Q1-1 ステロイドを塗ることがアトピーの原因となりうるのですか?

質問者:30歳男性

私は3年ほど前に初めてアトピーというふうに診断されたのですけど、先生の先ほどの説明の中で「肘とかひざの裏側に湿疹とか掻いた痕があったらアトピーと判断される。判断してもいいのではないか。」と言われてましたが、私は当時胸のあたりに湿疹にがあっただけだったんですが、それで(ステロイドを)塗っているうちに段々体とか全身・顔までに(症状が)出てくるようになって、色んな薬を塗っているうちにそういうふうになったんですけども、それは果たしてはじめにアトピーであったのか?疑問に思いました。子どもの頃は両親によると全然アトピーなどは一切なかったという話で、30歳で初めてアトピーが出て、それがどうだったのか教えていただきたい。

A1-1 佐藤健二先生

ステロイドを塗っていると、それまで全然何も無かったのにアトピーの症状が出てくることがあるようです。それは理由は、(ステロイドを塗ることが)新たに(アトピーを)作るのか、元々軽いアトピーあって、それがステロイドを塗ることによって表に出てくるという事になるのかちょっとわかりませんけれども。

大阪で、もう一人玉置(たまき)先生(尼崎医療生協病院)という人が脱ステロイドをしてるのですけど、その人も言われているのは、「ステロイドを塗っていると新たにアトピーが出てくる。」というふうに言われています。だから、今こういうふうにあるのだったとしたら、ステロイドを塗った事によってアトピーが起こっているというふうに考えてもよいのかもしれません。

 

Q1-2 プロトピック使用の影響と、脱プロトピック後の脱ステロイドについて

その時、2年間ほど顔にはほとんど顔には全く出ない状態で、多少赤いのがあっただけだったんですが、ある先生のほうから「プロトピックを使ってみろ。」ということで処方しはじめて使っていて、途中から(佐藤)先生の本を読んで、やはりプロトピックを使うのはまずいだろうと思ってやめたんです。そしたら今まで赤いのが出てていただけだったのが、顔が傷がひび割れるような状態で液がでてくるような状態になったりしたんですけど、それを今はステロイドの一番弱いので抑えているような状態なんです。やはりこれはプロトピックの影響だったのか?というのを知りたいのと、プロトピックを止めてステロイドにしていれば、段階的には少しは前進しているのか?それとも、ステロイドも一気にやめたほうが良いのか?プロトピックを止めてステロイドにして、ステロイドから止めるにしたほうが良いのか?それとも、プロトピックを止めるからには全部一気に止めた方がよいのか?そこを教えてください。

A1-2 佐藤健二先生

プロトピックを止めたらプロトピックの離脱症状というのがありますよね。だからステロイドを先に塗っていてプロトピックに変えて、プロトピックを止めたらステロイドと同じように(プロトピックの)離脱症状は起こります。それが2つ目の質問の答えです。

今プロトピックを止めてステロイドに変えておられるのだったとしたら、それはいい方向だと思いますけれども、この先ステロイドを止める方向に持っていかないとだめだと思います。

 

Q1-3 脱ステロイドの病院への通院頻度について

脱ステロイドをするのにあたり、新潟には脱ステの病院がないという話を聞きましたが、もし脱ステロイドの病院に通うとしたら、月に大体何回くらいの外来が必要になってくるのでしょうか?当然その人の症状によって変わってくるとは思いますが・・・。

A1-3 佐藤健二先生

重症の場合は週に一回くらいは来てもらう事になりますが、調子が良くなったら月一回とか3ヶ月に一回とか、どっちかと言うと「あんた、まだ来るの?」というような感じの人も、時々は来られます。

 

Q2-1 脱保湿の進め方について

質問者:成人男性

1ヶ月ほど前から脱ステロイドをしているのですけれども、保湿に力を入れて、出ている場所に重点的に保湿をしている状態です。それで、保湿をやめた方が良いということでしたが、やめるのは部分的に止めるのを試してみるというのは効果としてはどうなんでしょうか?止めるのなら全部止めるのが良いのか、一部だけ試して止めてみるのは効果的にはどうなのか教えていただきたい。

A2-1 佐藤健二先生

もちろん部分的に止めてみるのを試すというのはいいと思うんですけど、今一日に何回くらい塗っていますか?

質問者 朝晩2回です。

佐藤健二先生 一回にできますか?

質問者 出来ると思います。

佐藤健二先生 もし一回にするとしたらいつ塗りますか?

質問者 朝です。

佐藤健二先生 朝ですか。まずそれをやってみてその後一日おきにするか、あるいは今あなたがやられているように、部分的により軽いところから順番に止めていくとか、ちょっとずつ止めていったらいいと思います。

 

Q2-2 手のひらにできる水疱について

ステロイドを使っているときもそうでしたが、肌の調子が良くなると手のひらに水疱のようなものが出来るのですが、それはアトピーと関係あるものでしょうか?

A2-2 佐藤健二先生

アトピー性皮膚炎に特徴的な湿疹、皮疹というのは本当はないんです。「この湿疹はアトピーですか?」と聞かれても答えられないんです。しかしそれを前提とした上で、手なんかに出てくる湿疹はアトピーの人によく起こります。だから他のところに(アトピーの症状があって、手のひらなんかに症状が)出てきたらそれはアトピーの部分症状考えてもいいと思います。

質問者:わかりました。水疱とかも特に気にしなくても良いということですね。

佐藤健二先生:そうです。手のひらというのは、他の部分と違って皮膚が物凄く分厚いんです。 だから、他のところでは水ぶくれには見えないけども、手のひらだけは皮膚が非常に分厚いから水ぶくれに見えることが多いんです。だから、他のところと基本的には病気の変化としては同じと考えていいと思います。

水島:保湿剤を塗っておられるんですよね?

