脱ステロイド、脱保湿、脱プロトピック療法 を行っている佐藤健二先生のブログ
Header
皆様

2021年9月7日に日本テレビで放送された「ザ!世界仰天ニュース:ひどい肌荒れがまさかの方法で回復」は、偏見なくこのニュースをみれば、「ヘェーそう、ステロイド外用薬を止めてもきれいになることもあるのだね。良かったね」で済むように思われます。ところが日本皮膚科学会などは、「このような番組が放送され、医療の混乱を来すことは、看過することができません。」として、「厳重に抗議した」と声明を発表しています。皮疹が良くなったことを報道することに憤りを感じることは不思議なので、抗議文の正当性を検討してみました。
【第1段落について】
ニュースでは、「ステロイドは本来体内で作られるが、ステロイド薬の使い過ぎにより体内でステロイドが作られなくなった。」「再び体内で作られるようにするには、ステロイド薬を断つしかない」といっているが、これに対して学会は「科学的に明らかに根拠のない内容がある」、と述べています。しかし、2018年に出されたアトピー性皮膚炎診療ガイドライン(日本皮膚科学会雑誌2018;128:2431-2502:以下2018ガイドライン)には、2458頁に「強いステロイド外用薬の外用で一部の症例で副腎機能抑制が生じたとする報告がある」との記述があります。この文章を言い換えれば、ステロイド薬の使いすぎでステロイドが作られにくくなることがあることを言っており、ステロイドが作られるようになるにはステロイドを減量あるいは中止する必要があるということも意味します。テレビで放映された顔面への外用では副腎不全の起る確率は低いと思います。だからといってニュースが全面的に間違ったことをいったとは言えません。この少しの不正確さをもってニュース全体に問題があるような表現は、ステロイドを中止して皮疹が良くなった重要な事実を無視する科学者として不適切な行動だと思います。2009ガイドラインにはストロングクラス(リンデロンV)の単純塗布では、20gの外用が副腎機能抑制を生じうる一日外用量であると述べられています。ちなみに、2018ガイドラインが参考として記述しているFTU(finger tip unit)外用療法では、紅皮症の人(全身に発赤のある状態)への外用量は20.25gとなり、副腎機能抑制を起こす危険領域の治療をすることを勧めていることになります。このことは注意としてガイドラインに記述されるべきと思います。なお最近はストロングクラスではなく一段強度の高いベリーストロングクラスのステロイド外用剤の使用が多くなっている印象があります。更に副腎抑制が多くの人に起こり始めている危険性が心配です。
【第2段落について】
1.ステロイドの種類も使用方法も区別せず、ステロイド一般として説明したため、全てのステロイド使用者に恐怖と不安を与えた、2.「療法」という言葉を使い、ステロイド不使用で疾患が治るかのごとき期待を抱かせている、3.ステロイドの危険を把握し、アトピー性皮膚炎診療ガイドラインに沿って治療している医師と患者さんに不安と妨害を与える、4.番組により健康被害をもたらす可能性が高い、と批判しています。1.について、現実に使われた薬物は、個別の商品名を挙げてはいないが総称としてはステロイドであり、その使用によって皮フが悪化したこと、そしてその中止によって皮疹が改善したことは明白です。だから、ステロイド治療中の患者や医師に対して、ステロイド使用について慎重であるべきことを示すとともに、このような皮疹が生じてもきちんと治療すれば良くなる希望を持てることを示したものです。2.について、ステロイドを使わない方法が効果のないものであれば、たとえ「療法」という言葉を使ったとしても良くならないでしょう。しかし現実には良くなりました。その理由は「療法」という名前を付けたからではなくて、実際に効くから良くなったと考えるべきでしょう。だから、ステロイドを使わないことで疾患が治ることがあるという期待を抱かせることを示した有益な放送と言うべきでしょう。3.について、放映された患者さんはアトピー性皮膚炎ではなく酒さ様皮膚炎であり、アトピー性皮膚炎を治療している医師と患者とは関係のない内容です。にもかかわらず、わざわざアトピー性皮膚炎診療ガイドラインについて記述したのは、脱ステロイドという言葉がアトピー性皮膚炎の治療に大きく影響してきていることを学会が恐れていることを示しているのでしょう。4.について、番組は、ステロイドを使用して悪化した皮膚でステロイドを止めると一時的には酷くなったがその後で良くなったことを示しただけです。酒さ様皮膚炎の場合、学会のするべきことは、健康被害をもたらす可能性を心配することではなくて、できるだけ強い症状が出ないようにステロイドを中止する方法をえることです。
【第3段落について】
