのと同じと考えていいと思っている。

とはいえ、いろいろな商品の内容物にカンゾウと書かれてはいるが、濃度はとても薄いはずだから、影響はそう大きくないとは思う。もっとも、漢方薬でカンゾウそのものをたくさん摂取するなら話は別だ。以前、漢方薬を内服しているひとの血中ナトリウム濃度がいつまでも下がらないということがあった。カンゾウには血中ナトリウム値を高くする働きがある。そこで、漢方薬をやめてもらったら、血中ナトリウム値ももとに戻ったということはあった。石鹸に入っている程度なら、濃度はとても薄いから関係ないだろう。

皆様

アトピック栃木講演会報告

7月14日、小山(栃木県)は朝から雨が降っていました。開場20分前で一家族しか参加がありませんでした。その後講演の準備をしていて会場の変化に気づきませんでした。ところが、講演開始の時に会場を見ると80人ほどに増え、その後もさらに増え、結局子どもも数えると120名ほどの参加になったようです。小山氏はあまり大きな都市ではありません。それにも拘わらず多数のご参加をいただけたのは、O氏ご家族の大変な広報活動のご努力のたまものだと思われます。心から感謝申しあげます。
会場運営には、会長の菊池氏、大阪からH氏、関東からM氏、T氏が駆けつけてくださいました。進行はいつもながら遠藤さんが上手に進めてくださいました。
講演内容は
佐藤健二が、「皮膚、第2のステロイド産生臓器の保護と脱ステ・脱保湿」
佐藤美津子が、「赤ちゃん・子どものアトピーを治すコツ 自然治癒を妨げない」
藤澤重樹先生が、「自然治癒力を活かしたアトピー治療戦略」
水口聡子先生が、「乳児湿疹の治癒の仕方、条件による相違」と「脱ステロイド・脱保湿中
の具体的な経過」
です。皮膚でのステロイド産生能を落とさずに、自然治癒力を最大限利用する治療法と纏めることができる。
遠藤さんがまとめた乳幼児の体験談は視覚聴覚にも訴えた感動的なものであった。O氏の成人体験談も非常に分かり易く教訓的でした。
会場での質疑応答は、前回と同じく質問内容をコンピューター入力し、それを映し出して回答したため、聴衆は大変わかり易かったと思います。入力は大変な早さを要求される仕事ですが裏方さんは旨くやってくださいました。

講演会の後、懇親会を行いましたが大変盛り上がりました。

当日、O氏ご家族には送迎まで担当していただきました。記して厚くお礼申し上げます。

以下は5/17に「とまり木」で話した内容を簡潔に纏めてくださったものです。非常に分かり易いので、私のブログに載せさせていただくことにいたしました。なお、大阪弁でしゃべった内容を記したのは掲示板(近畿中央病院・阪南中央病院 アトピー患者の交流の輪を広げよう!!)に出ています。

とまり木まとめ  2019/5/17(金) 19:00~20:00

●本日のテーマ:プロアクティブ治療

・プロアクティブ治療というのは、アトピーが悪くなる前に前もって予防的に薬を塗るという方法。最初の時に毎日かなり強い薬を塗って、炎症を治めてしまい、炎症が治まった段階で、1日おきとか2日おきとかだんだん間を空けていき、順番にずっと減らしていこうというもの。

・ただし、プロアクティブ治療には、いろんな問題点がある。
プロアクティブ治療というものを最初に言い出した人の論文でも、1日ステロイドをやめようとしてやめられ無かった重症の人は除かれている。
いつステロイドを辞めるのかというのがわからない → いつまでも続ける事になる

・プロアクティブ治療とステロイドをやめるための塗り方というものの違いは、皮膚に炎症をおこさせないか、皮膚に炎症を起こさせて、自分の皮膚でステロイドを作るようにさせるかである。

・重要なところは、ステロイドを作る臓器は人間の体の中で、腎臓の上にある副腎と皮膚の2つがあること。
内服・点滴が副腎でステロイドを作るというのを抑制するのと同様に、ステロイドを塗ると皮膚でもステロイドを作らなくなると考えられる。

