脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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原因不明の突然の顔面のジクジク

投稿日: 2009年2月6日   カテゴリー: その他 - (3 Comments)

 最近、突然明瞭な理由もなく、主として顔面がジクジクして、何故かな何故かなと思って経過をみていると、顔を中心としてジクジク以外の皮膚に3−4mmの赤い丘疹(盛り上がり)が出現し、時には全身にも同じ丘疹が出現するということが起こっています。この丘疹は直ぐに中心に小さな褐色の痂皮(かさぶた)ができ、一部の丘疹では中央が臍(へそ)のように陥凹しているものが見られます。この経過は、単純疱疹の拡がったもので、カポジ水痘様発疹症といわれるものです。
 何故これがよく起こるようになったのかは不明ですが、理由がなく突然ジクジクが起こったときには早期に受診し、抗ウイルス剤の内服や点滴をしたほうがいいように思います。
 皆様にお願いがあります。これが起こるときの誘因として考えられるものが何かを教えてほしいのです。よろしくお願いいたします。

世界で最も権威のある教科書の一つであるアメリカの皮膚科学教科書「一般医学の中の皮膚科学」第7版の「予後と臨床経過」の中に次のような記述があります。
「臨床経過:
 この病気は若い小児において一般的により重症でより持続する傾向にある。昔の研究では、84%近くの小児は成人までにアトピー性皮膚炎がなくなる。より最近の研究では、乳児から成人まで経過を見た小児の20%でアトピー性皮膚炎は消失するが、65%で症状の強さの程度ががよりましになる。」(教科書)
 これから判断すると、記載がなく経過の不明な15%の人は除いて、昔は85%の人は成人までに治っていたが、今は成人になっても20%の人しか治らず、65%の人は何らかの形で病気を持続させている。この65%の人が治らないでいる理由は何かが問題となる。少なくとも、昔の治療状況に比べて今の治療が旨く行っているとはいえないということである。これが有病率の増加として現れている。
 同じ教科書には「1960年代以降、アトピー性皮膚炎の有病率は3倍以上に増加している」と記されている。
 有病率は発症率とは別です。今、確実に増加していると言われているのは有病率です。
 発症率は、例えば、2008年に生まれた子供のうち何人の人がアトピー性皮膚炎になるかという率です。例えば10000人生まれて2000人病気になれば、発症率は20%です。有病率はある時点でアトピー性皮膚炎の病気を持っている人の率です。だから、Aと言う病気とBと言う病気の発症率が同じでも、病気が治るまでの期間がAでは1年Bでは2年とすると、有病率ではBはAの2倍になります。昔、大阪府で行われたアトピー性皮膚炎の発症率は変わっていないという結果があります。昔と今で発症率が同じで有病率が今のほうが高いとなれば、治るのが遅くなっていると言えます。なぜ治りが遅くなっているのかが問題となります。
 その答えはステロイド外用剤の使用だと言ってもほとんど間違いありません。なぜなら、ほとんどの人にステロイド治療がなされ、ステロイド治療で治らない人に脱ステロイド治療をするとほとんどの人が良くなるからです。

アメリカ研究皮膚科学会の雑誌の最新号に出ていた論文の紹介
「アトピー性皮膚炎:自然免疫の生涯によって起こっている病気?」
Atopic dermatitis: A disease caused by innate immune defect?
Benedetto AD et al: Journal of Investigative Dermatology 2009; 129: 14-30
 アトピーはこの半世紀間、有病率が増えている。アトピー性皮膚炎の発症と重症度に自然免疫の障害が影響している事を示唆する研究結果が増えている。自然免疫とは、皮膚で作られる抗菌作用のある蛋白質の分泌、皮膚への白血球やリンパ球(NK cell)などの補充、白血球が細菌を食べる能力などです。これらの機能が落ちることによって黄色ブドウ球菌や単純ヘルペスの感染症が起こりやすい、またこれらの病原性微生物によって元々バリアー機能が落ちている皮膚が傷害され、更に細菌やアレルゲンが皮膚を通り易くなって皮膚の障害が起こり、皮膚炎が起こる。またIgEの産生が増え、アトピーが悪化する。
 このように説明しようとしています。
 このような理論だと、黄色ブドウ球菌や単純ヘルペスが感染するとアトピー性皮膚炎の全体がひどく悪化してもよさそうなのに、感染部分だけが悪くなり、感染が治癒すると元の湿疹の状態になります。
だから、アトピー性皮膚炎の悪化と皮膚感染症の悪化とは別のものと考えるべきだと思います。
 個々の引用論文を調べたわけではないのでなんとも言いようがないのですが、人を対象として調べた場合、多くの人はステロイド外用歴のある方だと思います。すると、ステロイドの影響はどのように除外したのかが問題になります。影響を除外できるかどうかも問題です。だから、自然免疫にステロイド外用剤が与える影響をきちんと検討しないと何を調べているのか分からないことになります。
 研究は皮膚しか見ていません。ステロイド外用により生じてくると考えられる内分泌異常、生理不順、発汗異常、抗利尿ホルモン分泌異常などもアトピー性皮膚炎患者の重要な問題点です。これは、皮膚だけを見ていても全く解決しません。また、アトピー性皮膚炎が大人になるまでに治っていくという経過についてはこの説でどのように説明するかは全く取り付く島はありません。依然として、私の本の中で述べたように、アトピー性皮膚炎の原因についての研究はまだほとんど信頼できるものはないといえるでしょう。

