脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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酒さ様皮膚炎とステロイド依存性皮膚炎の異同

投稿日: 2009年3月21日   カテゴリー: その他 - (0 Comments)

酒さ様皮膚炎とステロイド依存性皮膚炎の異同
0.酒さの教科書的記述
  「MINOR TEXTBOOK 皮膚科学、改訂第7版、2002年、金芳堂、
  中年以降に生じ、冬季増悪傾向あり
  1)第1度(紅斑性酒皶):鼻、頬、額、眉間にびまん性発赤、毛細管拡張症、油状光沢、寒暖・飲酒で増強
  2)第2度(酒皶性痤瘡):上記の増強、毛孔性丘疹、面ぽうを生ずる。高度では首体幹に及ぶ。
  3)第3度(鼻瘤):結合組織増殖により鼻が腫瘤状に増殖し、紫紅色を呈し、毛孔開大してミカンの皮状となり、皮脂分泌が著しく、油状光沢を示す。赤鼻。ほとんどが男性で白人に多い。
  4)眼合併症:酒皶様角膜炎(疼痛・羞明・角膜潰瘍)、結膜炎、虹彩炎、強膜炎
  
1.酒皶様皮膚炎の教科書記述
1)「MINOR TEXTBOOK 皮膚科学、第8版、2006年、金芳堂、632頁」
によると、酒皶様皮膚炎(口囲皮膚炎を含む)は、顔面に小さな丘疹や膿疱が多発し、顔全体が赤くなり、カサブタやフケのようなものが付き、毛細血管が浮き出し、強い痒みや熱感が起こります。発症時期は思春期から成人期に多く、女性に多く発生します。病理組織学的には毛穴や毛穴の周囲の炎症とされています。ここに述べた皮疹は、ステロイド外用薬の長期使用による副作用としての皮膚病変です。治療のためには外用を中止する必要がありますが、症状のリバウンドがひどく、治療上の技術と患者の忍耐が必要です。
以下では、上記臨床症状の記述以外で特徴的な記述を抜書きする。
 2)最新皮膚科学体系(20巻にわたる体系的教科書)
玉置邦彦総編集による最新皮膚科学体系では3箇所で酒皶様皮膚炎が取り上げられている。丸囲み数字は巻数である。
②皮膚科治療学 皮膚科救急では10頁に記述があり、酒皶様皮膚炎はステロイド皮膚炎と同義であるような記述であり、口囲、鼻唇溝に生じたものを本症の一亜型である口囲皮膚炎としている。本症は顔面の病変に対してステロイド薬を数ヶ月から数年にわたって外用した場合に起こるとしている。治療はステロイド外用薬の中止とミノサイクリンの内服、保湿剤の外用を行うとしている。
⑤薬疹・中毒疹では204頁に記述がある。症状は第2度の酒皶に類似。顔面にステロイド薬を外用することで脂腺の機能異常が生じて起こる。ステロイド薬の長期外用で出現し、抗炎症作用が強力なほど短期間で出現する。ステロイド外用中止で潮紅が増強するため、ステロイド薬をやめられずに次第に症状は増悪する。急に中止するとステロイド離脱皮膚炎が起こることがあるが、これは中止した数日後から外用部全体が発赤・腫脹し、膿疱・痂皮などが生じるものであり、灼熱感や瘙痒が激しくなる。ステロイド外用剤の強さを漸減したり、ステロイド内服することもある。
⑰付属器・口腔粘膜の疾患では114-116頁に記述がある。酒皶様皮膚炎は、ステロイド薬を顔面に外用することにより生ずる医原性の病態、ステロイド酒皶である。ただし、発病の素因のある症例において生ずる。その素因は不明である。顔面のほてりや赤ら顔を繰り返し生ずる酒皶の素因(紅斑エピソ−ド期の酒皶)を持つ人にステロイド外用をすると、外用部のみならず顔面全体に及ぶ汎発性の酒皶様皮膚炎をきたす。鼻唇溝の紅斑などの脂漏性の素因のある人あるいは口囲の様々な皮膚炎に対しステロイド外用した場合には、外用部に依存して口囲皮膚炎の臨床像を呈する限局性のステロイド酒皶を発症する。すなわち、顔面へのステロイド外用により、酒皶素因を有するものは汎発性の酒皶様皮膚炎を生じ、口囲皮膚炎の素因を有するものは口囲皮膚炎を起す。
