脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドラインにあるステロイド治療関連記述のまとめ
 1)アトピー性皮膚炎の病態
   皮膚の生理学的機能異常を伴い、複数の非特異的刺激あるいは特異的アレルゲンの関与により生じる慢性の炎症で、湿疹・皮膚炎群の一疾患。
 2)アトピー性皮膚炎の治療の基本(この順で記述されている)
  ①炎症に対してはステロイド外用薬やタクロリムス軟膏による外用療法を主とする。
  ②生理学的機能異常に対しては保湿・保護剤外用などを含むスキンケア。
  ③瘙痒に対しての抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の内服を補助療法として。
  ④悪化因子を可能な限り除去する。
  なお、アトピー性皮膚炎治療におけるEBMは九州大学皮膚科から「アトピー性皮膚炎ーーより良い治療のためのEBMデータ集ーー」がインターネット上に公開されている。(この中で最も重要視されている論文はFurue 論文で、その治療成績の要点は、表を作り変えて最後に資料として示す。全体の批判はatopic ホームページの「佐藤先生のブログ」に4回に分けて記述している。http://atopic.info/satokenji/ 2010.12.13-2011.2.27まで。なお、最近のブログ2011.11.20NHKの番組について、アトピーに限ってと日本皮膚科学会中部支部学術大会の報告を参照)
 「はじめに」の最後は「本ガイドラインを参考にした上で、医師の裁量を尊重し、患者の意向を考慮して、個々の患者に最も妥当な治療法を選択することが望ましい。」で終わっている。そして、「はじめに」の最初は、上記疾患概念と治療ガイドラインは世界的に近似していることと、患者への十分な説明や治療へのコンプライアンス(治療法に従うこと)とアドヒアランス(継続すること)を考慮すべき疾患であることを強調している。
 3)予後について
   本治療法による予後についての記述は以下のみである。「一般に慢性に経過するも適切な治療により症状がコントロールされた状態に維持されると、自然寛解も期待される疾患である。」この記述には引用文献が無く、根拠のない記述と評価せざるを得ない。もし本当に予後についての記述が根拠のあるものなら、上記EBMデータ集から選んでここで引用できるはずである。
 4)治療について
   ①目標は次の状態への到達である。
    「(1)症状はない、あるいはあっても軽微であり、日常生活に支障が無く、薬物療法もあまり必要としない。 (2)軽微ないし軽度の症状は持続するも、急性に悪化することはまれで悪化しても遷延することはない。」
    (2)については薬物療法に関する記述が無いが、薬物治療をしていてもあるいは薬物治療によってという気持ちがあると判断できる。患者は目標(2)より目標(1)を希望するだろう。ガイドラインに治療目標(1)があるのであるから、ステロイド治療を行われている患者は、直ちにステロイドを使用しない治療を希望することは一応除外するとしても、ステロイドを使わない治療に向かってほしいということは言えるはずであるし、ガイドラインに従って治療していると主張する医師はこの患者の希望に応えてどのように治療するかを考える義務があるであろう。
 初めからステロイドを使用しない治療を希望することはガイドラインに記述されていないように見えるが、これは可能であろうか。また、この治療を拒否することは医師に許されるであろうか。この疑問がこの小文を書く契機である。
   ②薬物療法
    「現時点において、アトピー性皮膚炎の炎症を十分に鎮静しうる薬剤で、その有効性と安全性が科学的に立証されている薬剤は、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏である。」と記されているが、これを裏付ける引用文献は示されていない。しかし、ステロイド外用剤の外用効果については、「ストロングクラス以上のステロイド外用薬では、1日2回外用と1回外用の間に、3週間以降の治療効果については有意差が無い。」ことと「ミディアムクラスの場合には、1日2回外用の方が1日1回外用よりも有効である。」ことに関してのみ引用文献がある。タクロリムスについては4年使用で問題はないとの引用文献がある。しかし、わざわざ「3年以上の長期使用の結果からも重篤な全身性有害事象はなく」と表現されている。意図的な変更である。発癌を考える副作用についてはもっと長期の経過観察が必要である。チェルノブイリでの子どもの甲状腺癌が原子力発電所の爆発事故の後、放射能でさえ4年ほどしてから発癌が増え始めていることを考えれば、まだまだ観察の初期と考えるべきで、安全宣言するべき時期ではない。