質問者:はい。

水島:塗って治る人も中にはいるんですけども、塗っても良くならないから脱保湿をしようという考えなんですか?

質問者:はい。

水島:ならいいですけども、ステロイドの有無に関わらず軟膏を何十年も塗り続けていたら、普通の皮膚は軟膏を作らないですよね。それを何十年使っていたら、それを使わなかったら耐えられなくなりますよ。結局普通の保湿剤を何十年続けていたら、例えば女性だったら化粧していたのをパッとやめたら化粧水を使わなかったらカピカピになって、化粧水をつけずにはいられないような状態になるのと一緒なんで、それに皮膚が耐えているかどうか、免疫がもっているかどうかなんでしょうけども、保湿がいけなくなって脱保湿を考えているならいいんですけど、保湿が効くのに止めるというのはどうかと思ったので確認しました。保湿が効かないので、脱保湿をされるのはいいと思います。

 

Q3-1 アレルギー検査の結果、アレルギーの出る食材がある場合の離乳食について

質問者:1歳5ヶ月の患者の祖母

1歳5ヶ月になるんですが、アトピーという事で母親はなるべくステロイドを塗りたくないということで、よほどひどい時にちょっとだけ顔の辺りとかに塗っていたみたいなんですが、普段ほとんど塗らずにいます。
先ほど乳児は食べ物が大事という話があったのですが、食べ物のアレルギーがあって、卵とか小麦とか色んなものにアレルギーがあるんです。食欲はすごくあってご飯系とかたくさん食べれるんですが、アレルギーがあるので、離乳食を制限無く食べるということができないんですが、どういうふうにしたら良いでしょうか?

A3-1 佐藤健二先生

「アレルギーがある」と言われたら、その根拠は何かという事なんです。

質問者:医者に行って抗体を調べました。

佐藤健二先生:検査したから(アレルギーがあると言っている)だけでしょう。

質問者:あと実際に食べ物を、例えばうどんをちょっと食べた時に湿疹がでたり、顔がむくんだりとかします。先ほど関係ないという話だったですけど、そういうのを食べさせてもいいのかと・・・

佐藤美津子先生:血液検査だけでは判断しないほうがいいと思うんです。私のところでも最近ステロイドを塗っていたのを止めて、結構重症なアトピーの方が大分良くなってきているですけれど、この前パンを5×5cm位食べたら蕁麻疹が全身に出たということがありました。私のところに受診する前に食べて来られたから、来られた途端に蕁麻疹が出たのでびっくりした件だったんです。(蕁麻疹の原因は、来る前に食べたパンの)小麦ですよね。その後、落ち着いたらちょっと食べさせてみるというのをして、今、うどんを一センチ食べてます。蕁麻疹が出たのは3~4週間位前のことです。 蕁麻疹くらいだったら、本当に微量から試してみられたら良いですね。食べたら悪化するのは、湿疹という形ではなく、全身性の蕁麻疹で出るんです。

質問者:顔が変形したりとかしていますが・・・

佐藤美津子先生:顔だけだったら全然大丈夫。蕁麻疹は全身に出るので。顔だけ出るのは大丈夫です。

質問者:全身湿疹が出るから食べさせるのは・・・

佐藤美津子先生:湿疹でなく蕁麻疹です。

質問者:蕁麻疹ですか?

佐藤美津子先生:湿疹は食べ物のアレルギーの反応とは無関係です。接触性のかぶれとかそういうのもありますが。何回も言っているように問題なのは全身に蕁麻疹が出る。あるいはショックが起こる。というケースです。

質問者:そういうことが起こらなかったら食べさせてもいいのですか。

佐藤美津子先生:蕁麻疹くらいだったら、同じパターンで出るので。パン5×5cm位で、蕁麻疹がでていた子ですけども、3週間目くらいからうどんを1センチ食べて、それは何も出ていないです。

質問者:じゃあ色んなのを試してみるのがいいのですか?

佐藤美津子先生:その子は食べていないものは多分卵くらいはではないかと思います。他にもIgEの値が100以上という方がいらっしゃるけども、小麦と卵が100以上だった子が、ちょっとずつ食べる量を増やしていくようにというやり方で、今その子はうどんを子ども茶碗半分くらい食べてます。卵は1歳前くらいで食べさせてみようかなと思っているんですけどね。

質問者:少しずつ色んなものを試しに食べさせた方が良いのですか?