・塗るのをやめて悪くなるという状態がなかったら、ステロイドを皮膚が作らないようになる。作らなければならない炎症があるからこそステロイドを作っていこうとする。
悪くなることがないと、その皮膚は良くなっていかない。

・ステロイドを塗りながらちょっとずつ減らしていく場合に、絶対必要なのは、必ずある程度悪くさせるということ。

・プロアクティブ治療は炎症を起こさせないようにするから、皮膚が自分でステロイドを作ろうとすることを抑制してしまう。

・自分でステロイド作らせようとしたら、炎症を起こさせんといかんから、いったんは悪くなるくらいまで、間を空けないといけない。皮膚がステロイドを作る能力が出てきたら、何にもなしでもいけるようになる。

【ポイント】

・ステロイドホルモンを作るのは、副腎だけかと考えられていたが、実際は副腎だけじゃなくて皮膚でも作られている。

・皮膚にステロイドを塗ると、皮膚がステロイドを作ることをさぼってしまうので、ステロイドを塗るのをやめたら、どかっと悪くなる。

・皮膚にいったんステロイドを使って、ステロイドを作らなくなっている人に元のステロイドを作らせるためには、皮膚に炎症というストレスを与えてやらないといけない。

皆様

2019年7月14日(日)に第46回アトピー性皮膚炎講演会を栃木県の小山商工会議所で行います。多数のご参加をお待ち致しております。

詳しくは下記(tochigi)をクリックして下さい.

tochigi

皆様

アトピックの第45回アトピー性皮膚炎講演会のご報告をさせていただきます。

佐藤健二

アトピック 第45回アトピー性皮膚炎講演会in神戸の報告

アトピックの第45回アトピー性皮膚炎講演会in神戸が4月28日に神戸市勤労会館で開かれました。少し寒い風が吹いていましたが快晴で、いい天気になりました。会場の予約などを鍼灸師のYさんご家族に大変お世話になりました。また、今回は多くの鍼灸師さんが参加されました。北海道の旭川からもご参加です。驚きと共に大変嬉しいことです。そのほか一般のご参加も多く、第一部の乳幼児編と第二部の成人編の両方で満席の状態でした。まだまだ捨て得ロイドやプロトピックの問題が続いているのだなと分かり残念に思うとともに今後も頑張らなくてはと、心引き締まる思いでした。

アトピックについては代表の菊池さんが話され、新たに世界中に知れ渡った英語版のTokuko’s blogやNo Moisturising Treatment Education group の紹介があった。

今回の講演内容は、第一部で、「リバウンドは皮膚でのステロイド合成障害による(佐藤健二)」、「赤ちゃん・子どものアトピーを治すコツ 自然治癒を妨げない(佐藤美津子)」、「乳幼児湿疹を自然治癒させるとよい理由(藤澤重樹先生)」、「こんなに違う、ステロイドを塗った赤ちゃんんと塗らなかった赤ちゃん 幼児の脱ステの場合は(水口聡子先生)」が話され、第二部では、「再入院しないための脱ステ・脱保湿(佐藤健二)」、「増え続ける成人のアトピーをどう考えるか(藤澤重樹先生)」、「ステロイドによるアトピーの経過~ステロイドの影響は時空を超えて(水口聡子先生)」が話された。講演の内容は少し新しくなり、藤澤先生はデュピルマブについてもはなされた。

患者体験談については、乳幼児編ではY様とM様が発表され、タンパク質を多く摂ることと自由に掻かせることの重要性を指摘された。成人の体験談はS様がはなされた。脱ステ脱保湿の原則をきっちり守ることと友人を作り連帯することの重要性を指摘された。

質疑応答の方法は新しくなった。講演中に質問内容を項目別に記していただき、集め、内容をパワーポイントに入力し、それについて医師などが回答するという方式を取った。これだと、場内の雑音があっても十分情報の相互伝達ができ、有効と思われた。これには多数のスタッフの協力が必要であった。

次回46回は栃木県で7月14日(日)に行われることが報告された。