アトピー性皮膚炎から見た現行「食物アレルギー」論批判
阪南中央病院 皮膚科 佐藤健二
厚生労働科学研究班(主任研究者:海老澤 元宏氏)による「食物アレルギーの診療の手引き2008」(http://www.allergy.go.jp/allergy/guideline/05/05.pdf)の批判を中心として記述。
1.検討委員会メンバーから起こる問題点
横浜市立大学医学部皮膚科教授 池澤 善郎氏は、アトピー性皮膚炎はIgEアレルギーで起こっていると考えているまじめな医師であるが、間違った考えの持ち主である。
九州大学医学部皮膚科教授 古江 増隆氏は、この診療の手引きを作成後、ある会で「IgEアレルギーの症状として湿疹を入れることに抵抗したが、妥協の産物として入れざるを得なかった」旨の発言をしており、アレルギーであるかどうかの判断基準とアレルギー症状の発現率についてこの手引きが正確さを持ち合わせていないことを示す重要な発言をしている。学問内容では妥協はすべきでなかった。
2.アレルギー総論の間違い
食物アレルギー総論で食物アレルギーの定義を「原因食物を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状(皮膚、粘膜、消化器、呼吸器、アナフィラキシーなど)が惹起される現象」とし、食中毒、毒性食物による反応、食物不耐症(仮性アレルゲン、酵素異常症など)は含まないとしている。
#臨床型分類
新生児消化器症状、食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎、即時型症状(じんましん、アナフィラキシーなど)、そして特殊型として食物依存性運動誘発アナフィラキシーと口腔アレルギー症候群が挙げられている。
「新生児消化器症状」の起こる機序として「主にIgE非依存型」とある。では何アレルギーなのか。どのような免疫学的機序なのかはその後何処を見ても記述がない。
「食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎」(発症年齢は乳児期)の発生機序は「主にIgE依存型」とある。そして注に「慢性の下痢などの消化器症状、低蛋白血症を合併する例もある。全ての乳児アトピー性皮膚炎に食物が関与しているわけではない」と追加されている。この注の「全ての———が関与しているわけではない」の表現は厳密には0%<関与率<100%であろうが、日本語のニュアンスとすれば「ほとんど」あるいは「かなりの率の」乳児アトピー性皮膚炎に食物が関与していると受け取られるのが普通である。となると、この表からは「乳児期のアトピー性皮膚炎のほとんどは食物アレルギーが関与している」と受け取られる。これでは一般の医師は、アレルギー原因物質の除去に必死になるのは当然であり、患者も必死になって除去食を食べるようにならざるをえない。臨床の場での患者の困惑状況を考えると、古江氏はけっして妥協すべきではなかった。食物アレルギーは即時型症状であり、即時型反応は症状が強いため直ぐに何が原因か分かって食べなくなるため、アトピー性皮膚炎が食物アレルギーで悪化することはほとんどない。だから、食物アレルギーはアトピー性皮膚炎に関与しないのである。関与していると考える間違いは症状に湿疹を入れたことから発生する。食物とアトピー性皮膚炎の悪化が関係しているという間違った関連を多く作りだしているし、湿疹が食物アレルギーと思わせる間違いを起こしている。
臨床型分類から「新生児消化器症状」の項と「食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎」の項と後者に関連する注は削除されなければならない。
#食物アレルギーにより引き起こされる症状
皮膚粘膜症状の中に「瘙痒感、じんましん、血管運動性浮腫、発赤、湿疹」とある。IgE依存型の皮疹であるならば「瘙痒感、じんましん、血管運動性浮腫、発赤」は正しい。しかし、「湿疹」は間違いである。問題の臨床的重要性から判断すれば「瘙痒感」「発赤」は省くべきで「じんましん、血管運動性浮腫」だけにすべきである。少なくとも「湿疹」削除されなければならない。