佐藤美津子先生:私は検査をしないほうが良いと言っているんです。検査をするとどうしても刷り込まれるでしょう。これがだめ、あれがだめとなってしまいます。湿疹の原因でもないし、アナフィラキシーを起こすとは限らないとなると、アレルギー検査は意味のない検査なんです。
さっきの講演で非常にアレルギー値の高い方がいらっしゃいましたよね。あの方は最初の検査をする時点で全部食べてたんですね。私のところに来た時は制限されてたんですけど、その前に全部食べてても何も起こっていないから大丈夫と言って食べてもらったんですよ。そのまま食べてて年末の検査結果がIgEが20000ありました。IgE抗体が100以上が5項目もありましたが、食べさせて何も反応が出なかったんです。湿疹もきれいになっていたし、アナフィラキシーも起こっていません。
食べてどうなるかという事が一番大切なんです。どうしても心配だったら、耳掻き一杯くらいを検査をしてもらった病院の玄関に車を止めて食べさせるということをするとか、チャレンジテストみたいなのをしてもらうとかするのも良いでしょう。
関東のほうではアレルギーを食べて治していこうというような病院もあるようです。要するにそれは制限、ショックとかが起こった方でも制限したままずっといくということは出来ないと言われているんです。何故かというと、誤食といって誤って食べてしまうという事があるからなんです。
欧米ではピーナツアレルギーの人がピーナツアレルギーで死ぬという事が多いみたいなんですが、自分がピーナツアレルギーということをわかっていても、知らないで食べてしまうんです。それを防ぐことはできないということで、今はちょっとずつから食べさせていって耐性を獲得していくというか、食べれるようになるような治療を行うようになっています。関東のほうでは何箇所かの病院で行っているところがあるみたいです。しかし、その病院はアトピーだったらステロイドを使いなさいというような病院ですけどね。
だから、症状が出るのが全身的でなものではなく、顔だけだったら食制限をしなくてもいいんじゃないかと思います。
食物アレルギーがある場合は、食べると毎回同じような症状が出るんです。もし食べて出たとしても同じような症状が出るんですよ。昼食べて症状が出ても夕方には症状は引いてしまいます。蕁麻疹なら少し食べさせてみられたらいいと思います。ショックが出ているのではないのですから。

 

Q3-2 保湿について

温泉とかを取り寄せて風呂に使っていたりしていたんですけど、先ほどの講演で、ステロイドを塗っていない人は保湿してもいいというようなことだったんですけど、ステロイドを塗っていなければ保湿とかは普通にしていても止める必要はないという事なんですか?

A3-2 佐藤健二先生

保湿を余分にしていなかったら止める必要はないということです。

 

Q4 接触性アレルギー(猫の毛)と、母乳の与え方について

質問者:5ヶ月男児の患者の祖母

孫は遠方にいて、連休に帰省してきました。顔を見たら、赤くなっていて痒がるので両手に包帯をしていました。しょっちゅう掻いていて、母乳を飲んだ時、部屋が暖かくなった時、風呂に入れた時と、1時間くらい離れたところにある実家に猫を飼っていて、実家に行くと猫の毛が散らばっているためか、家に帰った時に顔が赤くなる。という話をしていました。それが気になってこの講演を聞きに来ました。
1週間前に検査してもらったら、猫の毛、卵、大豆が原因だと言われたということです。
観察していると泣くたびに母乳を与えていました。講演では母乳も時間をあけないといけないということでしたが、母乳にたんぱく質が多いのかわかりませんが、今5ヶ月くらいなので離乳食を食べさせてもう少したんぱく質を多く摂り入れた方が良いのでしょうか?
もう一つ気になったのが、薬(ステロイド)も塗っていたようなんです。
実家に行かない訳にはいかないので、猫の毛とステロイドを止める事と、母乳を飲む回数・時間をあけるというのを考えたほうがよいでしょうか?

回答4 佐藤健二先生

猫に関しては実際にそこに行った時に出るのではなく、家に帰った時に出るというのは、時間的に合わないと思います。それと、食べてほっぺたが赤くなると言われていましたが、ほっぺただけですよね。

質問者:とりあえずほっぺただけです。

佐藤健二先生:それもあまり気にしなくていいと思います。食事とかそういうのはあまり関係ないように思いますけどね。

質問者:動物の毛というのは、その場ですぐ出ますか?

佐藤健二先生:あれは、検査で陽性だというのは、その場で触って起こってくるような蕁麻疹が起こったら初めてその検査が意味があるということなんです。だから、たいぶ時間が経ってから出てくるということだったら、ちょっと怪しい。それもここから先だけとかいうのだったら、手とか触っているのだったらすぐ起こらないといけないのですけど、そこの話があまりはっきりしないので。

質問者:そこに行ってすくに出ているのかわからないのですけど・・・

佐藤健二先生:一番簡単なのは、その猫をその場で触ってみるのがいいです。それで出るかどうか?

質問者:小学校1年になる男児がアトピーで、小学校に入った頃治ってきたのですが、下の子が出たもので気になってきました。

佐藤健二先生:もう少し症状的に整理してもらうほうがいいですね。

佐藤美津子先生:大豆で出た方っていないんですよ。食べてみられたら?ちょっとだけ食べさせてみて。一日中母乳を与えている状態になると、母乳が出なくなるんですね。そして赤ちゃんの体重が減るんですね。浸出液が出たりして、電解質のバランスが崩れ、低蛋白になります。多分今良くなっているという状態はステロイドを使っていると思うんですね。ステロイドを塗らない、あるいは塗るのをやめた時に母乳ばかりしょっちゅう飲ましていると、低蛋白になり電解質のバランスが狂ってしまって、入院しないといけない状態になるんです。母乳は最低3時間はあけたほうがいいかなと思います。食べている姿を赤ちゃんが見ているようだったら、離乳食を始める時期かなとは言っているんですけどね。

 

Q5-1 アレルギー検査で陽性の食材を食べさせた時に、蕁麻疹が起こった場合の対処方法について

質問者:女性(脱ステ9ヶ月)、5歳と8歳の子供あり

5歳と8歳の子どもがアレルギー検査でごまと卵が食べれないのですが、今日の講演を聞いて食べさせてみようかと思ったんですけど、もし食べた時に蕁麻疹とか起こった場合はどのようにしたら良いでしょうか?

A5-1 佐藤健二先生

初めて食べる場合は、検査してもらった病院の前で食べたらいいんですけどね。おそらく何もあまり起こらないと思います。

質問者:もし出た時は、何も薬など使わずそのままにしておいたら良いのですか?