口囲皮膚炎は1970年代まで欧米で認められた。顔面全体に分布するびまん性の酒皶様皮膚炎はアトピー性皮膚炎の合併があるかないかで二つに分けて考えるべきである。アトピー性皮膚炎を伴わない人では顔面の接触皮膚炎などにステロイド外用を行うことによって酒皶素因のある人に生じる。白色人種では酒皶患者が多いうえ、酒皶様皮膚炎をきたすことが早くから認識されたため、顔面へのステロイド外用は控えられていた。ステロイド外用中止後にびまん性の浮腫性紅斑などの急速なリバウンド現象を生ずる。この酒皶では瘙痒がほとんどない。アトピー性皮膚炎を伴う患者では1980-90年代をピークに主にわが国においてよく見られた。この酒皶の場合、ステロイド外用により紅斑は目立たない状態となるが、外用後の時間の経過と共にステロイド薬の局所の濃度が有効限界以下になると紅斑は増強し腫脹する。
ステロイド酒皶の病理組織所見は、表皮の菲薄化、毛孔の拡大、毛細血管の拡大、毛包周囲性リンパ球浸潤、膠原繊維の断裂である。湿疹性病変は海綿状態と真皮上層のリンパ球浸潤である。
全身の湿疹が軽度で顔面の紅斑のある場合はステロイド酒皶が主である。全身に湿疹が強くあれば、顔面の紅斑には湿疹に加えてステロイド酒皶が様々な割合で混在する。
2.酒皶様皮膚炎のまとめと整理
 1)顔面の症状を対象としている
    皮膚萎縮を問題にしているものあり
    潮紅、毛細血管拡張、丘疹、膿疱は承認されている
    痒みの有無は違う意見あり
    発症時期や女性に多いことは承認
    病態は毛穴や毛穴の周囲の炎症、脂腺の機能異常などで説明されているが未決
 2)顔面へのステロイド外用が原因である
    ステロイド外用薬の長期使用による副作用であることは承認
    ステロイド離脱で激しい症状出現も承認
    治療もステロイドの中止とテトラサイクリン内服、時にステロイド内服も考慮されている
    ステロイド外用治療しているアトピー性皮膚炎での赤皮症について、酒皶とアトピー性皮膚炎とを区別して考察している論文あり。
3.問題点
 ステロイド外用による皮膚の副作用は承認されているが
 1)部位として顔面への外用のみを述べている。他の部位では起こらないのか?
 2)長期外用として生じる副作用(萎縮、潮紅、毛細血管拡張、丘疹、膿疱)と決めているが、短期で生じる副作用もある。
    皮膚萎縮は外用初期から(短期で)生じるし、潮紅は萎縮と平行して発生してよい。
    丘疹、膿疱、毛細血管拡張は長期が必要。
 3)脂腺の機能異常が考えられているので、脂腺のあるところだけが対象となるのか
    手掌足蹠を除けば顔面以外でも、脂腺系は存在する。顔への外用に限定する理由は何か?
    生じるリバウンドの症状からすれば、脂腺だけに限る必要はない。手掌足蹠でも生じると考えられる。
 アトピー性皮膚炎では顔以外にも何十年とステロイドを外用している。その場合、皮膚萎縮、毛細血管拡張は必ず見られ、丘疹、膿疱も時に見られる。顔以外でも起こっているがこれをどう捕らえるのかあるいはなぜ除外するのか。酒皶としてもいいが、酒さは顔面での皮疹がほとんどであるので、酒皶という言葉を使用するのは適切でない。離脱でリバウンドが生じるなら、ステロイド依存性皮膚症と言うように、「依存性」を出しては駄目なのか?
4.結論
 ステロイド外用による副作用を顔面に限定して酒皶様皮膚炎とするのは間違いではないが対象とする副作用が狭すぎる。依存性のある副作用として、部位を限定せず、ステロイドの使用期間を長期だけに限定せず、ステロイド依存性皮膚症とするのが正しい副作用の命名方法である。

mixi 脱ステロイド・脱保湿療法

投稿日: 2009年3月20日   カテゴリー: その他 - (0 Comments)

 mixi 脱ステロイド・脱保湿療法の参加者が2009年3月20日午前7時49分で298人になっています。最近急激に増加傾向にあります。皆様が色々書き込みをしておられることが一番の参加者急増の原因ではないかと思います。もっと色々書き込みをしていただければと思います。