#食物アレルギーの疫学
ここでの有病率は「湿疹」の患者を除外して計算する必要がある。もし除外するならば、有病率はワンオーダー(1/10)からツーオーダー(1/100)ほど下がる可能性がある。
#その他の重要事項
この中の第1項目目の記述は、アトピー性皮膚炎診療ガイドラインの間違いに起因する重要な間違いである。次のように記されている。「乳児の食物アレルギーの多くはアトピー性皮膚炎を合併している。アトピー性皮膚炎治療ガイドラインに即したスキンケアや薬物療法を先に行っても症状が改善しない場合に食物アレルギーの関与の有無を検討する。」
ガイドラインに即した治療で症状が改善しない原因のほとんどは、ステロイド外用による副作用であるステロイド依存性皮膚症である。ステロイド依存性皮膚症の治療を先に行うべきであるのに食物アレルギーを探すのは全くの間違いである。正しく解釈された食物アレルギーはごく稀である。
従って、この項目は削除されなければならない。
3.食物アレルギーの診断
2.で述べた理由から「一般血液検査」の「1)食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎の経過中に末梢血好酸球数の増加、鉄欠乏性貧血、肝機能障害、低蛋白血症、電解質異常がみられることがあるので必要に応じて一般検査を行う。」は削除すべきである。これらの症状は食事アレルギー説によるアトピー性皮膚炎の治療上の誤りから、また、食事摂取方法の間違いからくることがほとんどである。ステロイドを使わない正しいアトピー性皮膚炎の治療と食事指導が必要である。
「血中抗原特異的IgE抗体検査」の「1)血中抗原特異的IgE抗体陽性(=監査されていることを示す検査所見)と食物アレルギー症状が出現することとは必ずしも一致しないことを念頭に置くべきである」は「1)血中抗原特異的IgE抗体陽性(=監査されていることを示す検査所見)と食物アレルギー症状とは相関しないので、確実な即時型反応が臨床的に確認できる場合を除いてこの検査はすべきでない。」と変えられなければならない。また、確実な事が言えないのであるから、3)と4)及びプロバビリティカーブについても削除しなければならない。
「皮膚テスト」についても食物アレルギーと皮膚テストとは相関しないため実施する必要はない。「4)皮内テストはショックの危険性や偽陽性率が高く、診断のためには通常行わない。」のみを残すべきである。
「ヒスタミン遊離試験」の項目は不必要であり、削除する。
「食物除去試験」は即時型反応を示す食物が臨床的に確実な場合は不必要であるし、不確実な場合は混乱するだけであり行うべきではない。
「食物負荷試験」については、「2)食物負荷試験は、原因抗原診断のためと耐性獲得の判断のための2通りの目的で行う。」とあるが、次に述べる項目の理由で「原因抗原診断のためと」と「のための2通り」を削除し「2)食物負荷試験は、耐性獲得の判断の目的で行う。」にすべきである。「負荷試験の適応とすべきでない症例」の説明中、「血中抗原特異的IgE抗体高値で」は削除すべきで「直近のアナフィラキシー症例や明らかなエピソードのある例」とすべきである。抗体低値でも激しい反応の出る症例はあるからである。「3)負荷試験の種類」で普通にできる①オープン法と②シングルブラインド法は「出現症状が主観症状だけであった場合は、判断が確定的でない」と言わざるを得ないような不確かなものである。判断基準を蕁麻疹とアナフィラキシーのみに絞って行わないからこういう結果になるのである。乳児が離乳食や粉ミルクを始める場合は、蕁麻疹やアナフィラキシーが出るかどうかだけを判断基準として一品一品食物を増やしていけばいい。これが実際の負荷試験である。この場合に即時型反応が出る確率は極めて低いので親は心配しないことである。
4.食物アレルギー診断のフローチャート(食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎)
