脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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入浴時、洗い過ぎでない基準

投稿日: 2009年6月17日   カテゴリー: その他 - (11 Comments)

石鹸を使う使わないは関係なく、入浴前の皮膚(あるいは傷)と入浴後の皮膚(あるいは傷)を比べてみて、入浴後に滲出液が増えていれば洗いすぎと判断します。洗いすぎると見た目はきれいになりますが傷はいつまでも治らないことになります。
 ・洗った後で硬いかさぶた(痂皮)が取れても滲出液が出ていなければ問題なしです。
 ・洗う前に傷の上に黄色い糊のようなものが付いている場合、これを取り去るとほぼ確実に滲出液が出ます。糊のようなものは取らないほうが賢明です。
清潔にするあるいは見た目の傷をきれいにすることを体を洗う基準にすると、傷を痛めたり治りにくくしたりすることになるので、注意する必要があります。石鹸を使用する場合は必ず良く泡立てることが必要です。泡立て器でも石鹸の粒が十分に溶けていない場合があるので石鹸を使って洗うときはタオルに石鹸をこすりつけて十分に泡だてた後で使用するのが安全でしょう。

患者から提出するアトピー性皮膚炎治療のインフォームドコンセント
 この文書は、ステロイドや免疫抑制剤を使用しないで治療していただくことをお医者様にお願いする時に、前もって印刷して医師にお見せするための原案です。実際にこれを使用される場合は、子供用であるか大人用であるかなどを選択すると共に、自分の状況にあわせて変更して使われるのがよいかと思います。また、可能な限り、簡潔に自分の病歴を付け加えるのがお医者様の負担軽減になるのではないかと思います。
 印刷はどれか(Ⅰ−1、Ⅰ−2あるいはⅡ)を選んで「インフォームドコンセントのために」から文献の最後の「———世界的に有名な皮膚科教科書」までをコピーする。
 なお、本文書は、色々なホームページ、サイト、ブログなどで自由に掲示、利用していただいて結構です。また、変更して利用していただいて結構です。
Ⅰ−1.大人版
インフォームドコンセントのために
診察していただくお医者様へステロイド不使用治療のお願い
私はこれまで(あるいは○○年の間)医師の指示に従ってステロイドやプロトピックの標準的外用治療を行ってきましたが、良くなっていると思えません。どちらかと言えば外用量を増やすことや更に強力なステロイドを外用しなければならなくなっていると思います。もうこれ以上強力なステロイド治療をしたくなくなりました。昔、多くのアトピー性皮膚炎は成人になるまでに自然に消失していたと聞いています。現在のままステロイドやプロトピック治療をしておれば自然に消失していくとは思えません。従って、ステロイドやプロトピックを使わない、あるいは少なくとも少しずつでも外用量を減らしていける治療をお願いしたいと思います。なお、ステロイドの内服薬は勿論ですが、点眼薬、点鼻薬、点耳薬、口腔外用薬、喘息用吸入薬、痔疾用外用薬に入っているステロイドは、微量ですが全身の皮膚に影響があるといわれています。これらについても可能な限り使用しないで治療をお願いいたします。民間療法は不安ですので行いたくありません。
 まことに不躾なお願いですが、よろしくお願いいたします。
文献
1.玉置昭治他、成人型アトピー性皮膚炎の脱ステロイド療法、日皮アレルギー 1993; 1: 230-234
  初めて脱ステロイドを報告した論文
2.藤澤重樹著、アトピー治療革命、永岡書店、2004年
  初めて乾燥ガビガビ療法(脱保湿)を紹介した書物
3.佐藤健二著、患者に学んだ成人型アトピー治療、脱ステロイド・脱保湿療法、つげ書房新社、2008年
  脱ステロイド・脱保湿療法を体系的に述べた書物
4.安藤直子著、アトピー性皮膚炎 患者1000人の証言、子供の未来社、2008年
  患者へのアンケート調査により患者の立場から脱ステロイドの重要性を指摘した書物
5.Kligman AM, Frosch PJ, Steroid addiction, Int J Dermatol 1979; 18: 23-31
  外用によるステロイド嗜癖(依存)は潜行性の副作用で医師の間での認知度は低いことと、外用ステロイド中止で激しい離脱症状が出現することを系統的に解説した総説論文
6.Leung DYM et al, Atopic Dermatitis, in Dermatology in General Medicine, 6th ed, McGRAW-HILL, 2003, p 1193
  昔は成人までに84%は治癒していたが、最近では成人までに20%治り65%は改善している(治らずに皮疹が残っているということ)ということを記述した世界的に有名な皮膚科教科書
Ⅰ−2.大人版、長期皮疹のなかった人用
インフォームドコンセントのために
診察していただくお医者様へステロイド不使用治療のお願い
