脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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kiriさんの書き込み(mixi脱ステロイド・脱保湿療法、アトピーに関する一般的な記事、2010.11.27)を紹介します。私の脱ステ本の中で同じようなことが記されてあることが紹介されています。以下のkiriさんの紹介文をじっくりお読みください。
 一般的なニュースかどうか分かりませんが、、9年前の2001年に発行された「アトピーはもう難病じゃない」という元慶応義塾大学医学部皮膚科医医局長・医学博士で現在菊池皮膚科医医院長をされている菊池新先生の本です。
H8年から2年間アメリカの国立衛生研究所でアトピーを主に研究をされてきたみたいで、
標準治療をされている先生の本で日本の医療の問題点を書いてるのが面白いなと思って読んでます。
書かれている文章が本当かどうか不明ですが。
気になった部分です。
P.22
③「悪しき日本のシステム」
 日本の国立がんセンターを、10倍にも20倍にもしたような、とんでもなく大きな研究施設の集合体。それがNIH,アメリカの国立衛生研究所である。
 なにしろ研究施設が、皇居の内堀どころじゃなく、外堀の内側ぐらいの広さを持っている。
その中に、例えばガンの研究所とか、免疫の研究所とか、運動機能の研究所とか、数え切れないぐらい建っているのだ。僕はそこに2年近くいて、免疫とか、アトピー中心の研究をしていたんだけど、その研究費用は湯水のように出してくれる。いくらでも研究してくださいという姿勢なのである。初めにも言ったけど、アメリカの底力、凄いところはそんなところにあるのだと痛感した。
 ところが日本の国はそうした費用をケチるから、大学病院はどうするかというと、製薬会社とつるむしかない。つまり新薬を世に出すために、病院の先生に頼んで「治験」というものをおこなうのだ。新薬を使って治療をし、そのデータを一人分につき数十万円で製薬会社に売るのである。僕も医局長をやっていたから、もちろん治験もやっていた。
 ところが問題なのは、
「新しい薬を使って治験をやりたいんですが、どうします?もちろんまだ認可された薬ではないので、副作用が出る可能性もあります。でも、今まで効かなかった薬よりも効く可能性もあるんです。これは決して強制ではありませんから、よく考えてお決めになってください。」
 と、きちんと説明をしていれば問題は少ない。ところが、中には治験をやるとは言わずに勝手に治療をやってたりする医者がいて、これがアトピー患者をさらに苦しめる原因となっている。なぜなら、強いステロイドのような塗り薬を与え続けていると、最初のうちはきれいに治るんだけど、そのままにしてるとだんだんと効かなくなってきて、経験不足の医者はさらに強い薬を使うようになってしまう。しまいには使う薬がなくなってきて、そうした新薬に手を出すようになり、患者さんの方も藁にもすがる思いで、
「お願いします」
 となってしまうのだ。挙句の果てが、皮膚の至る所から体液が滲み出してくるようなグチャグチャな状態になってしまう。
 そうしたアトピー患者の犠牲の上に、治験というものがおこなわれているのだが、それが新薬のために本当に役立っているならまだいい。日本の医療システムが腐っているというのは、そうしたデータまでが改ざんされているケースも少なくないということなのだ。多額の費用をかけて開発された新薬に、副作用が非常に多いとか、これは効果がないなんて結果が出ると大損になってしまうため、都合の悪いデータを握りつぶすなんてことが、信じられないかもしれないけど、大手を振ってまかり通っているのである。日本の医学研究のほとんどは、製薬会社から金を奪い取ってやっているに等しい。医者と製薬会社のギブ・アンド・テイクで、
「先生、たんまりと払いますから、いいデータ作ってくださいよ」
って暗黙の了解があるわけ。だから、日本で開発された新薬は、そのままじゃアメリカやヨーロッパでは薬として売れない。向こうでもういちど治験をやり直してからじゃないと認可されないのである。日本の医療行政が完全に崩壊しているというのを向こうは知っているから、ぜんぜん信用されていない。日本の治験がどんなにいい加減なものか、もうハナから信用されていないのだ。
 他の病気でも同じこと。たとえば抗癌剤の治験をやっていて、患者さんが死んじゃったなんてことはよくあることなんだけど、そういうのはみんな握りつぶしちゃう。何か他の原因で死んだことにしてしまうのだ。それで、内部告発なんかされて、時たま社会問題化する場合もあるけれど、その内部告発にしたって威張れるものじゃない。中には正義感に駆られてやる人も少しはいるのかも知れないけど、たいていは自分の上にいる人間の足を引っ張るためにやっている。あいつがいなくなったら、次は俺が助教授になれるなんて。
中略
薬全般に対して、だから医者の側にはバイアスがはいっている。特に大学病院なんて、たとえばステロイドの治験をさせていただいて、研究費を何千万円もいただいている製薬会社の悪口は、絶対に言えないようになっているのだ。厚生労働省のお役人だって同じこと。利権や天下り先のことを考えると、とりあえず自分の任期の間は無難に過ごして何も変えまいとする。
 そうしたら正しいと思うことも言えなくなってしまう。薬害エイズの問題だって、根っこは同じ。あれほどひどい薬害じゃなければ、そんなもの今でもいっぱいある。