既に述べた理由から、根本的に書き変える必要がある。細かく記述する値打はない。
5.食物アレルギー診断のフローチャート(即時型症状)
「明らかに重篤なアナフィラキシーが疑われる」が「はい」以降はその通りで良い。しかし、「明らかに重篤なアナフィラキシーが疑われる」が「いいえ」の場合はに検査をすることは論理矛盾である。疑っていないのになぜ検査をする必要があるか。問診のやり直しが必要なだけである。改定が必要である。
6.食物アレルギーの治療・予防
このテーマには問題なしである。このなかで、「ハイリスク児に対する一次予防」のなかで、「妊娠中・授乳中にアレルギー性疾患発症予防のために食物制限を行うことは十分な根拠がないために通常進められていない。」との記述は重要である。なお、「一次予防」とは「食物抗原に対するIgE抗体が作られることを予防すること」である。
7.アナフィラキシーへの対応、8.食物アレルギーと栄養、9.食物アレルギーの社会的対応、10.参考資料1-3は問題なしである。
この手引きには仮性アレルゲンについての十分な配慮がされていない懸念があるので以下に参考のために付しておく。
{仮性アレルゲン・アレルギー誘発食品
http://www.hajime-net.jp/Dr-Kakuta/allergy_seikatu/04/kasei-allerugen.html
食物に天然に含まれる化学物質、環境汚染によって蓄積・残留してしまった化学物質などのために、通常のアレルギー反応の経路を通らずに、アレルギー症状が起こったり、もともとあったアレルギー症状を悪化させてしまうことがあります。その食物に対するアレルギー反応ではありません。
アレルギー体質が強く、アレルギー反応が過剰に起こりやすい体質がある場合には、状況が変わってきます。アレルギー体質があっても、体調がいい時は注意しながら食べることは可能な場合もあります。しかし、体調の悪い時やアレルギー症状を起こしている時、年齢が小さな子どもでは、アレルギー症状を増強させてしまう可能性があります。敏感な人では少しでも激しい症状を起こすことがあります。体調不良時やアレルギー症状がある時は多量摂取を避ける必要があります。
特に、ソバ、ヤマイモ、キウイ、チョコレート、チーズ、ピーナッツ、タケノコ、ナス、トマト、メロンはアレルギーを悪化させる頻度が高いので注意が必要です。野菜や果物に含まれる化学物質は、熱を加えて調理すると反応や症状が軽くなる場合があります。また、これらは生の状態では食品そのもののアレルギーも起こしやすい食品です。}
イギリス皮膚科雑誌の7月号に下記の論文が出たとm3.comメール(医療ニュース)に出ていました。参考になるのでお知らせいたします。
# 佐藤の補足説明
「トビヒ」など皮膚の細菌感染症が起こっている場合には抗生物質は皮膚に対して有効ですが、細菌感染していないアトピー性皮膚炎の症状を抗生物質で改善できるかどうかを見ると、その場合は皮膚の症状は改善しないということです。アトピー性皮膚炎の患者の皮膚の表面に黄色ブドウ球菌がよくついていますが、この黄色ブドウ球菌を減らす治療をしても意味はない、アトピーは改善しないということを意味します。だから、アトピー治療として、イソジンで消毒、超酸性水で皮膚のばい菌を減らすなどの治療は無意味だということです。
この論文の中にある(以下にあった数行は、深谷元継先生のご指摘により以下の数行のように改訂させていただきました)「平均への回帰」について知らなかったので、日本語のウィキペディアを見てみました。「平均への回帰」は、一回目の実験で大きな違いが出たケースだけを取り出して二回目の実験を行っても以降は一回目ほどの差が出ない傾向がある、というような意味のように思いました。背の高い父親たちの子供たちの身長は平均値に近くなるということが平均への回帰の説明に出ています。
# 論文の要約
アトピー性皮膚炎に対する抗黄色ブドウ球菌剤投与の有用性の検討
Bath-Hextall FJ, Birnie AJ, Ravenscroft JC, Williams HC.