私は幼少期に湿疹があり外用治療をしていたかもしれません。幼少期以降湿疹は問題にするほどではありませんでした。しかし、最近、皮疹が目立つようになりました。幼少期にステロイド外用をした経験があると、その多少に関わらず成人になってステロイドを外用した場合に成人型の重症アトピー性皮膚炎になることがあると聞いています。だから、ステロイドを使わずに治療していただくようお願いいたします。勿論、ステロイドを使用すれば短期で症状は軽減するでしょうが、多少時間がかかってもステロイド無しで治療していただきたく思います。なお、ステロイドの内服薬は勿論ですが、点眼薬、点鼻薬、点耳薬、口腔外用薬、喘息用吸入薬、痔疾用外用薬に入っているステロイドは、微量ですが全身の皮膚に影響があるといわれています。これらについても可能な限り使用しないで治療をお願いいたします。民間療法は不安ですので行いたくありません。
 まことに不躾なお願いですが、よろしくお願いいたします。
文献
1.玉置昭治他、成人型アトピー性皮膚炎の脱ステロイド療法、日皮アレルギー 1993; 1: 230-234
  初めて脱ステロイドを報告した論文
2.藤澤重樹著、アトピー治療革命、永岡書店、2004年
  初めて乾燥ガビガビ療法(脱保湿)を紹介した書物
3.佐藤健二著、患者に学んだ成人型アトピー治療、脱ステロイド・脱保湿療法、つげ書房新社、2008年
  脱ステロイド・脱保湿療法を体系的に述べた書物
4.安藤直子著、アトピー性皮膚炎 患者1000人の証言、子供の未来社、2008年
  患者へのアンケート調査により患者の立場から脱ステロイドの重要性を指摘した書物
5.Kligman AM, Frosch PJ, Steroid addiction, Int J Dermatol 1979; 18: 23-31
  外用によるステロイド嗜癖(依存)は潜行性の副作用で医師の間での認知度は低いことと、外用ステロイド中止で激しい離脱症状が出現することを系統的に解説した総説論文
6.Leung DYM et al, Atopic Dermatitis, in Dermatology in General Medicine, 6th ed, McGRAW-HILL, 2003, p 1193
  昔は成人までに84%は治癒していたが、最近では成人までに20%治り65%は改善している(治らずに皮疹が残っているということ)ということを記述した世界的に有名な皮膚科教科書
Ⅱ.子供版
インフォームドコンセントのために
診察していただくお医者様へステロイド不使用治療のお願い
私の子供の湿疹に対して、ステロイドやプロトピックを使用せずに治療してください。理由は、発生率は少ないかもしれませんが成人型のアトピー性皮膚炎になることを予防したいからです。ステロイド外用剤のない頃は、成人になるまでに多くの人が治っていたのに、最近では治らなくなっている人が多くなっており、この原因としてステロイド外用剤の外用が考えられるからです。プロトピックについても使用したくありません。自然にほとんどの患者が治るのに、プロトピックを使用し、免疫を抑え、発癌が起こるという危険を冒したくないからです。ステロイドやプロトピックを使用しない場合、治療日数が長くなっても上記の危険を防ぐことには代えられないと思います。なお、ステロイドの内服薬は勿論ですが、点眼薬、点鼻薬、点耳薬、口腔外用薬、喘息用吸入薬、痔疾用外用薬に入っているステロイドは、微量ですが全身の皮膚に影響があるといわれています。これらについても可能な限り使用しないで治療をお願いいたします。民間療法は不安ですので行いたくありません。
 まことに不躾なお願いですが、よろしくお願いいたします。
文献
1.玉置昭治他、成人型アトピー性皮膚炎の脱ステロイド療法、日皮アレルギー 1993; 1: 230-234
  初めて脱ステロイドを報告した論文
2.藤澤重樹著、アトピー治療革命、永岡書店、2004年
  初めて乾燥ガビガビ療法(脱保湿)を紹介した書物
3.佐藤健二著、患者に学んだ成人型アトピー治療、脱ステロイド・脱保湿療法、つげ書房新社、2008年
  脱ステロイド・脱保湿療法を体系的に述べた書物
4.安藤直子著、アトピー性皮膚炎 患者1000人の証言、子供の未来社、2008年
  患者へのアンケート調査により患者の立場から脱ステロイドの重要性を指摘した書物
5.Kligman AM, Frosch PJ, Steroid addiction, Int J Dermatol 1979; 18: 23-31
  外用によるステロイド嗜癖(依存)は潜行性の副作用で医師の間での認知度は低いことと、外用ステロイド中止で激しい離脱症状が出現することを系統的に解説した総説論文
6.Leung DYM et al, Atopic Dermatitis, in Dermatology in General Medicine, 6th ed, McGRAW-HILL, 2003, p 1193
  昔は成人までに84%は治癒していたが、最近では成人までに20%治り65%は改善している(治らずに皮疹が残っているということ)ということを記述した世界的に有名な皮膚科教科書
Ⅲ.病歴の記載内容
いつからいつまで、体のどこの部位に、どのような皮疹があったか(覚えていれば)、どのステロイドを(薄めていればどの程度薄めていたか)1日何回外用していたか。皮疹が拡大していけばどの順にどこがひどくなったか。
保湿はどのようにしていたか。上の質問に対する答えと同じように記述。
ステロイドをやめたくなった理由。
喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、じんましん、食物アレルギー、薬疹などの有無。これらについて本人および家族について。もし分かれば症状の存在した期間。

