脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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Author Archives: 佐藤 健二

マスメディアとステロイド軟膏宣伝

12月 30th, 2024 | Posted by 佐藤 健二 in 未分類 - (0 Comments)
昨日(2024.12.03)毎日新聞朝刊の12頁に、一面全体を使って新リビメックス軟膏、クリーム、ローション(医療用のリドメックスと同じ薬剤)が大々的に宣伝された。初めて医療用と同じ濃度のものがドラッグストア、薬局、薬店などで医師の処方箋無しに購入できるようになった、と。そして「患部へのしっかりとした効き目と、安全性の両立を考えて設計」されたものと謳っている。副作用については「体内に吸収された後、低活性体になるため、全身作用がでにくい」と言って副腎機能抑制は出にくいことを言おうとしている。
 現在皮膚科治療で問題になっているステロイド外用剤の副作用は、皮膚から吸収されて全身的に働く作用ではない。ステロイドを作る皮膚の機構が外用ステロイドによって抑制される副作用によって起こっている。外用ステロイドは皮膚の炎症を抑えるが、同時に皮膚でのステロイドホルモン産生を抑制する。長期にわたる後者の働きで皮膚がステロイド産生を止めてしまい、外用ステロイドがなくなると皮膚にはステロイドがなくなり、強いストレスが起こり、皮膚が悪化する。この悪化を防ぐためにステロイド外用が止められなくなる。この副作用、ステロイド依存性皮膚症についてはなにも記載していない。
 最近テレビでもフルコートやリンデロン等のステロイド外用剤の宣伝が多くなっている。医師の処方箋無しに市販薬として自由に購入できるため、副作用の発見が遅れることになる。ステロイド依存性皮膚症の増加が心配である。
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化粧とステロイド軟膏

12月 30th, 2024 | Posted by 佐藤 健二 in 新聞・テレビ - (0 Comments)
1970年代の終わり頃に事件がありました。ステロイドを顔に塗ると皮膚の表面がツルツルになり化粧ののりが良いということで、顔にステロイドを塗ることが流行りました。しかし、何かの理由でステロイドを塗らなくなると激しい皮膚の悪化が起こりました。日本皮膚科学会は、このような間違ったステロイドの使用に警鐘を鳴らしました。
 市販のステロイドがマスメディアで頻回に宣伝されると同じことが起こる可能性が出てきます。ステロイドの使用については注意が必要であることを「使用上の注意をよく読んでお使いください」と述べるだけでなく、製薬企業は宣伝と同じ紙面で上記のような事実のあることを注意書きとして記すべきです。
 顔面へのステロイド剤の不適切な使用で悪化した症状を「しゅさ様皮膚炎」と命名して学会も認めています。顔に起こっていることは体でも起こっています。それがステロイド依存性皮膚症です。注意が必要です。

児童相談所の皆様

12月 30th, 2024 | Posted by 佐藤 健二 in 阪南中央病院 - (0 Comments)
児童相談所の皆様
ステロイドを使わない治療(非ステ治療)をして皮膚が悪化しているアトピー性皮膚炎の赤ちゃんを見ても、虐待と思わないでください。非ステ治療を望む親は次のことを知っているのです。現在のアトピー性皮膚炎の患者増は、本来、自然に治るアトピー性皮膚炎をステロイドで治療することによってステロイド依存性皮膚症(酒さ様皮膚炎の全身型ともいえる)を合併するようになり、アトピー性皮膚炎を治らなくすると共にステロイドから逃れられないようにしていることによって起こっていることを。
「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」には次の記載がある。①「本ガイドラインに記された医療行為に関する記載は、—、診療の現場での意思決定の際に利用することができる。臨床現場での最終的な判断は、主治医が患者の価値観や治療に対する希望も十分に反映して患者と協働して行わねばならない。」②「本診療ガイドラインは,症例毎の事情を踏まえて行われる医療行為の内容がここに記載されているものと異なることを阻むものではなく、医療者の経験を否定するものでもない。また逆に、本ガイドラインに記載されている内容が実施されないことをもって、実際の診療にあたる医師の責任を追訴する根拠に資するものでもない。本ガイドラインを医事紛争や医療訴訟の資料として用いることは、本来の目的から逸脱するものである。」
 ①の記述は、親が子どもの治療方法を非ステロイドでお願いしたいといったならば医療側はそれに従うことも含まれている。少なくとも一方的に非ステロイド治療を拒否することは正しくないことを表している。問題は、新しくアトピー性皮膚炎の治療を始める医師は、非ステロイド治療や脱ステロイド治療について学生時代に講義で聞かないし、ガイドラインにも記述されていないため、方法や予後について何も知らない状態で患者と向き合うことになる。例えば以下の文献を参考にガイドラインに記述があれば大変参考になるであろう。その文献は、「<新版>患者に学んだ成人型アトピー治療 難治化アトピー性皮膚炎の脱ステロイド・脱保湿療法、つげ書房新社、2015年」や「ステロイドにNo!を 赤ちゃん・子どものアトピー治療、子どもの未来社、第2版 2019年、佐藤健二 佐藤美津子」、「9割の医者が知らない正しいアトピーの治し方、永岡書店、2013年、藤澤重樹」などである。
 ②の記述は、標準治療をしていないことを湿疹のある赤ちゃんへの養育拒否や虐待との評価の根拠とすべきで無いことも意味している。もし赤ちゃんが幾度も医療機関を受診したにもかかわらず、標準治療以外の治療を受入れてもらえずに酷くなっているなら、批判されるべきは、標準治療でない治療を与えない雰囲気や状況を作り出した要因であり、赤ちゃんの親ではないであろう。ステロイドを使わない治療で良くなった例は数多くインターネット上で示されているので、この事実を無視した過失があるからである。

