児童相談所の皆様
ステロイドを使わない治療(非ステ治療)をして皮膚が悪化しているアトピー性皮膚炎の赤ちゃんを見ても、虐待と思わないでください。非ステ治療を望む親は次のことを知っているのです。現在のアトピー性皮膚炎の患者増は、本来、自然に治るアトピー性皮膚炎をステロイドで治療することによってステロイド依存性皮膚症(酒さ様皮膚炎の全身型ともいえる)を合併するようになり、アトピー性皮膚炎を治らなくすると共にステロイドから逃れられないようにしていることによって起こっていることを。
「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」には次の記載がある。①「本ガイドラインに記された医療行為に関する記載は、—、診療の現場での意思決定の際に利用することができる。臨床現場での最終的な判断は、主治医が患者の価値観や治療に対する希望も十分に反映して患者と協働して行わねばならない。」②「本診療ガイドラインは,症例毎の事情を踏まえて行われる医療行為の内容がここに記載されているものと異なることを阻むものではなく、医療者の経験を否定するものでもない。また逆に、本ガイドラインに記載されている内容が実施されないことをもって、実際の診療にあたる医師の責任を追訴する根拠に資するものでもない。本ガイドラインを医事紛争や医療訴訟の資料として用いることは、本来の目的から逸脱するものである。」
①の記述は、親が子どもの治療方法を非ステロイドでお願いしたいといったならば医療側はそれに従うことも含まれている。少なくとも一方的に非ステロイド治療を拒否することは正しくないことを表している。問題は、新しくアトピー性皮膚炎の治療を始める医師は、非ステロイド治療や脱ステロイド治療について学生時代に講義で聞かないし、ガイドラインにも記述されていないため、方法や予後について何も知らない状態で患者と向き合うことになる。例えば以下の文献を参考にガイドラインに記述があれば大変参考になるであろう。その文献は、「<新版>患者に学んだ成人型アトピー治療 難治化アトピー性皮膚炎の脱ステロイド・脱保湿療法、つげ書房新社、2015年」や「ステロイドにNo!を 赤ちゃん・子どものアトピー治療、子どもの未来社、第2版 2019年、佐藤健二 佐藤美津子」、「9割の医者が知らない正しいアトピーの治し方、永岡書店、2013年、藤澤重樹」などである。
②の記述は、標準治療をしていないことを湿疹のある赤ちゃんへの養育拒否や虐待との評価の根拠とすべきで無いことも意味している。もし赤ちゃんが幾度も医療機関を受診したにもかかわらず、標準治療以外の治療を受入れてもらえずに酷くなっているなら、批判されるべきは、標準治療でない治療を与えない雰囲気や状況を作り出した要因であり、赤ちゃんの親ではないであろう。ステロイドを使わない治療で良くなった例は数多くインターネット上で示されているので、この事実を無視した過失があるからである。
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