7月12日、名古屋、第5回アトピー性皮膚炎講演会

投稿日: 2009年4月24日   カテゴリー: 講演会 - (0 Comments)

第5回アトピー性皮膚炎講演会を2009年7月12日に以下の日時場所で行います。ご参加ください。
第5回アトピー性皮膚炎講演会
内容:  講演、患者による体験談、質疑応答
講演者: 佐藤健二と患者2名を予定
日時:  2009年7月12日(日曜日) 13:45−16:15 開場13:25 
場所:  愛知県青年会館 2階 第七会議室 (定員87人、先着順)、参加費無料
      愛知県名古屋市中区栄1−18−8 TEL:052-221-6001
道順:  地下鉄東山線「伏見駅」下車、7番出口を西へ300m行き、 朝日新聞社角を南へ250m
主催:  atopic (あとぴっく)
後援:  佐藤小児科 大阪府堺市中区堀上町123 ℡:072-281-0215
質問はatopic ホームページか佐藤小児科へ

ステロイドの種類

投稿日: 2009年4月14日   カテゴリー: 医学論文 - (0 Comments)

第4回アトピー性皮膚炎講演会(横浜)が2009.4.12に行われました。その時に、ステロイドの種類についてお知らせしますとお約束いたしました。以下に記しておきます。
ステロイドの種類
ステロイドが使われている薬を使用方法別に7つに分けて(内服注射用、皮膚外用、呼吸器用、眼科用、耳鼻科用、口腔用、痔疾患用)示しました。
内容は「今日の治療薬、解説と便覧、2008年、水島 裕編集、南江堂」と「ステロイド外用薬アラカルト−実践への道−、2005年、古江増隆、株式会社ミット」を参考にしました。
初めに化学名、次に商品名(複数あるときは代表的なものを示す。複数ある場合は:で名前を分けている)、次は錠・注などと必要に応じて剤形を示した。
「錠」は内服の錠剤、「注」は注射、「軟」は軟膏、「液」は液体、「坐」は坐薬などを示す。
化学名は色々な表記方法があります。例えば、商品名デルモベートは「外用剤 Ⅰ群 ストロンゲスト 最強」の一番目に出ていますが、ここでは「プロピオン酸クロベタゾール」と記されています。これは「クロベタゾールプロピオン酸エステル」と同じです。「プロピオン酸」と「クロベタゾール」の順序が逆ですが、逆順でも同じ言葉があれば同じものと考えて間違いないです。
1.内服・注射など
コルチゾン酢酸エステル、コートン、錠
ヒドロコルチゾン、コートリル、錠
ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム、水溶性ハイドロコートン、注
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム、ソル・コーテフ:サクシゾン、注
プレドニゾロン、プレドニゾロン:プレドニン、錠など
プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、水溶性プレドニン、注
メチルプレドニゾロン、メドロール、錠
メチルプレドニゾロン酢酸エステル、デポ・メドロール、注
メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、ソル・メドロール、注
トリアムシノロン、レダコート、錠
トリアムシノロンアセトニド、ケナコルト‐A、注
デキサメタゾン、デカドロン、錠
デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、オルガドロン:デカドロン、注
デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム、セルフチゾン、注
