返信先: NHKで今朝取り上げられたアトピーの新薬について

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#3753
佐藤 健二佐藤健二
ゲスト

今年の4月30日に名古屋講演会で話をしたスライドを載せます。

# デルゴシチニブ(コレクチム)
新しい外用免疫抑制外用剤
種々のサイトカインのシグナル伝達に重要なヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬でJAKファミリーのキナーゼをすべて阻害し、免疫細胞の活性化を抑制する。

外用剤であるため、脱ステロイドに必要な脱保湿を守れないことになり、効果は余り期待できない。

# バリシチニブ(オルミエント)
バリシチニブは内服のヤヌスキナーゼ阻害薬である。
 副作用として間質性肺炎、横紋筋融解症、ミオパチー、悪性腫瘍、新血管系事象など強いものが記されている。
「ステロイド外用薬やカルシニューリン阻害外用薬等との併用によりある程度の期間(6か月を目安とする)寛解の維持が得られた場合には、これら抗炎症外用薬や外用保湿薬が適切に使用されていることを確認した上で、本剤投与の一時中止を検討すること、とされている。ただし、実際には、寛解を維持するために本剤の投与継続を要する場合も多いと考えられ、その場合は継続して投与できる。」
長期使用を初めから予測し許可している。

# バリシチニブ(オルミエント)
バリシチニブは内服のヤヌスキナーゼ阻害薬である。
 副作用として間質性肺炎、横紋筋融解症、ミオパチー、悪性腫瘍、新血管系事象など強いものが記されている。
「ステロイド外用薬やカルシニューリン阻害外用薬等との併用によりある程度の期間(6か月を目安とする)寛解の維持が得られた場合には、これら抗炎症外用薬や外用保湿薬が適切に使用されていることを確認した上で、本剤投与の一時中止を検討すること、とされている。ただし、実際には、寛解を維持するために本剤の投与継続を要する場合も多いと考えられ、その場合は継続して投与できる。」
長期使用を初めから予測し許可している。

# デュピルマブ(デュピクセント)
デュピルマブはインターロイキン-4受容体αサブユニットに結合しIL-4とIL-13を介したシグナル伝達を阻害するIgG4モノクローナル抗体である。
重篤な副作用はあまりなく(長期は不明)、結膜炎が多い。
使用制限に以下がある。
 ステロイド外用薬やプロトッピクによる「適切な治療を直近6か月以上行っている。」「本剤の投与中もステロイド外用薬等の抗炎症外用薬および保湿剤の外用は継続する」
中止についてはバリシチニブと同じ注意が記されている。
2021年のガイドラインでは、バリシチニブとデュピルマブの説明に合計4頁弱使用されている。生物学的製剤の記述(宣伝)が長い。

・生物学的製剤ではないが、過去に問題になったプロトピックについて、ガイドラインには引用されていない

# タクロリムス(プロトピック)
タクロリムスの発癌について下記の論文の引用が無い
米国医師会雑誌 JAMA Dermatol  2021 May 1;157(5):549-558.
外用カルシニューリン抑制剤(タクロリムスとピメクロニムス)の使用と発癌の関連についての系統的メタ分析
 
リンパ腫の危険性は正常人より1.86倍、ステロイド使用者より1.35倍高い。
外用カルシニューリン抑制剤(タクロリムスとピメクロニムス)の使用とリンパ腫の使用に関連あり

ステロイドで悪化したアトピー性皮膚炎患者さんをステロイドの依存から解放するための使用を目的とするなら目的としては正しいが、ステロイドは色々問題があるのでステロイドの代わりに生物学的製剤を使用しようとする動きがあります。生物学製剤で完全に治すことが出来ないデータは発売前から出ています。プロトピックで悪性リンパ腫発症が増えたのと同じようにアトピーに対する生物学的製剤は危険な要素を持った薬物です。効果のあった症例があるからということで褒めそやすことには危険が伴うと考えます。