脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
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皆様

最近在外の友人から連絡が入りました。下記の著者たちによって、アメリカ皮膚科学会雑誌の電子版に、アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用剤治療によってステロイド依存症が起こることが記述されたとのことです。

Hajar T, Leshem YA, Hanifin JM, Nedorost ST, Lio PA, Paller AS, Block J, and Simpson EL (the National Eczema Association Task Force)

A systematic review of topical corticosteroid withdrawal (“steroid addiction”) in patients with atopic dermatitis and other dermatoses.

J Amer Acad Dermatol (2015): doi:10.1016/j.jaad.2014.11.024

簡単に説明しますと、英語で記述された関連論文34編を調べて、「証拠の質は低いが」という留保条件を付けてはいるが、外用ステロイドの副作用として「外用ステロイド依存症 Topical corticosteroid addiction」を取り上げ、次の二つのことを明瞭に述べています。

「この副作用をより明瞭に理解すれば、アトピー性皮膚炎やその他の皮膚疾患の治療中に、薬物提供者、親、そして患者が十分な情報を得て治療を選択することができるようになるであろう」

A clearer understanding of this adverse effect will allow for fully informed choices by providers, parents, and patients during the management of atopic dermatitis and other dermatoses.

「外用ステロイド依存症は、外用ステロイドのよく知られたほかの副作用とは明確に区別される臨床的な副作用であるように思える」

Topical corticosteroid withdrawal (addiction) appears to be a clinical adverse effect distinct from other well-described topical corticosteroid adverse effects.

アトピー性皮膚炎に対する外用ステロイド治療でステロイド依存症が起こることを示す原稿が色々な形の妨害行動で印刷論文にならない日本の状況で、このような概説論文がアメリカ皮膚科学会雑誌に印刷出版されることは画期的なことです。この論文が出てくるに当たってはITSANのホームページなどの活動が大きな刺激になったことが示されています。日本でのアトピックの活動(ステロイドを使わない治療もアトピー性皮膚炎の治療と認めること、ステロイドに対する依存性の存在を認めること、小児にはできるだけステロイドを使わないことをガイドラインに記載することを日本皮膚科学会に求める署名活動)もITSANとの共同行動であり、この論文の印刷に影響を与えています。日本皮膚科学会は回答書を作成したと皮膚科学会雑誌に記述していますが、まだ回答書を送って来ていません。送らない理由が、この論文の出版を早く聞きつけ、この論文と矛盾しないように回答書を再検討しているのかもしれません。現在、日本ではアトピー性皮膚炎のガイドラインの改訂中です。ステロイド外用剤の依存性を認める内容を含んだガイドラインを早く作ってほしいものです。

皆様

深谷先生の英語論文がインターネットに掲載されました。題は
「アトピー性皮膚炎におけるステロイド外用剤依存」
「Topical steroid addiction in atopic dermatitis」
という題で
共著者と雑誌名は
Fukaya M, Sato K, Sato M, Kimata H, Fujisawa S, Dozono H, Yoshizawa J, Minaguchi S
Drug, Healthcare and Patient Safety 2014; 6: 131-138
です。
原文は
http://www.dovepress.com/articles.php?article_id=18757
で見ることができます。
深谷先生が自分で和訳されたものは
「http://steroid-withdrawal.weebly.com/123001245012488125001254024615303823317828814123951236212369124271247312486125251245212489228062999221092203812338412301.html」
で見ることができます。

さらに米国皮膚科学会のガイドライン作成時の内輪話が、
http://steroid-withdrawal.weebly.com/
で読めます。
ステロイド依存について記述するかどうかで相当もめた様子が分かります。やはり、患者団体が意見を言うと相当効果があるようです。
がんばって脱ステロイド運動を続けなければと思いました。