デキサメタゾンパルミチン酸エステル、リメタゾン、注
ベタメタゾン、リンデロン、錠・注など
ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤、セレスタミンクロコデミン、錠
フルドロコルチゾン酢酸エステル、フロリネフ、錠
2.皮膚外用剤
Ⅰ群 ストロンゲスト 最強
プロピオン酸クロベタゾール、デルンモベート、ダントツに強い
酢酸ジフロラゾン、ジフラール:ダイアコート
Ⅱ群 ベリーストロング 大変強力
ジプロピオン酸ベタメタゾン、リンデロン‐DP
ジフルプレドナート、マイザー
フルオシノニド、トプシム
吉草酸ジクルコルトロン、ネリゾナ:テクスメテン
アムシノニド、ビスダーム
ハルシノニド、アドコルチン
酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、アンテベート
フランカルボン酸モメタゾン、フルメタ
Ⅲ群 ストロング 強力
酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、パンデル
プロピオン酸デキサメタゾン、メザデルム
吉草酸ベタメタゾン、リンデロン−V:ベトネベート:トクダーム、トクダームはテ−プ
プロピオン酸ベクロメタゾン、プロパデルム
吉草酸デキサメタゾン、ボアラ:ザルックス
吉草酸酢酸プレドニゾロン、リドメックス
フルオシノロンアセトニド、フルコート:フルベアンコーワ、フルベアンコーワはテープ
プロピオン酸デプロドン、エクラー
Ⅳ群 ミディアム(マイルド) 中等
トリアムシノロンアセトニド、ケナコルト−A:レダコート
ピバル酸フルメタゾン、テストーゲン
酪酸ヒドロコルチゾン、ロコイド
酪酸クロベタゾン、キンダベート
プロピオン酸アルクロメタゾン、アルメタ
デキサメタゾン、オイラゾン:グリメサゾン、グリメサゾンはタール含有
Ⅴ群 ウィーク 弱い
プレドニゾロン、ビスオクリームA:プレドニゾロン
ヒドロコルチゾン、コルテス:テラコー:テラ・コートリル
フルドロキシコルチド、ドレニゾン、テープ
3.呼吸器系用
プロピオン酸ベクロメタゾン、キュバール、エアゾール
プロピオン酸フルチカゾン、フルタイド(ロタディスク・ディスカス:50・100エアー)、吸入
プロピオン酸フルチカゾン、アドエア(フルタイドとβ刺激剤のセレベントの合剤)
ブデソニド、パルミコート、タービュヘイラー(ドライパウダーの吸入)
シクレソニド、オルベスコ
4.眼科用
メタスルホ安息香酸デキサメタゾン、コンドロデキサ:サンテゾーン:ビジュアリン、液・軟
プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン:プレドニン、軟
リン酸ベタメタゾンナトリウム、リンデロン:リンデロンA、液・軟
リン酸デキサメタゾンナトリウム、オルガドロン、液
メチルプレドニゾロン、ネオメドロールEE、軟
フルオロメトロン、フルメトロン:オドメール、液
酢酸ヒドロコルチゾン、日点・HCゾロン、液
5.耳鼻科用
プレドニゾロン、コールタイジン、スプレー
プロピオン酸ベクロメタゾン、アルデシンAQネーザル液:ナイスビー液:リノコート噴霧
プロピオン酸フルチカゾン、フルナーゼ
6.口腔用
トリアムシノロンアセトニド、ケナログ軟、アフタッチ貼付錠:ワプロンP貼付フィルム:アフタシール貼付フィルム
デキサメタゾン、アフタゾロン:デキサルチン、軟
プロピオン酸ベクロメタゾン、サルコート、噴霧
酢酸ヒドロコルチゾン、ヒノポロン、軟
7.痔疾患用
ヒドロコルチゾン、プロクトセディル、坐・軟
吉草酸ジフルコルトロン、坐・軟
ヒドロコルチゾン、強力ポステリザン軟:ポステリザンF坐

