Q1. 20歳男性について

質問者: その母親

2008年11月後半から脱保湿開始し、痒みと痛みで苦しんでいる。良くなったり悪くなったりの波はあるが寒い事も影響しているのか(3ヶ月経過)1週間位前から睡眠時が特にひどく、地獄の様だと本人も心が折れそうになっている。現在学校も休んでいる。経験者はどういった方法で乗り切ってきたか?又、少しでも緩和するいい方法は?

A1. 佐藤健二先生

通常は保湿中止後、1~1.5ヶ月でかなり楽になるはずです。3~4ヶ月経過して悪化状態という事は何らかの悪化原因(例えば、夕食後に水分を摂る等)があるので診察できちんと聞いてみないと判断できないです。

 

Q2. リバウンドについて

質問者: 成人男性

講演で「リバウンド」という言葉が出てきませんでしたが、意図的に何か意味があるのですか?

A2. 佐藤健二先生

「離脱症状」と「リバウンド」は区別しております。「離脱症状」はステロイドを止めたことによって起こる症状。「リバウンド」はアトピーそのものが悪くなる症状という意味に使っております。例えば、一旦離脱症状が良くなった後で、風邪、ヘルペス、過労等でのアトピーの悪化があれば、抵抗力の弱い皮膚で起こっているアトピーの悪化というように考えて、「リバウンド」という表現になります。

質問者補足 : 脱ステする時、担当医に3回はリバウンドが来ると言われました。ただ1回目は酷いけど、2回目は1回目よりはまし、3回目は気が付かないくらいかもしれないと言われました。それを聞いていると、乗り切るときに周りの理解と先生との信頼関係が支えになりました。

回答 : リバウンド(回数を含め)は人によってものすごく違いがある事はご理解いただきたい。

 

Q3. 妊娠、喘息について

質問者: 成人女性

(症状経過)
妊娠してアトピーが凄く悪化。出産後、ステロイド、プロトピックを少し使用し、その後脱ステ、脱保湿し7ヶ月たち一応落ち着いている。しかし、子供の頃から今まで治療しなくてもいい程度の喘息が悪化。苦しくて歩けない程の喘息発作が起こり病院に行くがステロイド使用を勧められ、脱ステ時のしんどい経験を話し1日は気管支拡張剤で治療するも症状改善せず、結局ステロイドの点滴や吸入で症状は落ち着いた。
(質問)
脱ステしている(した)人にとってステロイド使用はすごく恐怖です。お話では吸入ステロイドは止めた方がいいと言われていますが、①喘息やアレルギー性鼻炎の時にステロイドをまったく使用しないで治療している医療機関はありますか?②通院先の先生は、吸入ステロイドは患者さんが思っている程きついものではないので全然大丈夫ですとしか言われず、どのようにしていけばいいでしょうか?

A3. 佐藤健二先生

ステロイドを使用する前に、最初の症状悪化時どういった治療をしたのか、又ステロイド以外でどこまで治療できたのかという事のチェックが必要です。例えば、脱保湿時は水分制限を少ししているため喘息改善には制限解除をし、それでどこまで改善するか、又テオドール等の内服薬を服用しどこまで喘息を抑える事が出来るか見た上で、どうしても治らない場合、ステロイドを使用しないと仕方無いと思います。又、ステロイドの吸入は全身に影響無いという事はまったくの嘘で、17%は吸収され全身に影響します。従って、通常は吸入するとアトピーは一気に良くなり、止めると一気に悪くなるので出来る限り使用しないほうが良いと話はしています。

島津恒敏先生 : アトピーも喘息も細胞性免疫というアレルギーを元に何らかのアレルギーが関係していると思います。まず多くの日本人はダニアレルギーが関係しています。もう1つは冬場の石油ヒーター、ガスヒーターよる二酸化窒素の吸入(公害の様なものです)によって喘息を誘発しやすくなります。又妊娠時は体内で副腎皮質ホルモンがたくさん分泌していますが、出産後は分泌が正常に戻り「離脱症状」と同様の症状が出ます。又痛み止めや、風邪薬、添加物によっても難治性の喘息を起こす事もあります。又副鼻腔炎が関係する事もあります。いずれにしろ、ステロイドに依存しなくても大丈夫です。何が原因か、きちんと分析する事により対応できると思います。従って、安易にステロイド吸入の喘息治療をする事は良くないと思っております。