「脱ステロイド」と呼ばれる不適切な治療の横行を防ぐために、日本皮膚科学会では「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」を策定し標準治療の普及に努めてきたのに、ステロイド外用薬に関する誤解や誤った内容の報道をマスメディアが再びすることは医療に混乱をもたらし、看過することができないので抗議する、と日本皮膚科学会などが言っています。あれ、ここでも話をアトピー性皮膚炎にすり替えていますね。繰り返しますが、報道は酒さ様皮膚炎がステロイド外用で発症し脱ステロイドで良くなった、という内容です。アトピー性皮膚炎であっても、何十年とステロイドを使用した後で脱ステロイドをして皮疹がなくなり、快適な生活をしている方がおられるのは多くのSNSで分かることですし、少ない文献であっても脱ステロイドで良くなられた方の報告はあるのに、これらを無視してなぜ脱ステロイドを全面的に否定するのでしょうか。理解に苦しみます。
【抗議文の内容の全般的評価】
1.放送内容の一部の不正確さを強調し、放送内容すべてが非科学的であるかのように見せかけようとしています。
2.放送された患者さんの病気は酒さ様皮膚炎であることを明らかにせず、あたかもアトピー性皮膚炎の患者のステロイド離脱であるかのように話を進め、一般の皮膚科医に受入れられやすいこれまで通りの「脱ステロイド」全否定を行っています。このようなすり替えにより、酒さ様皮膚炎の発生原因がステロイド外用であることと、その治療法であるステロイド外用の中止(脱ステロイド)を隠しています。
3.今回の報道症例が酒さ様皮膚炎であり、この疾患に対する標準的な治療であるステロイドの中止(脱ステロイド)で皮疹が非常に良くなったことを報道は事実として示しました。皮膚科学会にとって、皮疹が脱ステロイドで良くなることはあってはならないことのようです。科学者は事実を元に評価をしなければなりません。脱ステロイドで皮疹が良くなった事実を認めないなら、その行動は科学者の態度とはいえません。
脱ステロイドという言葉で表現される治療が成功すると、多くの皮膚科患者や医師はアトピー性皮膚炎治療での脱ステロイドの評価を考えます。イギリス皮膚科学会と英国湿疹協会の2021年の共同声明中でステロイド離脱がステロイド使用中の難治性アトピー性皮膚炎への一つの治療として認められました。ウエブ情報では、世界中の多くのアトピー性皮膚炎患者が脱ステロイド・脱保湿療法で良くなっていることが示されています。このように事態が進むと、ステロイドを使用しない治療方法が公表され公認されるようにならなければならないと思います。少なくとも酒さ様皮膚炎についてはステロイド離脱後の治療方法をガイドラインは示すべきですが、「皮膚科専門医に紹介」することだけしか記されていません。もし治療方法が記述されれば、酒さ様皮膚炎患者への対応が安心してできます。酒さ様皮膚炎はステロイド依存性皮膚症の顔面版ですから、ステロイド依存性皮膚症を伴ったアトピー性皮膚炎患者に対しても有益なものとなるでしょう。更に、自分の子どもにステロイドを使わせたくない親が虐待しているとして児童相談所に子どもが取り上げられる心配も無く、近くの医療機関で安心して非・脱ステロイド治療を行ってもらえるようになるでしょう。そうなれば、相談できる施設がなくて困り果ててやつれた母親と脱水状態の危険な赤ちゃんをみることもなくなるでしょう。
【酒さ様皮膚炎の原因と治療の文献】
酒さ様皮膚炎の原因と治療に関していくつかの皮膚科の教科書をお示ししておきます。
#TEXT皮膚科学、伊藤雅章、小川秀興・新村真人編集、南山堂、東京、1998年、p240
酒?様皮膚炎:
ステロイド外用薬長期連用の副作用---難治性。
#皮膚科学、大塚藤男著・編、第9版、金芳堂、京都、2011年、p704
酒?様皮膚炎:
ステロイド外用薬による局所副作用の一型。---治療のためにステロイドの外用を中止するとリバウンドが激しいが、これを乗り切る必要がある。
#皮膚科レジデントマニュアル、菅原弘二、鶴田大輔編、医学書院、東京、2018年、p285
酒?様皮膚炎:
ステロイド外用を顔面に長期使用で生じる。---ステロイド外用薬を中止することが基本であるが、リバウンド現象に注意を払い、慎重に行う
このように、酒さ様皮膚炎の原因はステロイドの外用であり、治療はステロイドの中止です。
2018ガイドライン(2459頁)には酒さ様皮膚炎について次の記述があります。
「酒さ様皮膚炎は、主として成人の顔面にステロイド外用薬を長期間使用した場合に、紅斑、毛細血管拡張、毛包一致性丘疹、膿疱などがみられるステロイド外用薬の副作用で、この状態でステロイド外用薬を急に中止すると紅斑や浮腫が悪化することがある。これらの症状がみられる場合には速やかに皮膚科専門医に紹介すべきである。」
(筆者の注:ところが、皮膚科専門医がどのような治療を行えば良いかについては記載はありません。)