湿潤療法と脱保湿

2010年08月06日 | Posted by 佐藤 健二 in その他 - (4 Comments)

 褥瘡(床ずれ)などで行われている湿潤療法と脱ステロイド脱保湿療法での脱保湿との関係については明瞭な区別をしておく必要があります。床ずれなどの潰瘍の治療としての湿潤療法は非常に有効な治療です。この場合はなぜ有効かということですが、それを理解するためには皮膚の構造を知っておく必要があります。皮膚は表面から、表皮と真皮と皮下組織(脂肪組織のこと。この下に筋肉や腱や骨があります)に分けられます。
 潰瘍と言うのは少なくとも表皮がなくなって真皮が露出した皮膚の欠損です。真皮より深い部分がすべてなくなっても潰瘍です。表皮を超えて真皮までの欠損がある時、皮膚が治っていくためには、まず肉芽(血管が豊富な赤い組織)ができなければなりません。この肉芽ができた後に表皮が作られます。この過程で湿潤環境が有効に働きます。だから、表皮がない状態から表皮ができるまでの皮膚の修復に湿潤環境が非常に有効であるということです。また、ここで強調しておく必要があることは、このできてくる皮膚(真皮や表皮)は正常の皮膚であって、ステロイドを長期に外用された皮膚ではないということです。なお、表皮形成が完成した後も表皮を湿潤状態に置いていると、そこから先、頑丈な皮膚にはなかなか変化していかないということです。
 一方、脱ステロイドや脱保湿が問題となっている皮膚の状態は、まず第一に表皮が存在する状態での話であることが潰瘍治療との大きな違いです。そして、この皮膚はステロイドやプロトピック、そしてそれらを長期にわたって外用されたことによって起こっているステロイド依存症、プロトピック依存症、保湿依存症を患っている皮膚(表皮や真皮)です。褥瘡の皮膚はこのような病的状態にはありません。だから、治療の対象の皮膚は大変違った状態であることを知っておく必要があるということです。
 脱保湿の途中では、痛みやチリチリ感がほぼ必発で大変困ります。そのことが嫌でそれを改善するために、褥瘡に対して有効である湿潤環境に脱保湿中の皮膚を置くことは、実際何をしているかと言うと、保湿依存状態に戻していることになります。保湿依存状態にすれば間違いなく痛みやチリチリ感はなくなるでしょうが保湿依存状態を更に深めるだけにしかなりません。
 誤解を避けるために一つだけ注意をしておく必要があるのは、アトピー性皮膚炎患者で表皮が削られている場合には痛みがあります。この時にはガーゼ保護をしていただきます。これは、褥瘡治療と同じで、欠損している表皮の埋め合わせを早くするために表皮を湿潤下において増殖を速めさせているのです。しかし、褥瘡の時と同じで、表皮が形成されればそこから先は乾燥に持っていかなければ強い表皮はできません。
 ある一つの治療が有効だからと言って、その治療の有効である条件をしっかり理解しておかないと大変間違った治療になることを肝に据えておく必要があるでしょう。
 