佐藤健二先生:その時は、抗ヒスタミン剤を飲むか、あるいは点滴とかそういうことをしないといけない思います。

質問者:出た場合は一応受診をした方が良いでしょうか。

佐藤健二先生:受診はした方が良いでしょうね。

佐藤美津子先生:蕁麻疹くらいだったら何時間か経ったら引くんですよ。だから、家で顔色が悪いとか意識がおかしいとかいうのだったら受診が必要でしょうけど、蕁麻疹だったら何時間か経ったら引くのです。

佐藤健二先生:一応、蕁麻疹であるということを皮膚科の医者が認めた方が良いんです。蕁麻疹が出ているということ。はっきり湿疹と蕁麻疹の区別がついていないんです。だから「これは蕁麻疹だ。」「これは湿疹だ。」ということがわかった方が良いのです。そのためにはやっぱり診てもらわないとだめなんです。

佐藤美津子先生:そうかもしないですね。

 

Q5-2 あせもの対処の仕方について

これからの季節、夏あせもがひどいんですけど、今は脱ステして薬は塗っていなんですけど、昔はあせもにもステロイドを塗っていました。アトピーなのかあせもなのかかわからない状態が続いて、あせもの場合には何も塗らないで、そのまま放置するかたちで良いのでしょうか?

A5-2 佐藤健二先生

汗をかいた時は、ゴシゴシこするのではなくて、押さえてふき取るくらいの程度にしておいた方が良いでしょう。それと暑さ対策。

質問者:広がっていっても気にしないでいるのが良いのですか?

佐藤健二先生:あせもでも、赤くなっているもので細菌感染が起こっているのだったとしたら、抗生物質を飲まないとだめですけど、そうでなかったらしばらくゆっくり待っていると、それは治まってくるものなのです。痒みがあるならば、痒み止めの薬を飲んで、それで少し我慢するのが良いでしょう。

佐藤美津子先生:あせもがめちゃくちゃひどかった患者さんが2人ほどいました。1人はエアコンを全然使っていなかった方なんですね。もう1人お子さんの方もそうだったんですけど、側に川があるので涼しいだろうということでエアコンをつけなかったんです。1人は秋になったら治ったんですが、もう1人の川の側に住んでいる人は、あまりに暑いのでエアコンをつけたら治ったと言っていました。

 

Q5-3 掻いても治っていくのですか?

私自身も今脱ステ9ヶ月目なんですが、今まで症状が出たことがない場所にも湿疹炎症が出てきていて、これもこの先アトピーとして残ってしまうのか心配です。明らかに掻いてしまってなかなか改善していかないですけど、掻いても改善していくものなのか教えて下さい。

A5-3 佐藤健二先生

少なくとも私がさっき講演で言ったようなことをきっちりやっていたら、掻いていても良くなっていきます。それをちゃんと出来ているかどうかが問題なんです。入院してもらって診てみると、やっていたと言っていた事をやっていなかったり、やってはいけないという事をやっていたりして、なかなか良くならないという事は色々あるみたいです。掻いていても良くなるかどうかと言われたら、ちゃんとしたことをしていたら必ず良くなりますけども、それをしているかどうかの保障は私はすることはできません。あなたがどういうことをしているか?ということですから。そこのところを、先ほどの講演で話をしたことや、本に書いてあるようなことをきっちりやっていったら絶対に良くなります。

 

Q6-1 アトピーが良くなって来てサカサしてきて痒い時、掻かずにいる方法について

質問者:患者の家族

アトピーが良くなってきて、皮膚がカサカサしてきますよね。グジグジが治って。その時に皮膚がカサカサしてくると痒いですよね。その痒い時は、本人はつらいと思うんですけど、掻かないでいられないのはどういう風にしたらいいのでしょうか?

A6-1 佐藤健二先生

掻けばいいんです。

質問者:そしたらまた血が出てかさぶたになって・・・

佐藤健二先生:それを繰り返しながら良くなっていくんです。それとね、最初はジクジクしている状態で赤くて、掻いて悪くなった状態で、良くなってくると、良くなってくるからカサカサになるんです。だからカサカサというのは悪いものではないんです。それを通過しないと良くならない。その時、カサカサがあってかさぶたなんかが取れるとすると、痒みは余計強くなってきます。それを怖がっていたら絶対に良くなりません。掻いていても、それでさっきから言っているやり方をしていたら、必ず良くなります。

質問者:でも痒い時はつらいですよね。

佐藤健二先生:掻くなと言わないで掻かせてください。そういう時は。それでも絶対良くなりますから。それを掻かさないから、逆にこちらが見ていない時に思いっきり短時間で掻くんですよ。だから、余計傷が強くなるんですよ。

質問者:でも中まで痒いです。皮膚だけではなく、奥ほうまで痒いそうです。

佐藤健二先生:それでもかまいません。掻いていても絶対良くなります。それを怖がっているから返っておかしくなるんです。

質問者:それでカサカサに治って来たときに、カサカサだから脂肪分もないだろうと思うんですが、保湿剤とかそういうのはやっぱり塗らない方が良いのですか?

