脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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寒くもなく暑くもなく太陽も雲のために余り強くなく最高の日よりでした。楽しくおいしい肉を食べることができました。少し食べ過ぎました。そのため、運動できず。場所はいつもお世話になっているAさんが取ってくださいました。肉を焼く仕事は新しい助っ人Sさんが現れました。元焼鳥屋さんだそうです。ありがとうございました。最後の集合写真を見てください。満面の顔と満開の桜です。

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皆様

山中先生が4月から1年間大阪市立大学病院で専門医のための研修を始められますので、皮膚科常勤医は佐藤一人になります。色々ご迷惑をおかけするかもしれませんがご理解ください。
外来の診察は、佐藤は火曜日と木曜日の午前と変わりませんが、山中先生は木曜日の午前の外来診察に来てくださいます。大学病院へ帰る必要があり、診察は12時で終わらせていただきます。この点についてもご理解ください。

菊池さんがファイスブックに以下を載せておられます。是非ご参加ください。

いよいよ来週、新元号前、平成最後のatopicのお花見&BBQ、まだまだ募集しております。今年は参加者が少ないので、じっくりお話する事も出来るかもしれません。

開催日:2019年4月7日(日曜日)
※雨天中止。中止の場合は前日中に参加者へ連絡します。

開催時間:11:00から

場所:大泉緑地(阪南中央病院の西隣)の桜広場

予算:飲酒する方は約2500円、飲酒しない方は約1500円、子供(小学生)500円、小学生より小さなお子様は無料 です。

◆◆◆お申込み方法◆◆◆

お申込み先: atopic.info@gmail.com

表題は必ず、「大阪花見BBQ希望」とし 下記内容をお送り下さい。

+++++お申込フォーマット+++++
●代表者氏名:
●フリガナ:
●参加人数と内訳:大人○人、小学生○人、幼児○人
●飲酒の有無:

注:atopicをご存知の患者様及びご家族の参加に限定します。一切の物品販売、勧誘等お断り致します。
皆さんのご参加、お待ちしております。

2019年のゴールデンウイークは10連休になっていますが、医療の安全を保つためと、外来患者の連休前後への集中を防ぐために、4/30(火)、5/1(水)、5/2(木)は通常通り働きます(外来、病棟ともに)。

以下に述べている内容は、皮膚でのステロイド離脱現象を説明しようとするものです。良く理解して近所の皮膚科医や小児科医を説得するようにして下さい。2017年11月にこのブログに書いた「皮膚の”副腎不全”」を詳しく述べたものです。