第4回アトピー性皮膚炎講演会 4月12日 横浜

投稿日: 2009年3月4日   カテゴリー: 講演会 - (0 Comments)

第4回アトピー性皮膚炎講演会 
 
日時: 2009年4月12日(日曜日)、13:45-16:30
場所: 横浜市技能文化会館 8F 802 大研修室 (先着順 96名、予約はできません)
     横浜市中区万代町2丁目4番地7 Tel: 045-681-6551
       JR根岸線 関内駅 南口  から徒歩5分  
       横浜市営地下鉄 伊勢佐木長者町駅出口2 から徒歩3分
主催: atopic (責任者 水島郷博)
講師: 佐藤健二
問合せ先: steroid_withdrawal@yahoo.co.jp
後援:佐藤小児科 大阪府堺市中区堀上町123 ℡:072-281-0215

抗アレルギー剤について

投稿日: 2009年3月3日   カテゴリー: その他 - (0 Comments)

 抗アレルギーとは銘打っていますが、実際の働きのほとんどは抗ヒスタミン作用で、抗アレルギー作用はほとんどありません。だから、抗アレルギー剤内服でアトピー性皮膚炎が良くなったとすれば、抗ヒスタミン作用で痒みが減り、掻破が減ったために良くなったと考えるべきでしょう。抗アレルギー剤も実際は抗ヒスタミン剤です。抗アレルギー剤でアトピー性皮膚炎が良くなったからアトピー性皮膚炎はアレルギー疾患だとは決して思わない方が賢明です。
 最近では、製薬企業も医師もさすがに恥ずかしいと思ったのか、抗アレルギーと言う名前を使うのに躊躇を感じているみたいです。昔の抗ヒスタミン剤と最近の抗ヒスタミン剤を区別するために第一世代とか第二世代とか名前をつけて区別するようになっています。第二世代の抗ヒスタミン剤の中には眠気の少ないものがあり、使用には重宝するものがあります。第一世代の抗ヒスタミン剤の眠気を利用することもあります。これはねだんが概ね安いということで使いやすいです。

毎日新聞、アトピーの記事への批判

投稿日: 2009年3月2日   カテゴリー: 新聞・テレビ - (0 Comments)

 2009年3月1日毎日新聞朝刊「子供相談室」に「5歳男児アトピー性皮膚炎にステロイドがよく効いているが、長期外用の影響が心配で外用期間と副作用を知りたい」旨の質問にB皮膚科医は「アトピーは痒みと湿疹が繰り返し出る病気で、スキンケアと保湿に加え最小必要量のステロイドを使用する。ステロイドに副作用はあるが、皮膚科の指示で量と回数を守って最小必要量を使用すればリバウンドはない。湿疹がある限り、湿疹の部位のみに塗る続ける」と答えている。
 批判
1.ほとんどが自然治癒する病気であることを述べていない
2.副作用で最も重大なものである依存性のあることを述べていない。
3.最小量しか使わなければ外用中断後の皮疹の出現は本来のアトピー性皮膚炎のみが出てくると考えているが、少ない量で外用していてもリバウンド(正しくはステロイド離脱症状)は出現する。
4.かなりの患者は、「ステロイドが効きにくくなって外用量や強さを増やさなければならなくなると言っている訴えを無視している。」
5.長期間の安全性については特に年単位の使用期間の安全性は判っていないことを知らない。
6.プロトピックの外用制限についても何も述べていない。
 ステロイド外用で困っている患者の声を全く知らない無責任な内容です。私たちの講演会が新聞に載ると大変な反響があるのと同じように、このような記事はステロイドへの流れを作り出します。マスメディアは企業の方を向いた記事を良く載せます。このような記事を載せさせないようにするには、日本皮膚科学会やマスメディアに圧力をかけていくことが必要でしょう。