酒さ様皮膚炎とステロイド依存性皮膚炎の異同

投稿日: 2009年3月21日   カテゴリー: その他 - (0 Comments)

酒さ様皮膚炎とステロイド依存性皮膚炎の異同
0.酒さの教科書的記述
  「MINOR TEXTBOOK 皮膚科学、改訂第7版、2002年、金芳堂、
  中年以降に生じ、冬季増悪傾向あり
  1)第1度(紅斑性酒皶):鼻、頬、額、眉間にびまん性発赤、毛細管拡張症、油状光沢、寒暖・飲酒で増強
  2)第2度(酒皶性痤瘡):上記の増強、毛孔性丘疹、面ぽうを生ずる。高度では首体幹に及ぶ。
  3)第3度(鼻瘤):結合組織増殖により鼻が腫瘤状に増殖し、紫紅色を呈し、毛孔開大してミカンの皮状となり、皮脂分泌が著しく、油状光沢を示す。赤鼻。ほとんどが男性で白人に多い。
  4)眼合併症:酒皶様角膜炎(疼痛・羞明・角膜潰瘍)、結膜炎、虹彩炎、強膜炎
  
1.酒皶様皮膚炎の教科書記述
1)「MINOR TEXTBOOK 皮膚科学、第8版、2006年、金芳堂、632頁」
によると、酒皶様皮膚炎(口囲皮膚炎を含む)は、顔面に小さな丘疹や膿疱が多発し、顔全体が赤くなり、カサブタやフケのようなものが付き、毛細血管が浮き出し、強い痒みや熱感が起こります。発症時期は思春期から成人期に多く、女性に多く発生します。病理組織学的には毛穴や毛穴の周囲の炎症とされています。ここに述べた皮疹は、ステロイド外用薬の長期使用による副作用としての皮膚病変です。治療のためには外用を中止する必要がありますが、症状のリバウンドがひどく、治療上の技術と患者の忍耐が必要です。
以下では、上記臨床症状の記述以外で特徴的な記述を抜書きする。
 2)最新皮膚科学体系(20巻にわたる体系的教科書)
玉置邦彦総編集による最新皮膚科学体系では3箇所で酒皶様皮膚炎が取り上げられている。丸囲み数字は巻数である。
②皮膚科治療学 皮膚科救急では10頁に記述があり、酒皶様皮膚炎はステロイド皮膚炎と同義であるような記述であり、口囲、鼻唇溝に生じたものを本症の一亜型である口囲皮膚炎としている。本症は顔面の病変に対してステロイド薬を数ヶ月から数年にわたって外用した場合に起こるとしている。治療はステロイド外用薬の中止とミノサイクリンの内服、保湿剤の外用を行うとしている。
⑤薬疹・中毒疹では204頁に記述がある。症状は第2度の酒皶に類似。顔面にステロイド薬を外用することで脂腺の機能異常が生じて起こる。ステロイド薬の長期外用で出現し、抗炎症作用が強力なほど短期間で出現する。ステロイド外用中止で潮紅が増強するため、ステロイド薬をやめられずに次第に症状は増悪する。急に中止するとステロイド離脱皮膚炎が起こることがあるが、これは中止した数日後から外用部全体が発赤・腫脹し、膿疱・痂皮などが生じるものであり、灼熱感や瘙痒が激しくなる。ステロイド外用剤の強さを漸減したり、ステロイド内服することもある。
⑰付属器・口腔粘膜の疾患では114-116頁に記述がある。酒皶様皮膚炎は、ステロイド薬を顔面に外用することにより生ずる医原性の病態、ステロイド酒皶である。ただし、発病の素因のある症例において生ずる。その素因は不明である。顔面のほてりや赤ら顔を繰り返し生ずる酒皶の素因(紅斑エピソ−ド期の酒皶)を持つ人にステロイド外用をすると、外用部のみならず顔面全体に及ぶ汎発性の酒皶様皮膚炎をきたす。鼻唇溝の紅斑などの脂漏性の素因のある人あるいは口囲の様々な皮膚炎に対しステロイド外用した場合には、外用部に依存して口囲皮膚炎の臨床像を呈する限局性のステロイド酒皶を発症する。すなわち、顔面へのステロイド外用により、酒皶素因を有するものは汎発性の酒皶様皮膚炎を生じ、口囲皮膚炎の素因を有するものは口囲皮膚炎を起す。
