脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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皆様

今朝の毎日新聞に、6か月調査を載せていただきました。

https://mainichi.jp/articles/20170408/ddm/013/040/017000c

佐藤小児科   佐藤美津子

ステロイド治療側にも一定の配慮はされていますが、大きい紙面で全国版なので、患者さんたちに読んでいただけたらうれしいと思っています。

12月14日(日)の朝日新聞に、つげ書房新社から以下のように新版の広告が掲載されました。

「新版 患者に学んだ成人型アトピー治療、難治化アトピー性皮膚炎の脱ステロイド・脱保湿療法 25日発売 
佐藤健二著/A5判並製/256頁/定価2400円+税
ステロイド剤や保湿の中止により、難治化アトピー性皮膚炎の依存症を軽減・消滅させ、アトピー性皮膚炎を自然治癒に向かわせる。 改訂新版」

本の最後には
「2015年1月10日第1刷発行」
とは出ていますが。

ご意見いただければありがたいです。

 「大人になっても治らないアトピー性皮膚炎」というアトピーについての恐怖感が世間には蔓延している。しかし、アトピー性皮膚炎は、ステロイドのない時代には、患者の84%が大人になるまでに治癒していた。したがって別に恐れる必要の無い病気である。
 現在、アトピー性皮膚炎で問題になっていることは、発生率の増加ではなくて、アトピー性皮膚炎が治らなくなって、青年や成人で増加していることである。この増加は、ステロイド外用および最近ではプロトピックやネオーラルという免疫抑制剤の使用によるものである。この報道や研究内容には、アトピー性皮膚炎でのステロイドや免疫抑制剤の問題点から人々の目をそらすことが大きな隠れた目的としてあることは間違いない。勿論、企業の営利目的の治療研究であるのは言うまでもないが。
 研究では、生後一週間未満の赤ちゃんに8ヶ月もの間毎日1回以上保湿剤を全身に塗らせている。この時期、赤ちゃんの皮膚は自然環境に慣れる訓練をしている非常に重要な時期である。その時期にまったく人工的な保湿剤を皮膚に外用し、正常でない環境を作らせている。このように考えるのは以下の経験があるからである。
 父親自身がアトピー性皮膚炎で、その父親が自分の子どもにはアトピー性皮膚炎に罹患してほしくない一心で生下時から数ヶ月間毎日ワセリンをわが子に塗っていた。その子どもを私は診察した。その子どもの皮膚は、病的な光沢を持った角化の強い異常な皮膚であった。外用を中止すると正常な皮膚に戻った。赤ちゃんの皮膚に毎日不自然なことをすることの危険性を実感した経験である。
 報道された内容では、皮膚の発育にとって不自然な環境を作る危険性を含むものであることが検討されたかどうか不明である。もし検討されていたなら、このような研究計画は立てられなかったであろう。大変問題のある研究内容であるし、結論についての広報はアトピー性皮膚炎での混乱に拍車をかけるものである。
 なお、予防を行ってもアトピー性皮膚炎は発症している。この研究者たちは、発症した子どもたちをプロアクティブ治療でステロイド漬けにする。そして、現在のアトピー性皮膚炎の問題を再生産させる。根本的な解決から遠のくばかりである。このような研究者たちがいる限り、先は暗い。

週刊文春編集局御中
2012.12.17
 私は記事の中に出ています皮膚科医師佐藤健二です。このような記事を掲載していただき、お礼を申し上げたく連絡をさせていただきました。
 日本皮膚科皮膚科学会から出されているガイドラインには「有効性と安全性が科学的に立証されている薬剤は、ステロイド外用薬とタクロリムスである。」と記述されています。しかし、それを主張することができるエビデンスとしての文献の引用がありません。治療で非常に重要な薬物について引用文献がないということは、主張していることについて根拠がないということです。最も重要な薬物の効果と安全性についての引用文献がないということはガイドラインとして失格といえます。では、ステロイドやプロトピックによる治療の予後はどのようなものでしょうか。ガイドラインの責任者もガイドラインの治療ではなかなか治らないことを知っているようで、予後についての記述は「予後」の項目が作られておらず(恥ずかしくてその項目を作ることをためらったのでしょう)、「病態」の項目の中に「一般に慢性に経過するも適切な治療により症状がコントロールされた状態に維持されると自然寛解も期待される疾患である。」と自信なさそうに述べるだけです。皮膚科医や小児科医はこのガイドラインを基に「ステロイドを使わないとアトピーは治らない」と患者に説明し、その治療に従わない患者を叱りつける場合が非常に多いです。患者無視もひどいものです。
 ガイドライン作成者の責任者である古江先生は、仕方なしに自分の論文(Br J Dermatol 2003; 148: 128-133)でいろいろ話をされます。この論文を使ってプロトピックの有効性についても述べられておられます(アレルギー・免疫2004; 11: 116-23)。以前はステロイド外用薬は35g使用していたがタクロリムス外用によって15gに減ったと。確かに以前はステロイドだけで35gでした。それから比べれば20g減っています。しかし、実際に使ったのはステロイド15gに加えてタクロリムス70gです。タクロリムスの作用の強さはステロイドのストロングクラス(上から3番目でリンデロンと同じ程度)と同じなので、ステロイドに換算すれば合計85g、従って以前の2倍以上使用していることになります。良くなって当たり前です。そして、「タクロリムス軟膏の外用によってステロイド外用量が減少していることが窺える。」と述べておられる。確かにステロイドの量は減ってはいますが、見え透いたトリックで誠実な議論であるとは言えないと思います。
 初めの論文(記事の中に出ていた論文です)について少し追加しますと、6か月のステロイド治療で重症度が改善したのは38%、変化しなかったのが59%、悪化したのが3%です。先日ある学会で、このデータを紹介し、「ガイドラインによるステロイド治療で良くならない人がたくさんいる。学会が排斥する脱ステロイド・脱保湿でこんなに良くなる人がいる。だから、脱ステロイド・脱保湿を治りにくいアトピー性皮膚炎の患者の治療として認めるべきである」旨の発表をしました。古江先生の反応は「脱ステロイドなどを言うのは皮膚科医の治療に対する冒涜である」との発言でした。私が紹介した症例が余りにも綺麗に治っているので、話を変な方向に持っていかざるを得なかったのでしょう。
 ステロイド治療がよいという根拠を示せず、実際のデータは悲惨な結果であり、きれいに治る治療がガイドラインに従っていないためにそのような治療は皮膚科医の冒涜であると述べる学会の体質はいったに何なのでしょうか。ステロイドやプロトピックで治りにくくなっているアトピー性皮膚炎患者さんの生の声を全く聞こうとしない態度は、昔言われた象牙の塔の中の人々という批判は今でも当てはまっているとしか言いようがないように思います。
 貴社の記事は、タイトルは若干的外れ(人目を引く効果は十分あります)と言わざるを得ませんが、上記のような事態を改善させ、ガイドラインの治療で困っておられる患者さんにとって大きな力になると考えます。今後ともこのような記事を多く掲載していただくよう心からお願いいたします。