1.はじめに 皮膚でステロイド産生はあるのか?
ヒトでは、表皮細胞において視床下部・下垂体・副腎系のすべての酵素の存在することは分かっていた。それでは、皮膚だけで本当に糖質コルチコイド(いわゆるステロイド:ヒトではコルチゾール)を産生することができるのであろうか。副腎を身体から除去して皮膚に炎症を起こし、皮膚でステロイドができているかどうかを調べれば分かるが、この実験は人間ではできない。そこで研究者は、ネズミを使って実験した。
2.皮膚での産生を証明した論文
表皮の糖質コルチコイド受容体遺伝子を潰した(ノックアウト)ネズミで、副腎を除去して一週間後に皮膚にかぶれを起こし、皮膚と血液にステロイドがあるかどうかを調べる実験をすると、両者にステロイド(ネズミの場合はコルチコステロン)の存在が確認できた。この事は、皮膚だけでステロイドを作れることを示している。人間の皮膚でのステロイド産生の量を調べると、尋常性乾癬とアトピー性皮膚炎では減少していることが分かり、ステロイド外用治療の根拠ができたと論文では説明しているが、外用ステロイドによる視床下部・下垂体・副腎系の酵素機能へのネガティブフィードバック作用(外用により皮膚にステロイドが与えられると皮膚でのステロイド産生が落ちる現象)には触れていない。
文献
Hannan R et al. Dysfunctional skin-derived glucocorticoid synthesis is a pathogenic mechanism of psoriasis, J Invest Dermatol 2017; 137: 1630-37.
Slominski AT et al. Cutaneous glucocorticoidogenesis and cortisol signaling are defective in psoriasis, J Invest Dermatol 2017; 137: 1609-11
3.皮膚でのステロイド産生を予想させる臨床的観察
人間において皮膚だけでステロイドホルモンが産生されているであろうことは上記のような実験をしなくても次の事実で推測できる。人が日焼けすると日に焼けた所だけに発赤が起こり、炎症が治まると発赤の起こった所だけに色素沈着が起こる。色素沈着が生じるためには皮膚にある色素細胞に色素細胞刺激ホルモン(αMSH)の作用が必要である。色素細胞刺激ホルモンは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の遺伝子の一部に含まれている。だから、色素が皮膚だけで出現することは、その場で副腎皮質刺激ホルモンが産生されていることを示す。人間の体は無駄には作られていないとかんがえられるので、副腎皮質刺激ホルモンが産生されるがステロイドが産生されないようになっているとは考えにくい。色素沈着が起こったことは、その場所でステロイドが産生され、炎症を抑えたであろうということである。ネズミの皮膚での実験でステロイドが産生されていることが証明され、上記の色素沈着と消炎の事実を見るならば、人間の皮膚では、副腎とは別にステロイド産生が起こっていると考えなければならない。
4.皮膚での視床下部・下垂体・副腎系酵素のネガティブフィードバック現象
人間でもネズミでも、ステロイドを全身的に投与するとネガティブフィードバック機構で副腎機能の抑制が起こる。では皮膚にある視床下部・下垂体・副腎系の酵素機能に対して外用ステロイドはネガティブフィードバック作用を示すのかどうかが問題となる。この点について直接的に示す実験データは無い。臨床現場で経験することのなかでは、長期にステロイドを使用した患者が共通して訴える二つの事が重要である。一つは、治療しているうちにステロイドが効かなくなる、だから医師は仕方なく強いステロイドを使うよう指示するということ。もう一つは、ステロイドの外用の減量や中止をすると激しい症状が出てくるので止めることができない、ということである。日本皮膚科学会のガイドラインでは、長期にステロイドを外用していたアトピー性皮膚炎患者がステロイド外用治療を中止すると生じてくる症状をアトピー性皮膚炎の悪化と考えている。アトピー性皮膚炎は年と共に症状が軽くなって行くと考えられているのに、少しずつ強い外用剤を使わなければならなくなることはアトピー性皮膚炎の臨床経過とは合わない。内服を中止すると激しい症状が出ると思っているのは内服ステロイドによる副腎不全との混同であると説明しているが、外用ステロイドでは殆ど副腎不全は起こらないとガイドラインの別の場所で説明している。この二つの現象を、皮膚における視床下部・下垂体・副腎系酵素機能の外用ステロイドによるネガティブフィードバック現象であると考えると矛盾なく説明できる。外用ステロイドにより皮膚でのステロイド産生が徐々に抑制されていく過程で、ステロイド外用を減らすあるいは中止すると、皮膚でのステロイド産生が減少しているためにストレスに対して十分に対応できずに皮膚の悪化が生じるということである。また、徐々に皮膚でのステロイド産生が抑制されるため、徐々により強いステロイド外用が必要になって行くということである。
5.皮膚への安易なステロイド外用は控えるべき
皮膚に対するステロイド外用は皮膚の視床下部・下垂体・副腎系酵素機能を抑えることになるので、元々産生機能が低下しているアトピー性皮膚炎などの疾患に対しては使用について慎重になるべきであると考えられる。2018年版ガイドライン作成時には上記の論文は知られていたはずであるのに言及されていない。この論文の持つ意味を十分考えてガイドラインは作り変えられるべきであると考える。
皮膚でのステロイド産生を増加させる方策は検討されなければならないが、おそらく運動はその一つと考える。脱ステロイド中の患者が運動量を適切に増加させると皮膚の改善が早くなるという観察からの推察である。