   ③外用中止について
   無治療に持っていくためのステロイド減量時に「再燃のないことを確認する必要」を述べている。「炎症症状の鎮静後にステロイド外用薬を中止する際には、急激に中止することなく、症状を見ながら漸減あるいは間欠投与を行い徐々に中止する。ただし、ステロイド外用薬による副作用が明らかな場合にはこの限りではない。」
 ある程度の期間ステロイド外用を続けるとステロイド依存性が出てくるので、ステロイド減量時に再燃のない状態で減量ができることは、かなり珍しいことである。この再燃をどうとらえるかがステロイド派と脱ステロイド派の違いの最も重要な点である。
   ④ステロイドの効果が不十分
    ステロイド外用薬は「アトピー性皮膚炎の炎症を十分に鎮静しうる薬剤」と述べられている。にもかかわらず、同じガイドラインにタクロリムス軟膏関連では、「タクロリムス軟膏はステロイド外用薬では治療が困難であったアトピー性皮膚炎に対しても高い有効性を期待し得る。」や「ステロイド外用薬などの既存療法では効果が不十分」な場合にタクロリムス軟膏は高い適応を有する、と言う。また、シクロスポリン(ネオーラル)内服薬関連では、「シクロスポリンの適用となるのは既存の治療に抵抗する成人例で」とある。
 同じガイドラインの中に「炎症を十分に鎮静しうる」と「効果が不十分」が共存するステロイド外用薬とはいったい何なのか。この矛盾を解くためには、使用開始時には十分有効であるが、使用が長引くに従って既存の治療では効果が不十分になったり既存の治療に抵抗するようになる現象を考慮しなければ理解できない。すなわち、2000年版では言及されていた「ステロイド抵抗性(連用による効果の減弱)の事象」やステロイドに対する依存性の存在を承認しなければならないのである。
   ⑤ステロイド外用薬の副作用に対する誤解
    (1)ステロイド内服薬と外用薬の副作用の混同
    (2)アトピー性皮膚炎そのものの悪化とステロイド外用薬の副作用の混同
    これらによりステロイド外用薬への恐怖感、忌避が生じ、コンプライアンスの低下がしばしばみられる。十分な診察時間をかけて説明し指導すれば治療効果を上げることができる、と述べている。(2)についてはステロイド依存性皮膚症との関係で非常に重要な記述ではあるが、引用文献はない。
    ステロイドの局所的副作用として、ステロイド痤瘡、ステロイド潮紅、皮膚萎縮、多毛、細菌・真菌・ウイルス性皮膚感染症などを挙げているが、酒皶様皮膚炎は挙げていない。問題となるステロイド依存性皮膚症の顔面版である。しかし、ステロイドで起こることが分かった後で明らかになったタクロリムスでの酒皶様皮膚炎は記述されている。ステロイドで記述されていないのはステロイド依存性皮膚症に注意を向けないための意図的除外である。2000年版アトピー性皮膚炎治療ガイドライン(川島真、他、日皮会誌 2000; 110, 1099-1104)には、「ステロイド抵抗性(連用による効果の減弱)の事象も通常の使用では経験されない。」とあるが、その次の「日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2003改定版(古江増隆、他、日皮会誌 2003; 113: 119-125)」以降は削除されている。これも、同じ目的の行為である。
   ⑥ステロイドを使用しない治療
    この治療について明言は避けているが、次の記述がある。「その他の特殊な治療については、一部の施設でその有効性が強調されているのみであり、科学的に有効性が証明されていないものが多く、基本的治療を示す本ガイドラインには取り上げない。むしろ、その健康被害の面に留意すべきである。」と。ガイドラインのスピーカーである東京逓信病院皮膚科E医師は、2011.6.11-12開催の第27回日本臨床皮膚科学会で、「多くの患者さんが…脱ステロイド療法などにより、多大な弊害を被っている。」(抄録)と発表している。特殊な治療すなわち脱ステロイド治療は、皮膚科学会の妨害をはねのけて一部の施設で行われ、その有効性のゆえに多くの患者がごく一部の施設に押し寄せているのである。皮膚科学会が頑なに事実を見ようとせず、ステロイド治療を中止すればほとんどの重症患者さんが救われるのに、危険な免疫抑制剤の使用を拡めているのは患者にとっては大変困ることである。また、高額であるため医療経済にとっても困ることである。