佐藤美津子先生 : 急性発作時と落ち着いている時、どの様なコントロールをしていくかに分かれると思います。大人ですと発作時はテオフィリン薬の点滴や、β刺激薬(アスプール)の持続吸入などでよいのではないかと思います。それでもだめならステロイド使用は仕方ないと思います。喘息をコントロールしていくという事は気道の炎症を抑える事、すなわち炎症を抑える作用が強いからステロイドが使用されるわけで、これはアトピーと同様一時的に抑えているだけで、治しているわけではありません。従って、他薬剤(抗炎症作用のあるキプレスの内服やインタールの吸入、テオフィリン薬の内服)等でコントロール可能な場合もありますので、個人に合った薬剤を使用すれば良いのではないかと思います。
小児の場合、生活環境で気を付けてもらっている事は、タバコは家の中では絶対に吸わない、布団は週1回干し(裏・表)掃除機で吸う、ペットは新たに飼わない、じゅうたんは剥がせるのであれば剥がす、又、運動(水泳等)で健康な体を作って行く事で対処していく様に頼んでいます。
あと、アレルギーマーチ説について(アトピー素因のある人が、アトピー→喘息→花粉症というように順番にアレルギー症状が変化していく事)
実際のところきちんと証明されておりません。喘息にならないかなどと心配される方がいらっしゃいますが、なる前から心配しても仕方無いですので、なった時に心配し、治療も色々な方法があるので、その時に色々考えればいいのではないかと言っております。

 

Q4. 離乳食の味付けについて

質問者: 成人女性(栄養士)脱ステ1年半

栄養学ではガイドラインに、味付けしない(9ヵ月までは味付けしない)か、大人の半分位までとあり、その理由は素材の味を覚えさせるためと、ナトリウムが腎機能に負担かけるからという事ですが、お話では離乳食の味付けは大人が美味しいと思うくらいにした方がいいと言われておりますが、それはすべての赤ちゃんに当てはまるのか、又はアトピー治療のため優先的にという考え方なのでしょうか?

A4. 佐藤美津子先生

まず、昔は離乳食自体作っていなかったのではないか、又大人が食べている物で赤ちゃんが食べられる物を与えていたように思います。塩分も昔の方が多かったと思います。0歳時の味覚は色々な食材を食べていく、美味しい味を覚えていく事ですごく大切だと思います。時々アトピーがあり除去食でアレルギー用ミルクと母乳しか飲んでない子供がいます。こういった子はものすごく好き嫌いが出てきます。1歳半でステロイド中止し半年以上経過しているのにアトピーが全然良くならない、ミルクしか飲んでおらず殆ど食べていない、嫌いな物も一生懸命食べるが吐き出すというように。又、味付けがあるほうがいい事はアトピー以外にもいえることです。例えば、保育所では味が付いているので食べるが、家では味が無いので食べない。よって体重が増えないというように悪影響もあります。
そういうことから、アトピーで有る・無いに関わらず普通の食事であれば大丈夫であると思います。

佐藤健二先生 : 離乳食(病院での)が食べられるようになり退院した赤ちゃんが家では全然食べなくなり、味付けを聞いてみると美味しさは病院食、レトルト、本人の料理の順(母親が食べた感想)でした。味のあるものを食べさせ体調が悪化しているわけではありません。現実的には味付けに関して特に問題が起きていないと考えていただければ良いと思います。根拠は無いですが、ガイドライン自体が偏っているのではないかと思います。

 

Q5. 掻かせる事の必要性について

質問者: 1歳6ヶ月の子を持つ方

3ヶ月前より脱ステ、脱保湿開始。掻かないように言うが、どうしても掻いてしまいます。お話では掻かせたほうがいいと言われるが、掻かせる事の必要性を教えてください。

A5. 佐藤健二先生

蚊に刺されて掻かないように言われても難しいのと同じで、子供に掻かない事を要求する事は無理です。何人も経験ありますが、24時間体制で親が手を押さえて掻かせないようにする子供さんが受診されます。そういった子供さんは、どこか恨めしくて、恨めしくて仕方ないという大変変な顔をされています。それで、ちょっとした隙に物凄く掻きます。そうすると、傷が物凄く酷くなります。普通に掻かせた方が、傷がましになります。嘘だと思い掻かせて下さいと指導し、3~4週して受診されると、良くなりましたと言われます。
掻かせて良くなります。掻かないように言う事は間違いです。

質問者 : 血が出るまで掻いて大丈夫ですか。

回答 : 掻いて血が出ない事はありえませんし、汁が出ても全然問題ありません。
見ていると非常に怖い(不安)と思われると思いますが、これできちんと良くなります。

 

Q6. プロトピック使用について

質問者: 成人女性(3歳、10ヶ月の子供あり、脱ステ、脱保湿開始3年経過 脱ステ、脱保湿前に8年間プロトピック使用)

プロトピック使用について、どのような事が怖い(問題)ですか?

A6. 佐藤健二先生

免疫を抑える事で、短期的には、感染症が問題。長期的には、発がん性(特に 悪性リンパ腫 )の問題があります。
プロトピック使用により悪性リンパ腫が増えている事は事実であり、この事を正確に動物実験で確かめないといけないのですが、確かめられず販売されました。ですから、現実は人間で発ガン性の実験行っているという事になります。
又、使用に関して、プロトピックよりステロイドの方がよく効きます。より危険なプロトピックを使用する必要はないと思います。