立て続けに脱ステロイド関連の講演会があります。お忙しいでしょうがご参加ください。受付係が足りません。どなたか応援をお願いできませんでしょうか。当日12:15頃集合です。
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第11回アトピー性皮膚炎に対しステロイドを使わない治療を考える会
謹啓 時下、皆様におかれましては、ご健勝のことと存じます。
 さて、この度「第11回アトピー性皮膚炎に対しステロイドを使わない治療を考える会」を、堂園晴彦先生にお話していただくことになりました。ステロイドを使わない治療で、アトピー性皮膚炎を改善・治癒させるという事を考える、世界で一つしかない会です。堅苦しくない会ですので、是非この機会に、ご出席下さり、質問やご意見を戴ければ、世話人として、望外の喜びでございます。
 アトピー性皮膚炎にステロイドを使わない治療に、関心のあるどなた様でも、お気軽にご参加下されば幸いです。
謹白
代表世話人  守口敬任会病院アレルギー科  木俣 肇
日時・場所:平成21年2月15日(日)    講演会    13:00〜15:00 (淀川キリスト教病院チャペル)
                    情報交換会   15:00〜16:00 (喫茶店「ルル」)
参加費(情報交換会喫茶店「ルル」での料金込みです): 1000円
アクセス:新大阪から西中島南方:地下鉄御堂筋線(なかもず行き)にて2分。
西中島南方から淡路:阪急京都線(高槻市行き)にて4分。
西出口を出て左に曲がり、進路沿いを大阪方面へ戻り、徒歩約7分です。
開会の辞  守口敬任会病院アレルギー科部長  木俣肇 先生
特別講演  
座長  玉置昭治 先生  (尼崎医療生協病院皮膚科)
演者 堂園晴彦 先生 (堂園メディカルハウス 院長)
私のアトピー治療
産婦人科医として、新生児のアトピーを30歳後半からよく診るようになり、母親の妊娠中の食事との関連を研究した。ステロイドの長期使用時の副作用は熟知しており、皮膚科医でなかったため、ステロイドを使用せず「食事療法(ω6系を減らす)+抗酸化ビタミン治療」を考え、効果を得ている。また、日本の医療もリバウンド状態なので、その治療活動に関しても述べたい。
堂園先生は1978年慈恵医大卒業後、国立がんセンター、慈恵医大講師、鹿児島大学医学部講師を経て、1991年に御父上の診療所を継ぎ、クリニックを開業されました。1996年ホスピス機能を有する有床診療所:堂園メディカルハウスを開設しています。アトピー性皮膚炎の専門家ではありませんが、日本の医療の現状の中で現在起きているアトピー性皮膚炎の問題を皮膚科医以外の切り口で語ってくれるのではないかと期待しています。(座長をさせて頂く玉置談)
閉会の辞  守口敬任会病院アレルギー科部長  木俣肇 先生
(講演終了後、情報交換会として、懇親会を予定しておりますので、皆様お気軽にご参加下さい)

皮膚の日講演会、内容

投稿日: 2009年1月24日   カテゴリー: 講演会 - (0 Comments)

 大阪で行われた皮膚の日の講演会の内容が、2008年12月31日付の大阪府医師会の新聞「大阪府医ニュース」に出ていました。遅くなりましたが簡単に紹介いたします。
講演者と題は以下の通りです。
堀尾武氏:元関西医大皮膚科教授「アトピー性皮膚炎のウソとホント」理解し克服するために正しい知識
古川福実氏:和歌山県立医大皮膚科教授「ステロイド外用剤のウソとホント」よりよい治療を受けるために
 堀尾氏はアトピー性皮膚炎は今日でも発症メカニズムのすべてが明らかでないことから、民間療法や一部メディアの報道によって混乱が生じるなど根深い問題があると指摘。アトピー性皮膚炎自体は、湿疹の中でもよく見られる疾患と言えるが、治療には経験をつんだ専門医の受診が必要だと話した。
 古川氏はアトピー性皮膚炎の治療、特にステロイド外用剤を用いた治療に対する情報を整理して解説。治療に王道はなく、原因・悪化因子の検索と対策とスキンケア、及び薬物療法がそれぞれ重要であると説明した上で、「ステロイド剤使用では皮膚は黒くならない」「日光の紫外線を浴びることはリラックスするという面で治療にはプラスだが、汗をかくことはマイナス」などと具体的に説明した。
 この新聞記事の題は
「アトピー治療
  ステロイドのことをよく知って
            いいひふ
    大阪皮膚科医会が11月12日講演会」
でした。
 会場の写真が載っていましたが、平日の午後であったせいか、老人の頭が多い様に見えました。実際に話された内容は分かりませんが、記事の内容はどちらかと言うと脱ステロイドをこき下ろすような表現にしないようにしている感じを受けました。
 ステロイド依存症の存在を承認しない医師は、幾らステロイドのことを説明しても外用ステロイドの最も重大な副作用を認めないのですから、「ステロイドのことをよく知って」いるとは言えないのではないでしょうか。