脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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1/17、Zoom講演会の佐藤健二の話

2月 28th, 2021 | Posted by 佐藤 健二 in 講演会

アトピックの第48回アトピー性皮膚炎講演会で話したこと

 (パワーポイントに入れた言葉を少しだけ変えて掲示します)
講演の題:アトピーへの新しい免疫抑制剤開発が活発になるに当たって感じること

初診からの経過:
(アトピーの人の治療経過を振返り。事実から出発)
医:アトピーですね、これを塗ればきれいになります
患:ステロイドは怖いとインターネットでは言われてますが
医:ガイドラインの通りに使用すればアトピーはよくなります。副作用もありません。ステロイドが怖いというのは一部の医師が根拠もなく怖がらせているだけです
(この答えを聞いて患者は安心して治療し始めます)
(しばらくして)
患:外用すると直ぐに良くなります。しかし、外用を止めてしばらくするとまた湿疹が出ます。これを何回か繰り返しています。悪化するたびごとに皮疹は少しずつ拡がりました。不安になってまた来ました。
医:少し良くなったからといって外用を中断せず、もっときちんと塗り続けて下さい。
(患者は、自分が悪かったと思い毎日塗り続けます。すると今度はステロイドの効果が悪くなります。 )
患:効き目が悪くなってきました、塗れば塗るほど痒みがひどくなります、長く塗っていると掻いたときに傷がつきやすくなります、等(と訴える)
医:しつこいアトピーですね、薬を少し強くします。
(ランクの高い強いステロイドが処方されます。初めはよく効きますがしばらくするとやはり効果が落ちていきます。 )
(再び受診し経過を訴え)
患:やはりステロイドは良くないのではないですか?
(ここで3種類の医師の対応があります)
1.塗る回数を増やすか、さらに強い薬に変えるかです
2.ではステロイドではなく萎縮や毛細血管拡張のない良い薬に変えましょう(と言ってプロトピックを処方。さらにネオーラルに進む)
3.(理由の説明なしに)塗り方が悪い、言われた通りにキチンと治療していないから良くならないのだ。そんなにステロイドが嫌なら来なくていい、帰って二度と来ないでくれ
患:「言われたとおりに塗っていたのに」と悔しく思いながらも途方に暮れて他の医療機関を受診
(ドクターショッピングが始まる。引きこもりにも進む)

最近の医師の新しい発言:
(最近は医師も変ってきている)
アトピー性皮膚炎は一生治らないし、一生病院通いせなあかんねー。
どこの病院へ行っても薬は一緒やで。
ステロイド止めたいて。それには賛否両論あるけどうちはやってない。別のとこへ行って。
(このような医師の発言は治療の現状を簡単に表現している)
アトピー患者は難治化し、ガイドラインでは無力化していることを実感している発言
40年前の教科書に「大人になればほとんどの人は治る」、とある記述は知らない。 (ガイドラインや有名医師が隠蔽しているから)
有名医師の発言を無批判に受け入れ、今まで私が述べた現実と結びつけて考えていない

患者の訴えをまとめてみると:
1.ステロイドを外用していると効果が段々減る
2.外用を続けると、外用回数を増やしたり、作用の強いランクの高いステロイドを塗らなければ効かなくなる
3.良くなって外用を中止すると皮疹が再発する。再発する皮疹の面積は拡大し外用のない所にも皮疹が出現。
4.塗れば塗るほど皮膚が痒くなり傷がつき易くなる
5.ステロイドでは発疹が抑えられず免疫抑制外用剤プロトピックの助けが要るようになる
6.遂にステロイドの内服やネオーラルの内服が必要
7.最近はデュピルマブ注射やコレクチム軟膏が必要

患者の訴えは何を意味するか:
ステロイド外用の経過を見、患者の訴えを評価してみれば、「ステロイド外用によって皮膚が変化、それも悪い方に変化している人がいる」と考えるのが素直な評価。
(なぜ多くの医師はそう考えないのか?なぜ副作用と考えないのかの疑問が沸くはず)

医師が薬疹・副作用と承認し難い理由:
普通の薬疹や副作用は薬物中止で皮疹は改善する。
しかし、ステロイド外用では中止で皮疹が悪化する。
かぶれの炎症を十分抑えないで外用を中止すると悪化する。これと区別しにくい。
(ガイドラインはこれで説明し副作用と認めない。すなわち、ステロイド外用を中止すると押さえ切れていないアトピー性皮膚炎の炎症が出てくると)
ガイドラインが認めていない依存性という特殊な副作用形態を考えていない。
麻薬中毒の経過と類似している。(麻薬の使用で精神症状が改善する。それを中止すると症状が悪化する。しかし、長期間中止すると症状の酷い悪化後に改善する)
(なぜこれが起こるか?)