東京大学皮膚科教授 佐藤伸一先生の講演から
 (全てを記録できなかったのでその一部を紹介する。もし間違いがあればそれは私の責任である。)
 第109回日本皮膚科学会総会の2010.4.16イブニングセミナー4で「アトピー性皮膚炎の考え方—病態の一元的理解を目指して—」と題して講演された。内容は、アトピー性皮膚炎の病態は、1)バリア異常と2)免疫異常(Th1/Th2バランスの異常やIgE産生など)という2つの主要な異常によって生じているが、一義的な異常はどちらかという問いかけとその答えであった。
 バリア異常の原因としてアトピー性皮膚炎ではフィラグリン、ロリクリン、インボルクリンの発現異常がある。この異常は人種差がある。これらの蛋白質は、遺伝子異常のある場合は勿論低下しているが、遺伝子異常のない場合にもアトピー性皮膚炎患者では正常以下である。このバリア異常のために皮膚では外来性の抗原が免疫機構を反復刺激してIgE産生を増加させる。掻破を抑制するとIgE産生増加は低下する。IgE増加はアトピー性皮膚炎の原因ではなく結果である。掻破を抑制するとIgEが減ることもそれを示している。
 IgE高値とアトピーの病態とは相関しないこと多い。例えば臍帯血のIgEの値とADの発症は相関しない。健常人でもダニに対するIgEは30-40%に陽性である。IgEに依存しないアトピー性皮膚炎がある。IgE欠乏症でもアトピーは出る。動物実験でIgEのノックアウトマウスでも湿疹はできるので、IgEに関連付ける必要はない。しかし、アトピーの重症度とIgEの値は相関する。だから、IgEは皮膚炎の結果生じるのであって、アトピーの増悪因子であるとの考え方は疑わしい。抗IgE抗体投与(omalizumab?)でもあまり効果がないこともそれを支持している。
 フィラグリン欠損マウスで湿疹が起こるかを調べると、アトピー類似の湿疹が起こっている。フィラグリン欠損の魚鱗癬の約40%はアトピーの症状を示さない。ヒトでは別の因子が必要であるのか?
 免疫異常はバリア異常を起こすか、の問いには、そうであると言える。これはフィラグリン遺伝子の異常なしにも起こる。Th2サイトカインはロリクリンやインボルクリンの発現を低下させる。これにより、バリア異常を起こさせる。
 アトピー性皮膚炎は均一ではない。IgE関連アトピー、真のアトピー、外部刺激性アトピーがある。
 結論的に、バリア異常がアトピー性皮膚炎の一義的な異常である可能性を示している。Th2サイトカインは、フィラグリン、ロリクリン、インボルクリンの発現を抑制し、更にバリ異常を助長する。
 以上であるが、重要な点は、IgEをアトピー性皮膚炎の原因と考えないことをはっきりと主張されたことである。この講演の後で、この講演の座長を務めておられた東京女子医科大学皮膚科教授、川島 真先生は、「その考えで大人になればアトピーがなくなることはどう説明するのか」と質問された。これは、アトピーの原因がアレルギーであるとの説を唱える人でも困っている点である。この質問には佐藤伸一教授は明確な答えを言われなかった。講演会の後で私が道すがら「身体の成長に伴う皮膚の成長という考え方を考慮すれば説明できます」とお話しすると「言えるかもしれませんね」とのご返事であった。私の考え方に非常に近い考え方だと思いました

プロトピックで発がん

2010年03月22日 | Posted by 佐藤 健二 in その他 - (0 Comments)