9/18岡山講演会報告

2011年09月19日 | Posted by 佐藤 健二 in 講演会 - (0 Comments)

皆様

9/18、アトピックの第17回アトピー性皮膚炎講演会(岡山)のご報告をさせていただきます。

ざっと数えると、アンケート用紙は76枚です。実際は100人を超えていたようです。大変な盛況ぶりでした(本当はアトピー治療について悲しいことなのですがね)。講演会を知った理由はインターネットが多いのは普通ですが、今回は新聞が非常に多かったです。また、ラジオ放送というのも5件は超えていたと思います。また、紹介というのが意外と多かったのですが、おそらくYさんご家族のご紹介だろうと思います。また、Yさんにあちこちにおいていただいたパンフレットを見てこられたことも分かります。Yさんご家族様様です。本当にありがとうございます。また、ご苦労様でした。
岡山県とそれ以外から何人かの方が講演会の応援に駆けつけてくださいました。この人々のご努力なしには講演会の運営はけっしてスムーズにいきません。本当にありがとうございます。

今回、講演会は第1部を乳幼児編、第二部を成人編として内容を組みました。時間進行はほとんど予定通りで、全然心配する必要はございませんでした。司会のAYさんありがとうございました。内容的にはアンケートで見る限り高い評価を受けています。しかし、少し改善の余地のあるようなご指摘もあります。私が感じた感想を少しのべます。

①第1部が終わると1-2割の方が退席されました。第1部の後で廊下で乳幼児の個別指導を行いました。これを喜ばれる親御さんもおられるとは思いますが、講演会全員が、情報を共有しようという意味では問題があり、今後検討の余地があると考えられます。例えば、個別指導で強調したい点をスライドの中に上手に入れる工夫をするなどがあると思います。

②これまでも話の内容は講演者がある程度分担してきたのですが、今回の講演会では強調したい点が重複して述べられていました。重複点は前もって相談し、最も分かり易く短時間に説明できるスライドを作って、最も適当な所で話していただく必要があるように思いました。

③私は、今回、スライドを作り終えたのが17日の深夜近くだったので、レジュメを作れませんでした。全講演者の重要な点についてレジュメを出していただき、それ全体をA4版表裏一枚程度にまとめるように努力をするのがいいように思いました。④講演会の医師の講演内容について、もう少し前準備を行った方が講演会としてはよりよくなると思いました。⑤なお、いつも言われることですが、字が小さいと後の人は読めなくなります。よほどのことが無い限り、32ポイント以上の大きさが必要でしょう。また、そうなるとスライド上に「文章」は避けて、「単語」あるいは「句」程度にする必要があると思います。

患者体験談は大変良く練られていて、聞く人の心を揺るがせました。大変上手な発表をありがとうございます。講演会の説明を補完する以上の効果があります。参加者が体験談のお話しを聞かれる時のまなざしは、講演者の話を聞く以上に真剣なまなざしをされておられます。眠る人など全くございませんでした。本当にいつもありがとうございます。

岡山県の皮膚科の先生がお一人、この講演会に参加していただき、質疑応答の時に参考意見を述べてくださいました。また、懇親会にも参加してくださいました。大変嬉しかったです。

19日は日本三大庭園の一つの岡山「後楽園」の散策に行かせていただきました。Yさんの立派な車に乗せていただき快適に連れて行っていただきました。私は後楽園はこれで少なくとも3度目です。一度は学会で、一度は家族ででした。自分の子どもたちが鯉に餌をあげていた情景を思い出します。30年ほど前のことでしょうか。お昼は「焼きそば」が無いので、美味しいお蕎麦屋さんでそばを食べました。おいしかったです。