デュピクセントと皮膚T細胞リンパ腫

12月 30th, 2024 | Posted by 佐藤 健二 in 未分類 - (0 Comments)
Journal of Investigative Dermatology に以下の二つの論文が載りました。
一つ目はこれです。
Cutaneous T-Cell Lymphoma after Dupilumab Use: A Real-World Pharmacovigilance Study of the FDA Adverse Event Reporting System
デュピルマブ使用後に皮膚T細胞リンパ腫:米国食品医薬品局副作用事例報告制度の実社会の薬物警戒研究
Lavin L, Dusza S and Geller S
J Invest Dermatol, 2025; 145:211-214
米国食品医薬品局副作用事例報告制度の報告を利用して研究しました。結論として、アトピー性皮膚炎の症状に対してデュピルマブを使用すると、痒みは減るが皮膚T細胞リンパ腫が増えたとのことです。しかし、喘息の症状や副鼻腔炎の症状に対して使用してもリンパ腫は増えないし、皮膚以外のリンパ腫や基底細胞癌、扁平上皮癌は増えていないとのことです。
この論文を受けてこの雑誌のコメント欄に以下の論文が出ています。
Cutaneous T-Cell Lymphoma and Dupilumab Use: A Multifactorial and Complex Story
皮膚T細胞リンパ腫とデュピルマブ使用:多因子的で複雑な話
Beylot-Barry M and Staumont-Salle D
J Invest Dermatol, 2025; 145: 9-11
このコメントの要旨は臨床的示唆に出ています。
「臨床的示唆
皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)は、デュピルマブ開始後に生じることがある。
薬物警戒資料は、アトピー性皮膚炎を持つ患者のみがデュピルマブに関連したCTCLを経験していることを示唆している。
もしアトピー性皮膚炎がデュピルマブ開始前に非典型的な像を示したり治療中に悪化すればCTCLの診断を考慮すべきである。」
そして次の考えを示している。
「デュピルマブ関連CTCL発症の奥にある機構は議論のある所だが、おそらく色々な重複する要因が関係しているであろう。
仮説として:
前もって存在する皮膚の炎症が、デュピルマブで治療された患者においてCTCLが発生する必須の段階であり、おそらく腫様発生的慢性炎症とデュピルマブが作った免疫調節変位の両者が関わり、T細胞のクローン出現を促進させているのであろう。」
佐藤健二の意見:
アトピー性皮膚炎で慢性炎症があれば長期にわたりステロイド外用があるはずで、これによる皮膚での免疫低下などをなぜ考慮あるいは検討しないのであろうか。「重複する要因」の一つとして至急に検討されるべき課題だと考える。
また、2018年医療現場に出てからかなり短期に重大な副作用が出てきているから、デュピルマブの安全性についても慎重な検討が必要だと考える。少なくとも短期で終了できる治療が必要と考える。

Information for TSW/NMT sufferers

2月 11th, 2024 | Posted by 佐藤 健二 in 未分類 - (0 Comments)

Information for TSW/NMT sufferers

阪南中央病院で脱ステロイド・脱保湿を希望する外国人患者へのお知らせ

 

アトピックのホームページの中にある

INFORMATION FOR TSW/NMT SUFFERERS

TITOLES OF CONTENT

https://atopic.info/

をご覧ください。

 

日本政府は、日本の医療保険を持たない患者に対して、日本の医療制度で請求する医療費より多くを請求しないように指示しています。阪南中央病院はその指示に従っています。日本の医療保険を持っている患者の支払いが少ない理由は、医療保険で7割が支払われるからです。高額医療制度を利用すると支払いは更に易くなります。

 

このお知らせを公表するまでには、病院事務、アトピックのお世話係などに大変お世話になりました。