2011.11.20NHKの番組について、アトピーに限って
佐藤健二
 2011.11.20NHKの番組でアトピー性皮膚炎の病因や治療の話が出ました。言おうとするところを要約すると、アトピー患者にはフィラグリン遺伝子に異常があり表皮のバリアーが障害される。表皮バリアー障害とこれによる痒みで掻破することにより更に表皮がつぶされ、アレルゲンが入り易くなる。アレルギー反応が起こって皮膚が障害される、と。このようにして痒みの悪循環が起こる。だから、表皮の遺伝的な障害を改善するためにも、掻破によって悪くされる皮膚を痒みを抑えることによって皮膚を守るためにも、ステロイド外用剤を塗って良くしましょう。それも、初期には強いものを塗って十分炎症を抑えるのがいい、と言うことです。これまで患者さんがステロイドを塗らないように希望されるようになったのは医師が十分説明をしていなかったからであって、きちんと説明すればいい治療ができるのです、と言うことです。
 この話には多くの問題点があります。
1.多くは2歳までに、ほとんどは成人までに自然治癒していたことを無視している。
   遺伝的な異常があっても、生体は調整する能力を持っており、これにより正常状態に持って行く能力を有していることを隠している。
2.フィラグリン遺伝子異常があれば全てアトピーになるような雰囲気を作っている。
   ヨーロッパ人にはフィラグリン遺伝子の異常は多いが、日本で調べられたフィラグリン遺伝子異常を持つ人は、102人に21名(21%)であった(J Invest Dermatol 2008; 128: 1436-41)。この調査は北海道在住の人が半分であり残りは本州などの在住者である。北海道では異常遺伝子を持つ人は多く、北海道以外では少なかった(その論文の指導者の言)。従って、日本全国で見ると20%を下回ると考えるべきである。だから、5人に一人はフィラグリンの異常でアトピーになる可能性を持つことになる。しかし、フィラグリンの異常があるからと言って必ずしもアトピーにはならないことは既に分かっている。従って、フィラグリン以上ですべてを説明できるような言い方はすべきではなかった。
3.アレルギーがどんどん再生産されるように言い方であるが、アレルギーで本当にアトピーが悪化することはほとんど証明されていない。遅延反応でもである。
   これは、ステロイドで治りにくくなっていることを隠すためのスケープゴートのような理論であって、いつまでたっても成功する保証のない理論である。
4.ステロイドの効果は9日も塗ればこんなにきれいになる、と宣伝されていた。皮疹が軽症であれば短期間に皮疹がステロイドで改善することはだれも疑わない。問題は長期にわたる使用が安全であるかどうかであるのに、この点について避けている。
   自信が無いから長期の事を表に出せないのである。
5.ステロイドについて効果と共に副作用も言われていたが、最も重要な依存性については全く触れようとしていない。
   皮膚科学会からそのようなことはあり得ないと言われているのでアナウンサーが言えるわけもないでしょうが、患者の声をちゃんと調べて述べるのがアナウンサーの義務ではないかと思います。
   論文でも既に次のように言われています。「外用ステロイドの使用は、アトピー性皮膚炎に関係する炎症を抑えるが、同時に皮膚の防御壁にさらに傷を作っているようであり、従って、アトピー性皮膚炎のさらなる悪化を起こる危険性を高めていると言えそうである。(J Invest Dermatol 2009; 129: 1892-1908)」。

 だから、学会の共通認識から都合の悪い所は省いて放送していると言わざるを得ない。日本皮膚科学会は、学術的内容から判断して問題があることをNHKの抗議すべきであると思われる。