プロトピックなどの外用免疫抑制剤で子供に発癌
1.アメリカ食品医薬品局(FDA)の発表
 2010年3月22日毎日新聞朝刊によると、「FDAは2005年にも、発がんと関連する恐れがあるとして、使い方に注意するようよびかけて」いたが、「プロトピック」(日本で発売)と「エリデル」(こちらは日本では未発売)の2種類の免疫抑制作用のあるアトピー性皮膚炎外用治療薬を使った「米国の子供が、2004年1月〜2009年1月の5年間に計46人、白血病や皮膚がんなどを発症し、このうち4人が死亡した」とのことです。詳しく言うと「0〜16歳でプロトピックを使った15人、エリデルを使った27人、両方を使った4人の計46人が皮膚癌やリンパ腫、白血病を発症した」のです。
46人のうち「50%は、添付文書で『使うべきでない』とされている2歳未満。41%は、安全性が確立していないと注意喚起されている1年以上の長期使用。プロトピック使用後にがんになった子どもの26%は、有効成分濃度0.03%の子ども用ではなく、濃度0.1%の大人用を使っていた」とのことである。ここの記述を逆に表現すると次のようになります。“50%は、使うことの許されている2歳以上。59%は安全性が確立されている1年未満の使用。プロトピック使用後にがんになった子どもの74%は0.03%の子ども用のものを使用していた”ことになります。
「因果関係は明確ではないが、発がんと関連する恐れがあるとして、FDAは近く専門家会議を開き、薬の添付文書改訂を検討する」としているが、添付文書の改訂ではなく、全面使用禁止にすべきです。これまでプロトピックを使用しなければならないアトピー性皮膚炎患者はステロイド依存性皮膚症を合併しているので、脱ステロイド・脱保湿療法を行えばプロトピックだけでなくステロイドの使用の必要もなくなるから全面禁止にしても問題は起こらないからです。
2.プロトピックの使用は全面的に禁止されるべきです
プロトピックの危険性が解決されない時点で厚生労働省からアトピー性皮膚炎への保険適用の許可が出されました。私は、危険性が解決されない時点での保険適用許可は、子供を実験材料にしたプロトピックによる人体発がん実験であるから倫理的に許されることでないと評価しました。そして、いったん発売されたなら、プロトピックを使用したすべての子どもの経過を追わなければ最小限の義務も果たすことにはならないと思いました。そして、私は、プロトピックを絶対使わないようにと初めから言い続けてきました。しかし、ついにその危険性が現実のものになりました。厚生労働省は、直ちに全面的使用禁止令を出すべきです。そして、プロトピックを使ったすべての人々の経過を調べ、今後少なくとも20年の経過観察を義務付けなければならないと思います。
3.ネオーラルの使用禁止も行うべきです
免疫抑制外用剤をアトピー性皮膚炎に使用させない措置とともに、内服の免疫抑制剤ネオーラルの禁止も必要と考えます。ネオーラルの必要な患者は、上でも述べましたが、ステロイド依存性皮膚症(あるいはプロトピック依存性皮膚症あるいはその両者)を合併しています。同じように、脱ステロイド・脱プロトピック・脱保湿を行えばステロイドもプロトピックも使用しなくて済むようになるからです。
4.子供を守るためにプロトピック、ネオーラルを拒否しましょう
 自然治癒力があり、多くは2歳で、ほとんどは成人までに自然に治るアトピー性皮膚炎を、ステロイドで治らないようにし、更に免疫抑制剤で発がんの危険性を加えないために、親はあるいは本人は、免疫抑制外用剤や免疫抑制内服薬の処方を拒否しましょう。自分たちの子どもや自分を守るために、患者の持つ治療の決定権を行使しましょう。

第12回アトピー性皮膚炎にステロイドを使わない治療を考える会が2月21日に阪南中央病院の講義室で行われました。参加者は100名弱で、講義室には入りきれず、ビデオ撮影像を横の待合場に設けて講演を聞いていただきました。入院中の患者さんにはそちらに移っていただきました。申し訳ございません。
 少し学問的な話で難しかったかもしれませんが、じっくり聞いていただけたように思います。本日の話は私を含め皮膚科学会などからは「異端児」と思われている方たちばかりの講演者の話ですが、内容的には学会のガイドラインよりはるかに優れたものであると自負しています。講演者の気持ちが十分伝わってくれていることを期待いたします。私はアトピー性皮膚炎の原因(悪化要因ではありません)について試論を話しました。私が自分の説を実験で証明できないことは残念ですが、病気の原因を考える場合の考え方についてまた、アトピー性皮膚炎についてはその原因説が若い人々の間で議論していただければありがたいと思っています。
 討論も活発で、参加いただいた先生方からもいくつか発言をいただきました。講演会の後、意見交換会を開きました。今後、ステロイドの犠牲者を出さないためや、現在の治療について何か良くなる方法は無いか、これらを可能にする何かの運動は無いかなど広範な話がでました。医師も患者も対等の立場で議論いたしました。大変いい議論だったと思います。いろいろ意見の違いはあるでしょうが、現在の患者は自分の調子を崩さない様にしてステロイド被害者を出さないために有効な活動を考えていくことが重要であるとの大まかな同意が得られたような気がいたしました。大変素晴らしいことだと思います。しかし、言うは易し行うは難しで、今後の多くの人の参加が求められると思います。今後も一緒にやっていけたらと思います。
 皆様お疲れさまでした。
 また、多くの患者さんが講演会のお手伝いに来ていただきました。皆様のおかげで講演会の運営がスムーズに行きました。心からお礼申し上げます。京都講演会も近いです。それのお手伝いもよろしくお願いいたします。