お天気についてですが、17日には18日の午後あたりから2-3日連続で雨が降るような天気図でした。しかし、驚くなかれ、雨が降ったのは19日の早朝にパラついただけでした。Yさんのご努力とご心配を天の神様が見てくださっていたのでしょう。ついでながら大阪の天気について。19日は午後4時前に帰宅することができました。昨日のアルコールと水を汗と一緒に流してしまおうと思っていつもの運動を始めました。風は涼しかったのですが、少ししんどかったし、美津子から、「ひっくりかえらんといてね」と言われたので緩めの運動から始めました。しかし、結局、ダッシュは13回してしまいました。クールダウンが終わって、自宅近くまで来るとぽつぽつ雨が降り出し、その後、かなり激しく降り出しました。私の運動まで天の神様は見てくださっていたようです。ラッキー。

(8/13に進行順を改定しました。お子様連れの方の負担が少し減ります)
アトピックの第17回アトピー性皮膚炎講演会が岡山で開かれます。多数ご参加ください。

日時:2011年9月18日 午後0:30-4:30
場所:岡山国際交流センター、地下1階レセプションホール(空調あり、ペットボトル持ち込み可)
  JR岡山駅より徒歩2分、駐車場はありません Tel: 086-256-2905
参加費:無料(どなたでも自由に参加していただけます)
定員:80名(現地で先着順、予約はできません)

講師
佐藤健二:成人型アトピーはステロイド依存を伴ったアトピー、脱ステロイド・脱保湿で治そう
佐藤美津子:赤ちゃんのアトピーを治すコツ
隅田さちえ:誰でも出来る皮膚を育てる育児の秘訣
藤澤重樹:赤ちゃんや子どもの時こそステロイドをつかってはいけない、急いで治さないと治らないはウソ

第1部 乳幼児患者編
第2部 成人患者編
※第1部第2部共に講演・患者体験談・質疑応答があります。

講演会終了後、場所を移して懇親会(有料)開催。

お問い合わせ先:steroid_withdrawal@yahoo.co.jp あるいは
        佐藤小児科 Tel: 072-281-0215

皆様

以下の講演会がございます。多数ご参加ください。

(東京)7/17(日)アトピー性皮膚炎講演会 
  現代のアトピーを考える
ステロイドや保湿剤を使わずに
自然治癒力を最大限利用して治す

日時:2011年7月17日(日曜日)12:00-16:40
場所:新宿区:牛込箪笥区民ホール(2-3階)
   東京都新宿区箪笥町15番地
   電話:03-3260-3421
最寄駅:都営地下鉄大江戸線「牛込神楽坂駅」A1出口徒歩0分
     営団地下鉄東西線「神楽坂駅」2番出口徒歩10分
参加費:無料
申し込み:不要、直接会場へお越しください
定員:300人

講演内容
第1部 乳・幼・小児のアトピー性皮膚炎
 藤澤重樹:赤ちゃんや子どもの時こそステロイドを使ってはいけない
       --急いで治さないと治らなくなるはウソ--
 佐藤美津子:小児にステロイドを使わないアトピー治療と食
 隅田さちえ:簡単、皮膚を育てる育児のひけつ
第2部 成人型アトピー性皮膚炎
 佐藤健二:成人型アトピー性皮膚炎は、ステロイド依存を伴ったアトピー
        脱ステロイド・脱保湿で治そう
 水口聡子:ステロイド外用剤によるアトピー性皮膚炎の経過、その色々
 安藤直子:アトピーを脱ステロイドで克服した患者からの提言
第3部 討論会
 患者様とお母様からの提言 3名
 質疑と討論

主催:ステロイドを使用しないアトピー治療研究会
後援:アトピーフリーコム、アトピーっ子育児の会、埼玉アトピーの会
お問い合わせ先: towayo@aioros.ocn.ne.jp

6月12日(日)アトピック第16回アトピー性皮膚炎講演会(和歌山)
 時間:午後1時―5時
 場所:和歌山市男女共生推進センター 6階  TEl:073-432-4704
 住所:和歌山市小人町29番地 あいあいセンター 定員153名(予約不要)

ほとんどの皮膚科医と小児科医はステロイドを塗らないとアトピーは治らないと説明する。これには根拠がないことと実際はステロイドやプロトピックを塗るから治らないようになっていることを示します。福島の原発問題でも官制の学者は怪しげなことばかりを言います。アトピーでも同じです。このようなことを知って、将来の子どもたちに安全な治療環境を作りましょう。

詳しくは
アトピックホームページ 
あるいは
mixi 脱ステロイド・脱保湿療法 
をご覧ください。