皮膚科学会などの抗議文は以下で見ることができます。

https://www.dermatol.or.jp/modules/publicnews/index.php?content_id=12

皆様

2021年8月29日(日)13:30から「乳幼児編」の「atopicとまりぎonline」をZOOMで開催いたします。

皆様

コロナ禍で色々心配事が多くお困りとお察しいたします。お気を付けください。
ところで、現在特に女性は入院待ちをせずに入院していただけます。男性も可能です。
緊急事態宣言はありますが、なんとか入院はお受けできます。受診日に即日入院を希望される方は(希望者が多いとベッドがうまってしまいますので確実にその日に入院ができるというわけではありませんが)、病院ホームページの皮膚科の中にある入院に必要な物を記したパンフレットをよくお読みになり準備をしてお越しください。
コロナ対策のチェックはさせていただきます。受診日を含め数日間は体温測定をお願いいたします。

米英での脱ステロイドに関する重要な記述 2021.4.29発

 

【アメリカ】

脱ステロイドに関して重要な記述がありました。少しサボっていて読めていなかったのですが、世界的に有名なアメリカの皮膚科の教科書の2019年の第9版(Fitzpatrick’s Dermatology, p.377)に「ステロイド離脱症候群(steroid withdrawal syndrome)」の記述がありました。以下にその部分の拙訳を記します。

 

「外用グルココルチコイドの副作用は局所の作用と視床下部下垂体副腎系の抑制による全身的な作用に分けることができます。局所の副作用には皮膚線条、皮膚萎縮、口囲皮膚炎、酒さ性痤瘡の発生が含まれます。外用グルココルチコイドを日常的に長期に使用すると、特に顔面では、ステロイド離脱症候群(steroid withdrawal syndrome)をも起こし得ます。その症状は、外用グルココルチコイドを中止すると、強い紅斑形成、むくみ、焼けるような感覚が起こるという特徴をもっています。」

 

【イギリス】

2021年1月にイギリスで「外用ステロイド離脱に関する国立湿疹協会と英国皮膚科学会の共同見解声明」が出されました。以下に要点を記します。

 

外用コルチコステロイドは湿疹やその他の炎症性皮膚病変に対する効果的な治療薬ですが、他の治療薬と同じく副作用を持ちえます。湿疹を持っている多くの人々は外用コルチコステロイドの使いすぎやそれの使用を止めるときに起こりうる影響に関心を持っています。人々が影響を表現するために言葉や病名を異なって使用すると誤解も生じかねません。私たちは、本文書で、使用される用語を明確にし、上記の関心に適切に答えたいと願っています。—

 

私たちは、発赤(redness)という術語を、桃色、赤、紫から元々存在する色調のかすかな暗色化までを含めた一連の色全体に対して用います。—

 