佐藤健二先生:保湿剤を塗るということをするから治らないということなんです。勿論ステロイドを止めて保湿をしていても、赤みがどんどんどんどん良くなっていって痒みが減っていく人は、1割はくらいはいるんです。しかし、その1割に入っているかどうかは、ステロイドを止めた時に、保湿をしている場合に赤みが残るかどうかなんです。赤みが残っているのだったとすると、それは保湿を止めないと良くなりません。

質問者:ブツブツあせものようなものが残っているようですが・・・

佐藤健二先生:そういうのが残っているのだったら、やっぱり保湿を止めないと良くならないと思います。その時は絶対痒くなります。その痒みを怖がって保湿していたら、その状態がずっと続くということになります。

質問者:その痒い時に、先ほど「痒み止めを飲まれたら良い」と言われていましたが、痒み止めを飲むとアレルギーなんかの場合もそうですが、眠気がきたりしますよね。だから、昼仕事に行く場合に朝飲んでいたら眠くなったりすると悪いので、どういう飲み方をしたら良いのでしょうか?

佐藤健二先生:眠気が出ない痒み止めというのは2~3種類あるんですよ。それは、お医者さんと相談してもらったらよいです。

水島:本人が一番掻いたらいけないと思っていますから気にしなくても。他人が思う以上に掻いた自分が一番後悔します。掻いた後に。それをわかっているんです。掻いたらいけないと。でも痒いのは、痛いのは我慢できますけど、痛み止めで。痒いのが我慢できる薬はないんです。まだ開発されていない。その薬が開発されたら、多分アトピーというのは治るのではないかと思います。だからみんな掻きながら治していくしかないんです。自分で10回掻いていたのを9回8回にしていくしかないんです。もう、止められるとそれこそ親の仇のように掻いてしまうと思います。逆に掻いてしまうんです。「勉強しろしろ」と言われたら逆に勉強しないのと同じように「掻くのをやめろ。やめろ。」と言われたら逆に掻いてしまいます。だから何も言わないことです。掻いていても知らんふりしていたらいいんです。それしかないです。特に小さい子どもの場合、「また掻いている!」と掻いている子どもをきつい顔で見たら、余計に子どもはそれが精神的につらくなって余計掻きますから、気にしないことです。

 

Q6-2 掻いた時できた傷の手当てについて

痒いから掻きますね。掻くと血が出ますね。そしてかさぶたになりますけど、その前に掻いた時に血が出ますよね。そしたらそこに殺菌剤か何かを塗ったらいいのでしょうか?

A6-2 佐藤健二先生

最近は傷に対して消毒薬は付けない方がいいということになっているんです。だからその場合はガーゼを当ててそれを固まらせてしまうんです。

質問者:くっつきますよね。

佐藤健二先生:くっつけるんです。ガーゼをくっつけてカバーをしてかさぶたの代わりにするんです。そうするとはじめてかさぶたの下にいい皮が出来る条件ができるんです。そのガーゼはお風呂に入っても取らない。取って入るのではなくて、ガーゼをつけたまま風呂の中に入って、取れなかったらそのまま出てくるんです。そしたらはじめて何日間かかけて下にいい皮が出来るんです。
そしてもう一つ、「血が出る」と言われたでしょう。それはある意味良くなっている証拠なんです。血が出る前は、血が出ずに浸出液、黄色い汁しか出ないんです。それ(黄色い汁)だけしか出ないのが血が出るようになってくると、それは良くなったという証拠なんです。

質問者:黄色い液の後に、透明な液が出ますよね。

佐藤健二先生:透明?不透明?

質問者:透明です。それが傷を治すんでしょうか?

佐藤健二先生:それはそうです。上にぬるっとしたやつが固まってかさぶたになって、その下を保護するようになるんです。だからそれを無理に取ったらだめなんです。

水島:ガーゼは1枚にしてくださいね。

質問者:重ねないということですか?

水島:重ねない。皮膚の代わりですから、薄いほど乾燥させる意味合いがありますから、分厚くすると保湿になるんです。当てるガーゼは薄い1枚だけで、洗濯してまた使うということです。皮膚の代わりですから、皮膚はそんなに分厚くないですから。保湿になると軟膏を塗っているのと同じになりますから、また治りが遅くなります。

質問者:ガーゼ以外のティッシュとかを当てるのはだめですか?

水島:ティッシュはだめです。

佐藤健二先生:ティッシュペーパーは、色んな科学薬品が入っているのでつけると傷が悪くなるんです。だから絶対だめです。ガーゼも滅菌したものの方が安全と思うでしょう?これはいけないんです。滅菌ガーゼも必ず家で水道水でいいから洗って、乾かして柔らかく揉んだものを当てる。

質問者:新しいのは糊が付いているから?

佐藤健二先生:それ(糊がついているようなものは)は当然だめです。

 

Q7-1 妊娠中に食べたらいけないというような物はありますか?

質問者:夫がアトピー、妊娠中の女性

私自身はアトピーはないんですが、この前健康食品販売の人から、「今時の子どもはほとんどアトピーが出るから、お母さんは砂糖を絶対摂らないでください。」と言われたんですけど、講演では母親は食事制限をしなくてもいいということでしたが、砂糖とか牛乳ですとかは、私が飲んでも大丈夫なんでしょうか?

A7-1 佐藤健二先生

全然問題ないです。

質問者:じゃあケーキも大丈夫ですか?

佐藤健二先生:問題ないです。

質問者:ドーナツは?

佐藤健二先生:問題ないです。ただし、食べ過ぎて肥えないでください。

 

A7-2 離乳食の固さについて

はじめての子どもで、私の母も主人の母も離乳食を作っていたと思うんですけど、固めの離乳食というのは自分達で作っていかないといけないですけど、どれくらい固めの離乳食の方がいいんでしょうか?大人が噛んでどれくらいとかいう目安がありますか?