依存性発現の原因:
ステロイドホルモン産生は副腎皮質だけではない
皮膚でステロイドホルモンを合成している。
皮膚でも副腎皮質と同じステロイドの代謝系を有する。このため、ステロイド内服による副腎皮質機能抑制と同じことが皮膚へのステロイド外用により皮膚でのステロイドホルモン産生抑制の起こることが考えられる。
(こういうことです)
普通の皮膚ではステロイドを合成している
人工ステロイド外用で皮膚のステロイド産生能は抑制される
人工ステロイド外用中止で、外用された皮膚にある人工ステロイドが急速に代謝され消失する
皮膚でのステロイド産生能が直ぐには戻らずステロイド不足状態が出現する。このため、軽いストレスに対しても皮疹出現
従ってステロイド外用で起こった副作用は「皮膚ステロイドホルモン産生不全症」と呼ぶことができる。
(これがステロイド依存性発現の原因ですが、これが起こると更に問題が出現します)

保湿依存症の発生:
「皮膚ステロイドホルモン産生不全症」を発症すると、ほとんどの場合に追加で
皮膚に保湿依存症が起こる。
外用ステロイドを中止すると酷い離脱症状が起こり、何かで保湿しないとビラン、滲出液、亀裂、痂皮、発赤などの酷い離脱症状が発生するため、つい保湿を継続する。
この症状はステロイド離脱と同じように離脱の必要があります。だから
ステロイド離脱のためには保湿依存症からの離脱も必要です

本当に難治化、治り難くなっているか?:
(年齢別の患者数を、年を追ってどのように変化しているかを見てみます)
1975年以前は10歳未満、特に2歳未満が圧倒的に多く、年齢が上がるとともに急激に減少します。ところが、1975年以降、強力なステロイドが開発され多量に使用される頃になると青年や成人の比率が急激に増えます。洗い過ぎなどで発症率が増えることはあるでしょうが、青年や成人になっても治らなくなっている人の増加が圧倒的です。
この増加は、今までお話ししました外用ステロイドの副作用で外用ステロイドを塗り続けなければならなくなっている重傷者が増え続けていることによります。

新しい免疫抑制剤の「役割」:
ステロイドによる難治化例の増加をなんとかしたいという気持ちで新薬開発
デュピルマブやコレクチム(プロトピックやネオーラルも同じ)は、増加した難治例をなくそうとする。しかし、実際は、増やした病人に新薬を追加していることになる。すなわち、病人を増やし薬の消費を増やすことである。
病人の発生を減らすことの方が重要で、まずこれを起こすために何をすべきかを考える必要がある。
このためにはまずは非ステロイド、ステロイドを使って治療を始めないことが必要
ステロイドで難治化した人は脱ステロイド・脱保湿で治療をすることが医学的にも医療経済的にも必要。その方法は?

脱ステロイドで必要なこと(生涯):
ステロイド離脱(外用、内服、吸入、点鼻、点眼、痔薬などあり)
保湿離脱(軟膏、水、布団、包帯、晒し、痂取りなどがある)
水分制限(食事以外に約1200ml/日、夜間無。季節や運動による発汗も考慮)
食事制限無し(高蛋白、何でもバランスよく。アトピーは食物アレルギーではない)
理学療法(痛みがなくなれば散歩から速歩へ。運動で心肺機能改善、すると皮膚機能も)
規則正しい生活(起床、食事、学習仕事、就眠。昼寝て、夜起きるのはダメ)
周囲の人は「掻くな」と言わないこと。本人はわかっている。本人は爪切り励行
精神的ストレスを減らすこと。何でもしゃべれる友人作り
止痒剤、時に睡眠薬内服

保湿には色々な方法があり要注意:
軟膏やクリームを塗る
超酸性水、化粧水などを常に塗る、噴霧する
オリーブオイル、ホホバオイル、馬油を塗る
分厚いガーゼ、チュビファースト、包帯、晒しで巻く
一日中布団の中で寝ている
長くまた頻回に風呂や温泉に入る
化粧をする、日焼け止めを塗る
かさぶたを擦り取ってツルツルにする(要注意)
滲出液をぬぐい取って、傷をきれいにする(要注意)
水分摂取過多

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