  • 外用コルチコステロイドの使用過多の結果

副作用は強力な外用コルチコステロイドの長期にわたる日常的な使用によって起こります(通常は12ヶ月以上)。赤皮症Red Skin Syndromeや外用ステロイド嗜癖(しへき)Topical Steroid Addictionという用語は過剰な外用コルチコステロイドの使用によって起こりうるいくつかの異なった病的状態を記述するために用いられています。— もし人々が下記の問題を経験すれば、自分たちの健康管理の専門家に助言を求めるべきです。ほとんどの場合、外用コルチコステロイドは中止されるべきです。

a.萎縮、b.酒さ、c.痤瘡、d.口囲皮膚炎—

  • 外用コルチコステロイドに対するアレルギー反応

湿疹患者の何人かは外用コルチコステロイドに対するアレルギーである。外用コルチコステロイドに対する炎症はステロイドの抗炎症効果より強くなり得て皮膚状態は改善しなくなる。これは時々、外用ステロイド嗜癖Topical Steroid Addictionと言われる(なぜなら同じ効果を得るために今以上の外用コルチコステロイドが必要であるかのごとくに見えるからである)。悪い原因は、ステロイド自身というよりも、ステロイドクリーム中の防腐剤や他の構成成分であることがあります。パッチテストで悪い原因を決めることが出来ます。—ステロイド自身に対するアレルギーは相対的にまれで、違うタイプの外用コルチコステロイド製剤に替えることで克服可能なことがあります。

  • 基礎にある炎症を抑制できない状態

何人かの人では、外用コルチコステロイドを継続的に正しく使用しているが、その人々の湿疹が単に酷すぎるので外用コルチコステロイドでは抑制できないでおり、炎症が持続あるいは悪化します。この状態では免疫機構を抑制する薬が普通必要とされます。

  • 外用コルチコステロイド治療の中止で起こること
    1. リバウンド紅斑 外用コルチコステロイドは血管収縮剤として知られています。それは小さな皮膚血管を閉鎖させ、それによって皮膚は蒼白になります。治療を中止すれば血管はリバウンド拡張します。そして発赤と腫れが起こります。これは普通、時間とともに落ち着きます。
    2. 顔面の発赤 外用コルチコステロイドの過剰使用で起こった酒さ、痤瘡、口囲皮膚炎はその治療中止で悪化します。これはステロイドが炎症を抑制しているからです。
    3. 急激に悪化する発赤、痛み、痒み、落屑、リンパ節腫脹 これらは抗炎症ステロイドがなくなった後に起こる基礎にある湿疹の再発か悪化であるかもしれません。代りの抗炎症免疫抑制治療や薬が必要です。
    4. 副腎機能低下 これは深刻ですが非常にまれです。長期にわたって広範に非常に強い外用コルチコステロイドを外用するとそのいくらかは血流に吸収されます。これはない憎悪副腎皮質からのステロイドホルモンの自然な産生を抑制し得ます。—
  • 湿疹に対する一つの治療方法としての外用ステロイド離脱 (Topical Steroid Withdrawal as a treatment approach for eczema) 外用コルチコステロイドの使用に関する関心は何人かの人々に外用コルチコステロイドなしで自分たちの湿疹を治す試みに向かわせている。最初、湿疹は悪化しがちである。しかし何人かの人々は次のことを見いだしている。その後しばらくすると湿疹は落ち着き、単純な軟化剤あるいは非薬物治療と、ストレスのような悪化誘発因子を減らすように生活スタイルを変えることで湿疹には対処できます。もし湿疹が持続あるいは再発するなら、そしてその人が外用コルチコステロイドを再び使いたくないのなら皮膚科学的治療の選択肢としては以下のものがあります。
    1. 保湿剤の継続使用で乾燥皮膚を治療し、自然の皮膚防御機構を修復し予防すること
    2. 悪化時の冷浴、包帯使用
    3. プロトピックなどの使用
    4. 光線治療
    5. 全身に影響のある免疫機構を抑制する経口あるいは注射薬の使用 これらは外用コルチコステロイドより深刻な副作用を持ちえますし、普通外用コルチコステロイドを使ってでは治療できないより重傷の湿疹患者に普通に処方されています。

 

米英でのステロイド離脱症候群の取り扱いへの佐藤健二のコメント

 

【アメリカについて】

「ステロイド離脱症候群(steroid withdrawal syndrome)」が問題として取り上げられたことと外用ステロイドの「局所の副作用」として評価されていることは喜ばしいことです。しかし、顔面での現象に限っており全身で起こることについては述べられていないことと、ステロイド依存性皮膚症に対する第一段階の治療として評価されていない点が残念です。

 