British Journal of Dermatology. 2010 Jul;163(1):12-26
黄色ブドウ球菌とアトピー性皮膚炎における湿疹病変との関連は長年にわたり認識されてきた。明らかに感染を合併した皮膚炎を有する患者に対して抗生物質を利用することの利点は広く認められているが、黄色ブドウ球菌が非感染性湿疹病変に対してどのような影響を及ぼすかについては明確ではない。
イギリスの研究グループは、抗黄色ブドウ球菌薬がアトピー性皮膚炎の治療に効果的であるかどうかを検討するために、無作為対照化試験(RCTs)の系統的レビューを行った。具体的には、Cochrane Skin Group’s Specialised
Register、the Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE (2000年〜),
EMBASE (1980年〜)、 the metaRegister of Current Controlled Trials (〜2009年3月)を参照し、加えてレファレンス及び会議録も検索して参照した。また、一切他の治療を行っていないアトピー性皮膚炎患者に対して黄色ぶどう球菌を減少させる介入を行い、症状を比較したRCTも検討に加えられた。文献は出版状況及び使用言語に関わらず、調査対象に含めた。
26件の文献を対象として、1229名の患者に関する情報を得た。文献検索の対象となった調査の大部分は短期的で、質が低かった。ある一つの報告では、感染を合併しているアトピー性皮膚炎に対して内服抗生物質を使用した場合とプラセボを投与した場合とを比較しているが、全体的な皮膚症状の改善結果に有意差はみられなかった(相対リスク(RR)0.40、95%信頼区間(CI)0.13-1.24)。また抗生物質含有ステロイド外用薬とステロイド外用薬単剤の使用が比較された2つの報告でも、同様に治療効果に有意差はみられなかった(RR 0.52、 95% CI 0.23-1.16)。
感染を合併した皮膚炎症状を有する小児アトピー性皮膚炎患者を対象とした研究では、浴槽の湯に漂白剤を入れて入浴した小児患者は、単なるお湯で入浴した小児患者よりも、アトピー性皮膚炎の症状が著しく改善したと報告している。ただし、この違いは平均値への回帰として説明できる可能性がある。結果をまとめると、抗黄色ぶどう球菌薬による介入治療は非感染性アトピー性皮膚炎患者の皮膚に存在する黄色ブドウ球菌数を減少させはしたが、皮膚炎症状そのものを改善させるという臨床的有用性は示されなかった。
今回の検討では、非感染性の湿疹病変に対して一般的に行われている抗ブドウ球菌薬投与の有効性を示す証拠はみられなかった。以上の結果より、今後長期間にわたるより質の高い研究がその有効性を証明するまでは、確固とした根拠のない抗ブドウ球菌薬投与は行うべきではないと結論している。
以下の文章を岩波書店、雑誌「世界」編集局へ送りました。
ーーーーーーーーーー
雑誌「世界」安藤直子論文(深刻化・長期化・難治化するアトピー、求められる患者主体の医療、世界、2009年10月号、210-219頁)を読みまして感じたことを書いてみました。ご一読ください。
安藤直子氏の雑誌世界に掲載された論文(深刻化・長期化・難治化するアトピー、求められる患者主体の医療、世界、2009年10月号、210-219頁)が大きな注目を集めることは、アトピー性皮膚炎に関して大変な問題が存在することを意味する。そして、この問題はそのほとんどがアトピー患者により何年も前から発せられている。安藤氏の場合でも、ステロイドを止めることによって、すなわち脱ステロイドをすることによってよくなっており、日本皮膚科学会の治療ガイドラインに大きな問題点のあることを指摘していると私は考える。
日本皮膚科学会は2008年、2009年と2年連続で「日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」(以下、ガイドライン)を日本皮膚科学会雑誌に掲載した。上記問題に対して日本皮膚科学会がどのように反応したかを見るに、これを正面からは全く取り上げておらず、唯一、ガイドラインの「はじめに」の中に「アトピー性皮膚炎は‐‐‐患者への十分な説明や治療へのコンプライアンス・アドヒアランスを考慮すべき疾患」と述べているにすぎない。なぜこの表現が皮膚科学会の反応であると言えるかは、「患者への十分な説明や治療へのコンプライアンス・アドヒアランスを考慮すべき」なのはすべての疾患において言えることであり、わざわざこのような表現を取らなければならなかったことは何らかの事情が存することを暗に認めているが故なのである。