口囲皮膚炎は1970年代まで欧米で認められた。顔面全体に分布するびまん性の酒皶様皮膚炎はアトピー性皮膚炎の合併があるかないかで二つに分けて考えるべきである。アトピー性皮膚炎を伴わない人では顔面の接触皮膚炎などにステロイド外用を行うことによって酒皶素因のある人に生じる。白色人種では酒皶患者が多いうえ、酒皶様皮膚炎をきたすことが早くから認識されたため、顔面へのステロイド外用は控えられていた。ステロイド外用中止後にびまん性の浮腫性紅斑などの急速なリバウンド現象を生ずる。この酒皶では瘙痒がほとんどない。アトピー性皮膚炎を伴う患者では1980-90年代をピークに主にわが国においてよく見られた。この酒皶の場合、ステロイド外用により紅斑は目立たない状態となるが、外用後の時間の経過と共にステロイド薬の局所の濃度が有効限界以下になると紅斑は増強し腫脹する。
ステロイド酒皶の病理組織所見は、表皮の菲薄化、毛孔の拡大、毛細血管の拡大、毛包周囲性リンパ球浸潤、膠原繊維の断裂である。湿疹性病変は海綿状態と真皮上層のリンパ球浸潤である。
全身の湿疹が軽度で顔面の紅斑のある場合はステロイド酒皶が主である。全身に湿疹が強くあれば、顔面の紅斑には湿疹に加えてステロイド酒皶が様々な割合で混在する。
2.酒皶様皮膚炎のまとめと整理
 1)顔面の症状を対象としている
    皮膚萎縮を問題にしているものあり
    潮紅、毛細血管拡張、丘疹、膿疱は承認されている
    痒みの有無は違う意見あり
    発症時期や女性に多いことは承認
    病態は毛穴や毛穴の周囲の炎症、脂腺の機能異常などで説明されているが未決
 2)顔面へのステロイド外用が原因である
    ステロイド外用薬の長期使用による副作用であることは承認
    ステロイド離脱で激しい症状出現も承認
    治療もステロイドの中止とテトラサイクリン内服、時にステロイド内服も考慮されている
    ステロイド外用治療しているアトピー性皮膚炎での赤皮症について、酒皶とアトピー性皮膚炎とを区別して考察している論文あり。
3.問題点
 ステロイド外用による皮膚の副作用は承認されているが
 1)部位として顔面への外用のみを述べている。他の部位では起こらないのか?
 2)長期外用として生じる副作用(萎縮、潮紅、毛細血管拡張、丘疹、膿疱)と決めているが、短期で生じる副作用もある。
    皮膚萎縮は外用初期から(短期で)生じるし、潮紅は萎縮と平行して発生してよい。
    丘疹、膿疱、毛細血管拡張は長期が必要。
 3)脂腺の機能異常が考えられているので、脂腺のあるところだけが対象となるのか
    手掌足蹠を除けば顔面以外でも、脂腺系は存在する。顔への外用に限定する理由は何か?
    生じるリバウンドの症状からすれば、脂腺だけに限る必要はない。手掌足蹠でも生じると考えられる。
 アトピー性皮膚炎では顔以外にも何十年とステロイドを外用している。その場合、皮膚萎縮、毛細血管拡張は必ず見られ、丘疹、膿疱も時に見られる。顔以外でも起こっているがこれをどう捕らえるのかあるいはなぜ除外するのか。酒皶としてもいいが、酒さは顔面での皮疹がほとんどであるので、酒皶という言葉を使用するのは適切でない。離脱でリバウンドが生じるなら、ステロイド依存性皮膚症と言うように、「依存性」を出しては駄目なのか?
4.結論
 ステロイド外用による副作用を顔面に限定して酒皶様皮膚炎とするのは間違いではないが対象とする副作用が狭すぎる。依存性のある副作用として、部位を限定せず、ステロイドの使用期間を長期だけに限定せず、ステロイド依存性皮膚症とするのが正しい副作用の命名方法である。