A7-2 佐藤健二先生

(詳しい事は後で説明があると思いますので)前座で言いますけど、最初から固いのは無理です。

質問者:想像ではお粥みたいな感じなのかな?と思うんですけど。それよりもちょっと固めなのかな?とか思ったりして。

佐藤美津子先生:6ヶ月で普通のご飯を食べている子もいるんです。だからその子その子の状況に合わせてあげないとだめなんですよね。お米でも、ご飯にしたらこうだけど(米の量 多い)、お粥にしたらこうです(米の量 少ない)。要するに柔らかい食事というのは水分量が多くなるんですね。カロリーを摂ろうと思うと固いものの方が摂れるんです。そういう意味で、できるだけ固く固くしてねとは言っているんだけど、それは赤ちゃんにもよります。今のお母さん達は、離乳食の本とかを読んで、最初のあげるのは10倍粥とか水の中にお米が浮いているようなお粥なんですね。ですからそういうものから始めるのではなくて、自分達が食べているようなものをちょっと噛み砕いてあげるとか、そんな形であげていったらいいかなとお願いしています。
昔はあなたがどういう離乳食をもらったか?というのはご自分のお母様に聞かれたらいいと思うんだけど、おそらく自分達が食べているものをつぶしてあげたりとか、固いものはお母さんが噛み砕いてそれをあなたにあげたりとか、そういう風にしているはずなんです。それで十分なんですよ。新しいものはとにかくひとさじから。反応が出ないかどうかを確認しながらあげていく。血液検査をすると、先ほど何人かでお話されたように、食べさせてあげる事ができなくなってしまうんです。怖くって。スライドを見ていただいたように、アレルギーのデータが非常に高い場合でも、食べても何もない方がたくさんいらっしゃるんですね。だから、ひとさじからあげて段々増やしていくという形であげられたらいいと思うんです。
医者というのは、色んな心配をさせるのが非常に上手な人種でしてね、「これ食べたらだめ。あれ食べたらだめ。」って言うんですけど、バランス良く食べられたらいいと思うんです。ケーキでも何でもバランスよく食べられたらいいと思います。 もしお子さんがアトピーだったとしても、あせらない。あせると一番悪いんですよ。ご両親のどちらかがアトピーだとね、自分のせいでアトピーになってしまったと思うんですね。それが一番悪いんです。あせると色んなことをしてしまいますから。ステロイドは絶対塗らないということが大切です。

質問者:どろどろという感じでたまごクラブとかに載っているような「なんだこの液体は!?」というようなお粥じゃなくても良いということですよね。

佐藤美津子先生:食べてくれたら全粥からあげていってもいいんですよ。

 

Q7-3 赤ちゃんの風呂あがりの保湿について

先ほどの質問で、カサカサというのは別に悪くないということだったんですが、母親学級とかで、お風呂あがりはベビーローションを塗ってあげましょうと言われたんですけど、それは塗っても大丈夫ですか?

A7-3 佐藤健二先生

特に無理に塗らなくてもいいと思いますよ。ただ唯一塗ってもいい場合というのは、非常にカサカサで痒がっていて、ローションをちょろちょろっと塗って痒みが止まってしまったら、しばらくは塗っていてもいいですけど、ずっと塗らないといけないという意味ではないです。人間の皮膚というのは元々直接大気に接しているという状態で普通に生活するわけです。そこに何らかの化学物質がずっと持続的に付いているということになると、皮膚がそれに対して反応してくるんです。この後に変な皮膚になります。現にそういう風なことをしてきた人がいます。お父さんがアトピーで、自分の子どもは絶対にアトピーにしたくないということで、産まれた日から毎日毎日ずっと塗ってたんです。それは3~4ヶ月。皮膚がおかしかったです。それを塗るのをやめたら、それはステロイドではないですけどね、塗るのをやめたら皮膚が変わってきました。普通の皮膚になってきました。だから、そういうローションとかそんなのだけでも塗っていると、皮膚は変な格好になるということです。だからローションとか無理に塗らなくてもいいということです。

質問者:保湿は赤ちゃんの時からする必要はないということですね。

佐藤健二先生:する必要はないです。

水島:「近畿中央病院・阪南中央病院 アトピー患者の交流の輪を広げよう!!」という掲示板に投稿されていたこともあり、佐藤先生にも確認したことですけど、生まれた子どもはたいがい最初はアトピーではない。うちの娘もそうでしたけど。掃除をし過ぎるとか、ダニとかを気にして掃除をし過ぎたりしている家の子どもの方がアトピーになりやすいというのを、どこかの先生が論文に書いていましたという投稿がありました。それだけ免疫が、きれいな所で育つから逆にアトピーですよね。逆に掃除しなくてきたなくしている方が免疫がついてアトピーになりにくい。

佐藤健二先生:要するに、あんまりきれいにし過ぎたらいけないということなんです。それは、赤ちゃんが自分で出す皮膚の脂を取ってしまっているということなんです。それは絶対良くないです。

質問者:小さいうちに動物園に連れて行けとテレビでやっていたんですけど、それも同じようなものですか?