しかし、「治療へのコンプライアンス・アドヒアランス」とは、私なりに訳してみれば治療の承諾と継続であり、ガイドラインを認める治療を行うかどうかそれを続けるかどうかを問うているだけであり、「はじめに」の終わりに「患者の意向を考慮して」とは述べているが、患者の意見を聞く意思は全くないことを意味している。そのことは、2009年ガイドラインの「図3 アトピー性皮膚炎:治療の手順」の中に「保湿性外用薬、外用法の具体的な説明、適正治療に向けての患者教育」と記されており、ステロイドを使わない治療を希望するかどうかを患者には全く問わず、ガイドラインに沿った治療を推し進める教育のみが考えられている。勿論、この治療の手順の中には脱ステロイド療法は全く含まれていない。そのかわり、ガイドラインの「Ⅴ.治療」の第6項目の「その他の治療法」中に名指しではないが、脱ステロイド療法は「科学的に有効性が証明されていないものが多く‐‐‐むしろ、その健康被害の面に留意すべきである」と述べ、脱ステロイドは排除すべき治療に含まれているのである。
ではステロイド治療が根拠あるものであるかどうかについてガイドラインはどのように述べているであろうか。ガイドラインで治療方法の第一番に述べられている言葉は、「現時点において、アトピー性皮膚炎の炎症を十分に沈静しうる薬剤で、その有効性と安全性が科学的に立証されている薬剤は、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏である。」と有効でかつ安全であると断言している。しかし、文献はまったく引用されていない。治療における証拠はインターネットに出していると述べてはいるが、上記断言のところには引用文献を示していない。このことは有効性と安全性について自信を持って示しうる根拠を持ち合わせていないということである。
安藤氏の論文は、内容的には、一方で、不確かであるステロイド治療を最大限に持ち上げ、他方で、苦しい中多くの患者が自分の体を張って獲得した脱ステロイドによるアトピーからの解放を不適切治療であるとして排除する日本皮膚科学会への痛烈な批判、アトピー治療に関して患者無視の治療を進める日本皮膚科学会への適切な批判である。雑誌世界が権威ある立場の者の文書だけでなく、権威から排除されている立場の者の文書(安藤氏の論文)を公平に掲載された勇断に感謝するとともに、今後も公平な出版活動に邁進されることを期待してお礼の言葉とさせていただきます。
なお、私は成人型アトピー性皮膚炎患者さんを脱ステロイド脱保湿療法によってその疾患から解放することのお手伝いをさせていただいている皮膚科医で、阪南中央病院に勤めております佐藤健二です。私には著書「患者に学んだ成人型アトピー治療、脱ステロイド・脱保湿療法」(つげ書房新社、2008年)があります。
岩波出版月刊雑誌「世界」10月号に安藤直子さんの論文「深刻化・長期化・難治化するアトピー、求められる患者主体の医療」(210-219頁)が載りました。ご自身の経験と患者調査に基づいた内容で、大変参考になると思います。ご一読をお勧めいたします。そして、感想を編集部へ送りましょう。
世界のメールアドレスは、sekai@iwanami.co.jp です。メー ルで感想を送られるのが、最も簡単な方法かと思われます。編集長 岡本 厚さんに。
住所、電話、ファックス番号は
〒101-8002 東京都千代田区一ツ橋2−5−5
岩波書店「世界」編集部
電話 03-5210-4141 FAX 03-5210-4144
第4回アトピー性皮膚炎講演会(横浜)が2009.4.12に行われました。その時に、ステロイドの種類についてお知らせしますとお約束いたしました。以下に記しておきます。
ステロイドの種類
ステロイドが使われている薬を使用方法別に7つに分けて(内服注射用、皮膚外用、呼吸器用、眼科用、耳鼻科用、口腔用、痔疾患用)示しました。
内容は「今日の治療薬、解説と便覧、2008年、水島 裕編集、南江堂」と「ステロイド外用薬アラカルト−実践への道−、2005年、古江増隆、株式会社ミット」を参考にしました。
初めに化学名、次に商品名(複数あるときは代表的なものを示す。複数ある場合は:で名前を分けている)、次は錠・注などと必要に応じて剤形を示した。
「錠」は内服の錠剤、「注」は注射、「軟」は軟膏、「液」は液体、「坐」は坐薬などを示す。
化学名は色々な表記方法があります。例えば、商品名デルモベートは「外用剤 Ⅰ群 ストロンゲスト 最強」の一番目に出ていますが、ここでは「プロピオン酸クロベタゾール」と記されています。これは「クロベタゾールプロピオン酸エステル」と同じです。「プロピオン酸」と「クロベタゾール」の順序が逆ですが、逆順でも同じ言葉があれば同じものと考えて間違いないです。
1.内服・注射など
コルチゾン酢酸エステル、コートン、錠
ヒドロコルチゾン、コートリル、錠
ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム、水溶性ハイドロコートン、注