 「大人になっても治らないアトピー性皮膚炎」というアトピーについての恐怖感が世間には蔓延している。しかし、アトピー性皮膚炎は、ステロイドのない時代には、患者の84%が大人になるまでに治癒していた。したがって別に恐れる必要の無い病気である。
 現在、アトピー性皮膚炎で問題になっていることは、発生率の増加ではなくて、アトピー性皮膚炎が治らなくなって、青年や成人で増加していることである。この増加は、ステロイド外用および最近ではプロトピックやネオーラルという免疫抑制剤の使用によるものである。この報道や研究内容には、アトピー性皮膚炎でのステロイドや免疫抑制剤の問題点から人々の目をそらすことが大きな隠れた目的としてあることは間違いない。勿論、企業の営利目的の治療研究であるのは言うまでもないが。
 研究では、生後一週間未満の赤ちゃんに8ヶ月もの間毎日1回以上保湿剤を全身に塗らせている。この時期、赤ちゃんの皮膚は自然環境に慣れる訓練をしている非常に重要な時期である。その時期にまったく人工的な保湿剤を皮膚に外用し、正常でない環境を作らせている。このように考えるのは以下の経験があるからである。
 父親自身がアトピー性皮膚炎で、その父親が自分の子どもにはアトピー性皮膚炎に罹患してほしくない一心で生下時から数ヶ月間毎日ワセリンをわが子に塗っていた。その子どもを私は診察した。その子どもの皮膚は、病的な光沢を持った角化の強い異常な皮膚であった。外用を中止すると正常な皮膚に戻った。赤ちゃんの皮膚に毎日不自然なことをすることの危険性を実感した経験である。
 報道された内容では、皮膚の発育にとって不自然な環境を作る危険性を含むものであることが検討されたかどうか不明である。もし検討されていたなら、このような研究計画は立てられなかったであろう。大変問題のある研究内容であるし、結論についての広報はアトピー性皮膚炎での混乱に拍車をかけるものである。
 なお、予防を行ってもアトピー性皮膚炎は発症している。この研究者たちは、発症した子どもたちをプロアクティブ治療でステロイド漬けにする。そして、現在のアトピー性皮膚炎の問題を再生産させる。根本的な解決から遠のくばかりである。このような研究者たちがいる限り、先は暗い。

アトピー性皮膚炎にリンデロンを塗ると皮膚バリア機能が低下する、という内容の論文が出ています。

Danby SG et al
Br J Dermatol 2014; 170: 914-21
The effect of tacrolimus compared with betamethasone valerate on the skin barrir in volunteers with quiescent atopic dermatitis

【結果の簡単な説明】
6ヶ月間症状の出ていないアトピー性皮膚炎の皮膚に吉草酸ベタメタゾン(リンデロンのこと)を4週間外用したら、皮膚のバリア機能が低下した。タクロリムス(プロトピックのこと)ではバリア機能が改善していた。

【佐藤のコメント】
標準治療を行う医師は、「アトピー性皮膚炎患者にステロイドを塗らないと、皮膚バリア機能が低下してアレルギーマーチが進む」、としばしば患者さんに説明する。しかし、ステロイドを塗ったらバリア機能が低下するならステロイドを塗ってもバリア機能の低下が進むことになり、前述の説明はできなくなる。
 プロトピックについては、皮膚バリア機構の問題よりもっと大きな問題があるので、この結果から安全だから使いなさいと言うわけには行かない。

皆様

毎日新聞に安藤直子さんの体験談や著書の説明などが連載されています。ぜひお読みください。そして、標準治療でこれほど困っている人間がいることを示すために、毎日新聞に対して、安藤さんの記事について意見や感想を送ってくださればありがたいです。
安藤さんの記事は以下で読めます。「生ける物語:届け1000人の声」の欄です。
http://mainichi.jp/search/index.html?q=%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%8B%E7%89%A9%E8%AA%9E&r=reflink
またご意見感想は下記にお送りください。
「意見や感想、病気にまつわる体験談を募集しています。〒100?8051毎日新聞科学環境部(住所不要)「生きる物語」係。メールtky.science@mainichi.co.jp。ファクス03・3212・0768」

 私は以下のメールを送っておきました。

毎日新聞 大場あい 様

 私は、大阪府松原市にある阪南中央病院皮膚科で働いている皮膚科医です。以前、安藤様の調査に協力させていただきました。その頃も行っておりましたが、現在でも毎日20名を超える脱ステロイド・脱保湿を希望される入院患者さんの治療をしております。最近も、入院されておられたある患者さんが、「何十年間もステロイド外用剤や保湿剤を塗り続けてきたが、すべての外用剤を中止したら一カ月で良くなってしまった。いったいこの何十年間の治療は何だったのか?」と憤りとあきらめの混ざった口調で述べられておられました。
 最近、多くのマスメディアが、「アトピー性皮膚炎に対する標準治療はよく効いて、医師の指示に従っておれば全く問題は起こらない」旨の宣伝ばかりをしています。しかし、現実には、上記のようなことや安藤さんの記事にあることが広範に起こっています。赤ちゃんや子どもに対する、標準治療を超えるような大量のステロイド外用治療を勧める説には大変な危機感さえ感じます。毎日新聞が掲載している安藤さんの記事は、日本皮膚科学会や製薬企業からは好まれない記事ですが、真実を伝えることがマスメディアの倫理規範ではないかという考えからは、全く勇気あるいい記事のように思います。ぜひこのような真実を伝える記事を多く掲載していただくことをお願いいたします。

佐藤健二