佐藤健二先生:それは皮膚の問題というよりかは・・・

水島:産まれた家に猫がいれば、その子はアトピーにならないという論文が・・・

佐藤健二先生:あるんですけどね。そういうのを言っているんですけどね、別に、毎日毎日動物園に行かなくてもいいでしょう。

 

Q8-1 アトピーと仕事の両立と、顔の赤みや黒みとストレスの関係について

質問者:20代半ばの患者をもつ母

子どもの頃にアトピーで小学校1年くらいまでステロイドを塗っていたんですけど、それ以来ずっと塗らないできています。私も過剰な反応をした母親の1人なんですけれども、学校時代、高校くらいまでは顔には出なかったので、学校には行けました。大学で外に出まして、私の過干渉がなくなったのが良かったのだと思うのですけど、社会に出る前の面接などのストレス。そしてその時に一番体調を崩して戻ってきたのですけど、その時出すのが良いのかなと思って。小学校1年頃までしか塗っていないのに、ステロイドが残っているものなのかと疑心暗鬼というか、調子が良かったり悪かったりを繰り返していたんですね。卒業前の1月くらいに、ストレスだと思いますけどひどくて戻ってきて、いいと思ったのが温泉治療だったのですね。暖めて、毒素を外に出した方がいいのか。そして剥落する皮膚も落としたほうがいいのか。ちょっと良かったのかなと思ったのですけど、そして東京に戻っていきまして、1年間何とか仕事を続けられましたけれども、「何度辞めようかと思った。」と言ってました。そして、去年の10月くらいに戻ってきた時、最高にストレスがひどくて元々透明感のない肌でしたけど、顔の黒ずみがすごかったんです。それはストレスで黒ずみなどもぐっと増えるものでしょうか?
そして乗り切って、去年よりもストレスはどうか?と言えば、先ほどのこの方の「仕事を続けながらもがんばるべきだ。」と言われましたが、私も「がんばれ」とは言っていないんですけど、「去年よりはどう?」と聞けば、「去年よりはまし」とは言いつつも、3月にご褒美あげたら、「私に仕事を辞めるなという意味ね?」なんて言われたんですけど、さっきのあの方の言われたように、叱咤激励はしないまでも、仕事を続けていった方がよろしいでしょうか?

A8-1 佐藤健二先生

そう思いますけど、水島どうですか?

水島:それは、その方がよいと思います。

質問者:ストレスが高くなったときに、赤み黒みも出ますか?

佐藤健二先生:おそらく、痒くて掻いているんだと思うんです。もしストレスだけだったとしたら、それが原因で色が黒くなるんだったら、全身が黒くならないと説明がつきにくいですね。

質問者:元々透明感のない肌で、首から下しか子どもの頃にステロイドを塗っていないんだけれども。

佐藤健二先生:やっぱり掻いているのと違うのかなと思うんですけどね。黒くなるのは。そこのところは経過を実際に見てみないと正確な事は言うことが出来ません。

 

Q8-2 アトピーは遺伝しますか?

遺伝はするんですね。

A8-2 佐藤健二先生

アトピー性皮膚炎ですか?

質問者:遺伝はしない?

佐藤健二先生:遺伝性疾患であることは間違いないです。ただ、アトピー性皮膚炎の人が、必ず子どもさんにアトピー性皮膚炎が出るかというと必ずしもそうではない。今までの話では、アトピー素因というのだけが遺伝するということです。素因というのは、蕁麻疹が出るとか、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、喘息、アトピーも入りますけれども、IGEが高いとか、そういうののどれかが出る可能性をもっているということです。

 

Q8-3 アトピーと化粧について

仕事をもっておりまして、仕事の日には化粧をするという意識でおりますけども、みなさんはどういう風にして女性の方は乗り切るか、先生にご相談しているんでしょうか?

A8-3 佐藤健二先生

化粧の問題ですね?

佐藤美津子先生:東京にアトピーフリーコムという患者団体があるんですね。一昨年にそこの討論会に行きました。「アトピーと仕事の両立」ということがその時のテーマだったんですけどね、そこに女性の方が2人おられて、お化粧の事がやっぱり問題になったんですよ。そしたら「眉と口紅だけ」と言っておられました。

質問者:黒ずみもあるのに赤みもあるという症状(なのに眉と口紅だけですか?)

佐藤美津子先生:お化粧も保湿になるということだから(眉と口紅だけということだと思うんですけどね)。

 

Q8-4 阪南中央病院への通院について

奈良におりますので、先生のところにも近いと思います。土日は勿論お休みですよね。

A8-4 佐藤美津子先生

奈良でしたら、大人の方は松原市の阪南中央病院の方に行かれてください。外来は火曜と木曜の午前中になっています。詳しくはインターネットで調べていただいたらよいと思います。

質問者:初診で行っても診ていただけますか?診察は一日がかりという感じになるんでしょうか?

佐藤健二先生:最近は外来の受付時間は12時までとなっているんですが、実際は午後4時頃までかかっています。時間がかかるのは覚悟して来てもらったほうが良いと思います。

質問者:はい。ありがとうございました。

水島:でも年々楽になっているとおっしゃてましたよね。

質問者:就職1年目ということでしたので。私も過保護に育ててしまったことと、うんと汗をかくと体調が悪いので、そういうのをあまりしないでプールにも入らなくていいように、そういう感じで来てしまったんですよね。

水島:運動はしたほうがいいですよね。

質問者:学生時代は太極拳を本人がやっていたんですよね。汗がすごく出るって。比べてみたらそのときの方が体調が良かったのかなと思います。

水島:仕事をしていたら、土日のほうがかえって悪くなるということがあるんです。休んでいるときのほうが。会社に行って、規則正しく起きて、揉まれて、人目を気にしてがんばって働いている時の方が調子が良くて、やっと土日だと言ってゆっくり寝たら何か体調が悪いな。というような感じです。だから、毎日会社があったほうがいいんでしょうけど、それもしんどいです
よね。土日もがんばって起きて散歩してたりして治療をがんばっている人もいます。私はそんな優等生ではないのでしてないですけど。

質問者:なぜ先生の所に、と思ったのは本人が今は保湿で乗り切っているようだったのでお話を聞きに来ました。

 

Q9 小児の場合、脱ステロイド後、放っておくとアトピーは治っていくものですか?