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム、ソル・コーテフ:サクシゾン、注
プレドニゾロン、プレドニゾロン:プレドニン、錠など
プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、水溶性プレドニン、注
メチルプレドニゾロン、メドロール、錠
メチルプレドニゾロン酢酸エステル、デポ・メドロール、注
メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、ソル・メドロール、注
トリアムシノロン、レダコート、錠
トリアムシノロンアセトニド、ケナコルト‐A、注
デキサメタゾン、デカドロン、錠
デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、オルガドロン:デカドロン、注
デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム、セルフチゾン、注
デキサメタゾンパルミチン酸エステル、リメタゾン、注
ベタメタゾン、リンデロン、錠・注など
ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤、セレスタミンクロコデミン、錠
フルドロコルチゾン酢酸エステル、フロリネフ、錠
2.皮膚外用剤
Ⅰ群 ストロンゲスト 最強
プロピオン酸クロベタゾール、デルンモベート、ダントツに強い
酢酸ジフロラゾン、ジフラール:ダイアコート
Ⅱ群 ベリーストロング 大変強力
ジプロピオン酸ベタメタゾン、リンデロン‐DP
ジフルプレドナート、マイザー
フルオシノニド、トプシム
吉草酸ジクルコルトロン、ネリゾナ:テクスメテン
アムシノニド、ビスダーム
ハルシノニド、アドコルチン
酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、アンテベート
フランカルボン酸モメタゾン、フルメタ
Ⅲ群 ストロング 強力
酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、パンデル
プロピオン酸デキサメタゾン、メザデルム
吉草酸ベタメタゾン、リンデロン−V:ベトネベート:トクダーム、トクダームはテ−プ
プロピオン酸ベクロメタゾン、プロパデルム
吉草酸デキサメタゾン、ボアラ:ザルックス
吉草酸酢酸プレドニゾロン、リドメックス
フルオシノロンアセトニド、フルコート:フルベアンコーワ、フルベアンコーワはテープ
プロピオン酸デプロドン、エクラー
Ⅳ群 ミディアム(マイルド) 中等
トリアムシノロンアセトニド、ケナコルト−A:レダコート
ピバル酸フルメタゾン、テストーゲン
酪酸ヒドロコルチゾン、ロコイド
酪酸クロベタゾン、キンダベート
プロピオン酸アルクロメタゾン、アルメタ
デキサメタゾン、オイラゾン:グリメサゾン、グリメサゾンはタール含有
Ⅴ群 ウィーク 弱い
プレドニゾロン、ビスオクリームA:プレドニゾロン
ヒドロコルチゾン、コルテス:テラコー:テラ・コートリル
フルドロキシコルチド、ドレニゾン、テープ
3.呼吸器系用
プロピオン酸ベクロメタゾン、キュバール、エアゾール
プロピオン酸フルチカゾン、フルタイド(ロタディスク・ディスカス:50・100エアー)、吸入
プロピオン酸フルチカゾン、アドエア(フルタイドとβ刺激剤のセレベントの合剤)
ブデソニド、パルミコート、タービュヘイラー(ドライパウダーの吸入)
シクレソニド、オルベスコ
4.眼科用
メタスルホ安息香酸デキサメタゾン、コンドロデキサ:サンテゾーン:ビジュアリン、液・軟
プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン:プレドニン、軟
リン酸ベタメタゾンナトリウム、リンデロン:リンデロンA、液・軟
リン酸デキサメタゾンナトリウム、オルガドロン、液
メチルプレドニゾロン、ネオメドロールEE、軟
フルオロメトロン、フルメトロン:オドメール、液
酢酸ヒドロコルチゾン、日点・HCゾロン、液
5.耳鼻科用
プレドニゾロン、コールタイジン、スプレー
プロピオン酸ベクロメタゾン、アルデシンAQネーザル液:ナイスビー液:リノコート噴霧
プロピオン酸フルチカゾン、フルナーゼ
6.口腔用
トリアムシノロンアセトニド、ケナログ軟、アフタッチ貼付錠:ワプロンP貼付フィルム:アフタシール貼付フィルム
デキサメタゾン、アフタゾロン:デキサルチン、軟
プロピオン酸ベクロメタゾン、サルコート、噴霧
酢酸ヒドロコルチゾン、ヒノポロン、軟
7.痔疾患用
ヒドロコルチゾン、プロクトセディル、坐・軟
吉草酸ジフルコルトロン、坐・軟
ヒドロコルチゾン、強力ポステリザン軟:ポステリザンF坐