【イギリスについて】

以前から感じていたことではありますが、「外用ステロイドから離脱するときに起こる症状」と、「外用ステロイドから離脱せざるをえない病態」の説明用語が明瞭に区別されずにアメリカ等で使用されていると感じていました。赤色皮膚症候群(red skin syndrome)は両者に使用できますが、ステロイドとの関係が示されていませんので適切な言葉ではないと考えます。ステロイド離脱症候群(steroid withdrawal syndrome)は前者を意味しますが、ステロイドを止める原因となる病態を説明していないという意味では不十分です。外用ステロイド嗜癖(topical steroid addiction)は後者を意味していると思いますが、日本語的には好んで行うという意味もあります。実際は嫌でも使わざるをえなくなっているという意味ではこの言葉は使いたくありません(英語でも欲するdesireと言う意味があります)。私はステロイド依存性皮膚症(steroid dependence dermatosis)を好みます。イギリスの文書は言葉の意味を正確に使おうとする努力が見られ、好ましいと考えます。

声明は、赤み(発赤)については桃色から赤色そして紫色までの一連の赤系統の色と既存の皮膚色のかすかな暗色化を含ませるといっています。赤系統の色の変化は毛細血管の収縮拡張と酸素濃度の変化により変わると私は考えます。しかし、暗色化は色素沈着によると考えられますので別に考える必要があると思います。

アジソン(Addison)病など副腎皮質機能低下症では全身の色素沈着が起こります。皮膚の炎症では炎症部位のみに色素沈着が起こります。2017年にねずみでではありますが皮膚でのコルチゾール産生が初めて証明されました。同じ実験方法は人間には適応できませんので人間で直接の証明はされていませんが、人間の皮膚にもネズミと同じく内臓の副腎皮質と同じ代謝酵素が存在し、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の存在も証明されています。ACTH遺伝子の中には色素細胞刺激ホルモン(αMSH)遺伝子があり、皮膚にストレスがあればACTHが分泌され、コルチゾールを出すとともに色素細胞刺激ホルモンが働き、炎症の部位だけで色素沈着がおこると考えます。薬物としてのステロイドホルモンを全身的(内服あるいは点滴)に投与すると内臓の副腎抑制が起こるわけですから、同じ代謝系を持つ皮膚でも外用でステロイドを与えるとコルチゾール産生が抑制されるはずです。ステロイド外用で皮膚でのコルチゾール産生が抑制されている状態でステロイド外用が中断されると、外用されたステロイドが不活化され皮膚にステロイドが無くなり、ストレス対応ができなくなり、激しい炎症症状が出現すると考えられます。この症状がステロイド離脱症候群の言葉で表現する症状と考えます。色素沈着の重要性を記述せずにいることが皮膚におけるステロイドホルモン代謝の重要性を無視していることを意味していると思います。

「1.外用コルチコステロイドの使用過多の結果」の記述はその通りであり、「2.外用コルチコステロイドに対するアレルギー反応」については、私も確認はしていますがごく少数です。「3.基礎にある炎症を抑制できない状態」の可能性は考えられますが、これまでのところ確実な症例の経験はありません。現時点では、外用ステロイドを継続的に使用していると、人工のステロイドを不活化する酵素活性が高まり、その結果としてステロイドが効きにくくなる可能性を考えています。「4.外用コルチコステロイド治療の中止で起こること」については、「リバウンド紅斑」と「顔面の発赤」はステロイド離脱症候群の症状の一部を正しく説明しテイルと考えます。それ以外は前段の皮膚でのステロイドホルモン産生と外用ステロイドによるコルチゾール産生抑制によって起こってくる事態の内容を対置します。「5.湿疹に対する一つの治療方法としての外用ステロイド離脱」は難治化アトピー性皮膚炎の治療として初めて脱ステロイドを承認した記述です。難治化アトピー性皮膚炎にとって大変に素晴らしい進歩だと考えます。しかし、「非薬物治療と、ストレスのような悪化誘発因子を減らすように生活スタイルを変えることで湿疹には対処できます」とのべているところを更に詳しくさせて、脱保湿療法を記述すべきであると考えます。

Important issues in Keijiban web site will be translated into English.  Please look at the following site.

https://apcom2021.wix.com/bbs-eng

掲示板(アトピー患者の交流の輪を広げよう)の英語版が上記のサイトで読めます。