質問者:5歳女児の患者を持つ母

娘5歳がアトピーです。去年からステロイドをやめて、リバウンドというのは特にないんですけど、アトピー自体は良くならないですけど、5歳の場合だと治すと言うより治るのを待つという感じなんですか?

A9 佐藤健二先生

そうだと思いますけどね。

質問者:年々良くなっていくんですかね?

佐藤健二先生:普通はそうです。

質問者:ならない場合もありますか?ステロイドを使っていなくて。

佐藤健二先生:使っていなくて何をしているか?ということですよね。あるいは何をしていなか?

質問者:子どもの場合だとワセリンとかを使えというのかさっきの説明だったんですけど、やっぱり子どもの場合でも、傷があっても脱保湿をしたほうがいいですか?

佐藤健二先生:ゆっくりとやっていったほうがやっぱり良くなるみたいですね。本人が子どもの場合はよく痛がるんですよね。傷がある関節のところ。そうなるとそのガーゼに何か塗ってガーゼを巻いて包帯をしてあげるとかそういうことをしないと我慢できない場合が多いんですね。大人に比べると。その子の我慢を出来る程度を見ながら、やはりじわ~っと保湿をやめていくという風にやる方が、傷が付きにくくなっていくようになりますよ。

質問者:さっき、乳児のアトピーで皮膚を治すにはカロリーが必要ということだったんですけど、うちの娘は去年4歳だったんですけど、体重はほとんど増えていないです。身長は少し伸びているんですけど、そういうのは関係あるんでしょうか?

佐藤美津子先生:やっぱり幼児でもカロリーは必要なんじゃないかなと思うんですけど。なかなか治りにくい方って私のところでも、ステロイドを塗っていない人、塗ってこられた人でも治りにくい方がいらっしゃって、周りが必死になってしまうんですね。周りが必死になると、必死さが子どもに伝わってしまって、アトピーがあることがお母さんやお父さんを苦しめているというような感じで子どもに捉えられてしまうと、なかなか治りにくいんですよ。非常にストレスになるんですね。一番お願いしているのは、普通に暮らしてねということです。そんなに必死にならなくていいから。普通にしてください。アトピーの子どもを持つ両親は普通じゃない子育てになってしまっている。必死になっているから。それは本当に治りにくい原因になってます。早く良くなってほしいという気持ちはわかるんですけど。

質問者:放ったらかしじゃないけど・・・

佐藤美津子先生:放ったらかしでいいんです。

質問者:放ったらかしでいい?

佐藤美津子先生:そう、放ったらかし。

質問者:そして徐々に皮膚が強くなっていくという感じですか?

佐藤美津子先生:そう。毎日毎日湿疹がどうなっているか見たくなるでしょう?もしあなたがアトピーだったら、見られたら嫌でしょう?子どもも嫌なんです。普通じゃない育て方になってしまう方が多いんですよ。それはだめかなと言っているんです。

質問者:私も子どもが保育園から帰ってきたらガーゼをしているのを外して見てるんですけど、そういうのもストレスになるのでやめたほうがいいですか?

佐藤美津子先生:ガーゼを外したら痛いでしょう?外す時に。痛がりません?
お風呂とかに入る時にガーゼが自然にはがれたら外したらいいんです。何も帰ってきた時にどうかな?と、せっかく皮膚のかわりにひっついているのにはがしてしまうと、また悪くなりますよね。やっぱり、見られるのがすごくね、子どもも多分嫌だと思うんです。

質問者:ガーゼが皮膚のかわりっていうことだったんですけど、キズパワーパッドというのがありますよね。市販の。

佐藤健二先生:あれはどちらかというと、良くないですね。しばしば、かぶれを起こしています。水道水で洗うガーゼが一番安全みたいですね。

質問者:一回洗ってそれを皮膚のかわりにするということですね。

佐藤健二先生:それを何回も洗って使う。もったいないから。

質問者:わかりました。

佐藤健二先生:それから、さっきの「見られたら嫌」ということでひとつ面白い話があって、入院していた3歳の子どもなんですけどね、私が診察にいくでしょう。見ても何にも言わないですけども、お母さんが見ようとしたら「お母さんは見たらだめ!」と言ったんです。「先生はいい」って。これはすごいなと思いましたよ。やっぱりよく表現しているなと。だから、湿疹がない子どもとして普通に育てあげるというのがいいのかなと思いました。

質問者:あと、顔に湿疹が出てて、抗真菌剤を塗っているんですけど、それもやっぱりそのまま放置していたほうがいいですか?

佐藤健二先生:抗真菌剤で何を塗っているんですか?

質問者:ハクセリンというものです。

佐藤健二先生:それはおそらく水虫の薬だと思います。普通ほっぺたにはそういうのは出来ません。それで悪くなっているかもしれない。

質問者:それであれば何も塗らないほうがいいですか。

佐藤健二先生:いいと思いますね。

 

Q10 黄色い汁は移りますか?

質問者:Q5の質問者

掻いた時に黄色い汁が出ると思うんですけど、あれって移りますか?何回も手洗いにいっちゃったりするんですけど。

回答10 佐藤健二先生

それをするから逆に悪くなる。

質問者:そのまま放置で垂れ流れても?

佐藤健二先生:だからガーゼを当てるんです。

質問者:移ったりしないですか?

佐藤健二先生:そこにばい菌とかが付いても、それほど細菌感染が起こることは無いですよ。だからあまり気にしないで。必死になって洗うほうがどんどん悪くなる方へいくみたいですよ。